左官は、奥深いから面白い。創業95年・広島の藤原組が、規律と研鑽で若い職人を育て続ける理由
AIがはたらく時代。10年後、20年後、人は何をしていれば食べていけるのか。
私たちの答えは、「手に職」です。
株式会社左官工業藤原組は、1931年創業、社員37名、平均年齢36歳。広島平和記念資料館、広島県立美術館、日本銀行広島支店、サッカースタジアムのエディオンピースウィング広島などを手がけ、清水建設・大成建設・竹中工務店と直接取引する広島の左官会社です。創業から95年。私たちは、左官という「AIにできない仕事」を、未経験の若者に、一人前になるまで教え続けてきました。なぜ育成にこだわるのか。その哲学をお話しします。
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見上げた、あの建物も。街の風景は、左官が創る。--私たちの哲学
藤原組は昭和6年(1931年)、広島市中区で創業しました。広島平和記念資料館、広島県立美術館、広島市民病院、福山市庁舎、尾道市本庁舎、そしてエディオンピースウィング広島。広島人が見上げる建物の壁を、95年間、鏝(こて)一本で仕上げてきました。
左官は、壁を塗るだけの仕事ではありません。空間を仕上げ、時代を超えて残るものを創る。知識と技術で耐久とデザインを両立する。それが左官です。
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当社は代々、左官の技術を受け継いできました。創業者・藤原増平は1964年に黄綬褒章、1972年に旭日双光章を、二代目・藤原修は2015年に旭日双光章を受章しています。左官が、社会に認められる仕事であることの証だと考えています。
社是は「三位一体」--誠意・創意・熱意。
代表・藤原透が掲げ続ける言葉があります。
ダーウィンの進化論です。建築の工法も材料も日々変わる。だからこそ「あたりまえ」を疑い、進化し続ける。その進化の土台にあるのが、規律です。
私たちは採用サイトに「藤原組は、決して楽な会社ではありません」と書いています。基本を徹底し、道具を大切にし、先人の技を真剣に学ぶ。厳しい理由ははっきりしています。未熟な技術で塗られた壁は早々に剥がれ、そこに暮らす人の生活に支障をきたす。左官とは、そういう仕事だからです。
左官は、奥深いから面白い。--私たちの課題感
私たちには、長年の危機感があります。
建設業界全体の人手不足が進むなか、そもそも「左官」という職種を知る若者が減っています。2026年5月に社員31名に行ったアンケートでは、藤原組を知ったきっかけの6割超が「学校の求人票」か「先生の紹介」でした。ホームページやSNSで自力で見つけた社員はほぼおらず、「左官を知ったのは入社してから」という社員も少なくありません。
今の10代・20代は、私たちの世代とは違う不安を抱えています。AIやロボットに仕事を奪われるのではないか。10年後、20年後、自分は何をして食べていけるのか。
この不安に、左官という仕事は応えられると考えています。
左官は、縄文時代から続く仕事です。1万年にわたり先人が積み上げた技術体系は、機械には真似できません。現場はひとつとして同じものがなく、天候・材料・下地の状態を読み、その場で判断し、身体で仕上げる。平らさ・質感・美しさを、ミリ単位で追求する。毎日、頭と手を使う「非定型の仕事」です。だから奥深い。だから面白い。極めれば、どこへ行っても通用する。流行り廃りもなく、AIにも奪われない。私たちは、左官を「手に職」の選択肢として、若者と、その進路を一緒に考える親御さん・先生方に伝えたいのです。
規律と研鑽で持続可能な現場をつくる--私たちの取り組み
28年続く、学校との関係づくり藤原組の学校訪問は、先代の時代から28年続いています。求人票を出すだけの関係にしたくない。そう考え、私たちは学校のキャリア教育そのものに関わってきました。
広島県立福山工業高校では、広島県左官業協同組合の依頼を受け、地元の左官会社4社とともに左官技能検定3級の講習会を実施。2026年夏には22名の生徒が受検に臨みました。高校生の職場体験も毎年受け入れ、午前は現場見学、午後は職長の指導で実際に壁を塗ってもらっています。
「難しいけど、楽しい」。体験した生徒の言葉です。
進路指導の先生方には、求人票の条件を明確に示すこと、そして送り出していただいた生徒がきちんと育ち、定着していることを、毎年お伝えしています。
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入社後、新入社員はまず1か月、自社の出島倉庫で研修を受けます。座学と実技を組み合わせ、道具の名前、材料の練り方、そして「鏝返し」--鏝の上で材料を返す基本動作を、ひたすら繰り返します。研修期間中に、建設現場で必要な基本資格も取得します。
その後は年間育成計画に沿って、先輩職長のもとで現場経験を積みます。2年目で左官技能士2級、5年目で左官技能士1級。1級を取った5年目に一人前とみなします。
左官技能士1級・2級、登録左官基幹技能者、施工管理技士などの資格取得は受験料等を会社が負担し、取得後は技能手当を支給します。
育成の考え方は、相手が誰であっても変わりません。2025年から受け入れているインドネシアからの技能実習生(2025年3名、2026年3名)も、同じ出島倉庫で、同じ先生が、同じ鏝返しから教えています。労働力としてではなく、職人の卵としてです。
入社前の不安は、一つずつ消えていく高校を出たばかりの新入社員は、みな不安を抱えて入ってきます。アンケートで入社前の不安を尋ねると、答えはこうでした。
そして入社後、その不安がどうなったか。
社員の6割が「藤原組のココが良い」として「仕事の技術・誇り」を挙げています。技術があるから自信が持てる。自信があるから後輩に教えられる。その循環が、若手の定着に繋がります。
社長と若手が同じテーブルにつく技術は厳しく教える。一方で、藤原組は「人」を大切にする会社でもあります。
代表・藤原は、月に1回、社員3~4人との食事会を開いています。1年をかけて、全社員と食卓を囲む。旅行の話、ボウリングの話。仕事の話ばかりではない時間を、代表自身が大切にしています。社長の顔が見える。何かあれば直接話せる。それは、お子さんを送り出す親御さんにとっても大事なことだと、私たちは考えています。
社内にはゴルフ、釣りといったサークル活動があり、社員同士で連れ立って出かける際には会社が補助を出しています。参加は任意です。強制しないからこそ、自然と人が集まります。花見や暑気払いといった行事は若手社員に企画・運営を任せ、社員旅行の行き先は社員の投票で決めています。これまでの行き先は、ハワイ、台湾、大阪、福岡、鹿児島、高知。
福利厚生は、各種社会保険、建設業退職金共済に加え、iDeCo+(中小事業主掛金納付制度)を導入しています(iDeCo+は概ね入社5年目から)。
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左官の先端を歩む--取り組みの結果
こうした積み重ねの結果、藤原組は今、こうなっています。
・ 社員37名、平均年齢36歳。業界では珍しい、若い左官集団です。
・ 毎年数名の若手を、主に高校新卒で採用し続けています。
・ 清水建設・大成建設・竹中工務店といった大手ゼネコンから直接、広島の公共建築・大型建築の左官を長年任されてきました。近年ではエディオンピースウィング広島、カルビーせとうち工場も手がけています。
・ 社員アンケートでは「仕事の技術・誇り」61%、「取引先・施工実績の凄さ」36%が「藤原組のココが良い」として挙がりました。
そして私たちは、左官技術の研鑽を日常の仕事の中だけで終わらせません。社員たちは技能検定、技能五輪、全国左官技能競技大会といった舞台に、継続的に挑戦してきました。2004年・2005年には技能五輪全国大会に2年連続で出場。2017年の第47回全国左官技能競技大会では3位。20年以上、挑戦を途切れさせていません。2025年9月には、全国の左官職人の頂点を決める「第50回全国左官技能競技大会」で、当社の社員が優勝し、内閣総理大臣賞を受賞しました。3日間・21時間20分をかけて浅草寺「雷門」を左官技術で再現するという最高難度の課題に、全国から選ばれた10名が挑んだ大会です。
優勝を、私たちは一人の職人の功績としてだけでなく、長年にわたり規律と研鑽を積み重ねてきた組織の到達点だと受け止めています。福山出張所の社員が「入社以来一番うれしかった出来事」に「先輩が日本一になったこと」を挙げたように、一人の栄誉は、全員の誇りになる。日本一の技術と同じ現場に立てる環境があります。
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左官の1ページを記す--藤原組が描く社会と、方針
私たちが見ている未来はこうです。
AIが事務作業を担う時代、人に残るのは「非定型で、身体を使い、考える仕事」です。左官はその代表格であり、極めた職人が、学歴や資格よりもスキルそのもので評価される時代がやってくる。
左官という職業そのものの担い手が減れば、広島の街の建物を仕上げる人がいなくなる。これは一社の問題ではなく、業界の、そして地域の問題です。左官は縄文時代から受け継がれてきた、1万年の歴史を持つ仕事です。藤原組は先人の積み重ねに敬意を表し、そのうえに新たな1ページを記します。藤原組は、未来に向けて、次の方針を掲げています。
1. 考える機会が豊かな会社になる。 若手のうちから小さな現場で職長を経験させ、段取りと判断を自分の頭で行う機会を増やす。
2. 左官の歴史と技術体系を、若い世代に継承する。 1万年の積み重ねに敬意を払い、そのうえに新しい技術を積む。
3. 学校・保護者との対話を続ける。 先生が変わっても、職場体験と技能検定講習は続ける。職場見学はいつでも受け入れる。
4. 左官業界の担い手の育成に貢献する。 広島県左官業協同組合・日本左官業組合連合会とともに、左官の技術を次の世代に伝える。
5. 100年企業へ。 創業95年。次の5年で、「若い職人を一人前に育てる会社」として、広島で最も信頼される左官会社になる。
最後に、代表・藤原の言葉です。
日本を塗り替える。
見上げた、あの建物も。街の風景は、左官が創る。
AIにできない仕事を、規律と研鑽で、一生モノの技術に。
藤原組は、一緒に左官の道を歩む仲間を待っています。
株式会社左官工業藤原組は、2027年春入社の新卒採用を行っています。事前の職場見学も可能です。学校の先生方、保護者の皆さまも、どうぞお気軽に当社の環境を見に来てください。
採用サイト:https://sakanfujiharagumi-recruit.com/
コーポレートサイト:https://www.sakanfujiharagumi.com/
Instagram:@sakanfujiharagumi
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会社概要
• 社名:株式会社左官工業藤原組
• 創業:1931年(昭和6年)
• 代表取締役:藤原 透
• 所在地:広島県広島市中区鶴見町9-2(本社)/福山市沖野上町3-1-33(福山出張所)
• 社員数:37名(平均年齢36歳)
• 事業:左官工事業、タイル・レンガ・ブロック工事業、防水工事業
• 主な施工実績:広島平和記念資料館、広島県立美術館、広島県庁舎、日本銀行広島支店、広島市民病院、広島大学病院、福山市庁舎、尾道市本庁舎、エディオンピースウィング広島、カルビーせとうち工場
• 主な取引先:清水建設、大成建設、竹中工務店、砂原組、鈴木工務店ほか
• 受賞:第50回全国左官技能競技大会 優勝(内閣総理大臣賞)/2025年
• 受賞:第47回全国左官技能競技大会 3位/2017年
• 出場:第42回・第43回技能五輪全国大会/2004年・2005年
• 受章:創業者 藤原増平 黄綬褒章(1964年)、旭日双光章(1972年)/二代目 藤原修 旭日双光章(2015年)
• 認定:国土交通省が主導する「専門工事業の企業評価」において最高ランクの四つ星評価(2026年)
• 新人教育:入社後1か月の自社研修(出島倉庫)、年間育成計画、資格取得費用会社負担
• 所属:(一社)日本左官業組合連合会、広島県左官業協同組合、協同組合中国建設専門工事業協会
