身も蓋もない現実を小説として描くならばそれは必ず喜劇になる。そのことを教えてくれた作家が幾人もいる。一人がチェスター・ハイムズだった。ニューヨーク・ハーレムの黒人警官、通称棺桶エド・ジョンソンと墓掘りジョーンズのコンビを主人公とするシリーズで知られる作家だ。著作の多くは既訳であったが、未訳長篇が残っていた。1959年にフランスで、1966年に本国アメリカで刊行されたRun Man Runである。