歳月が流れても、語り継がれる戦いがある。役者や舞台、筋書きはもちろんのこと、芝や空の色、風の音に至るまで鮮やかな記憶。かたずをのんで見守る人々の息づかいや、その後の喝采まで含めた名勝負の数々の舞台裏が、関わった人の証言で、よみがえる。「やった!プレーオフだ!」。ツアー未勝利。24歳の中嶋千尋は、2メートルのパーパットを沈めた瞬間、そう、心を躍らせた。「優勝するならプレーオフ」。プロになって3年、ずっと