2月3日、建築史家の鈴木博之が68歳で亡くなった。一昨年に完成した東京駅丸の内駅舎の復原プロジェクトにも深くかかわるなど、約40年にわたり近代建築の保存に尽力してきた鈴木はまた、建築や都市に関する多くの著書を残している。そこでは、近代日本の社会や歴史の記憶を、建築だけでなく土地のなかに読み解くことも多かった。その際、彼が好んで用いたのが「地霊」という言葉だ。「地霊」とはゲニウス・ロキというラテン語を訳