私が『高学歴ワーキングプア』(光文社新書)という本を著したのは、2007年のことだった。1991年から国が旗を振った「大学院重点化政策」によって、大学院生の数はそれ以前の約3倍にまで膨れ上がっていた。「欧米に伍する研究者数の確保と研究レベルの実現」という大義が掲げられ、推進された政策の結果、たしかに修士号や博士号を有する人材は増えた。だが、副作用も強かった。我が国の企業が新卒一括採用の方式を崩さない