【埼玉県加須市】加須の出版社、地元4店+自社ECだけで児童文学150冊超--全国流通せず3ヶ月
加須市の出版社クスノキ出版(代表・楠柾)は、地元・加須を舞台にしたご当地児童文学『少年探偵のデジタル・スケッチパッド』シリーズが、発売から約3ヶ月で累計150冊を超えたと発表した。同シリーズは全国の書店には流通させず、販路を加須市内の取扱店4店と自社オンラインショップに限定。販売の約7割が地元書店の店頭からで、地方の小規模出版における地元密着型の販売事例といえる。
■ 全国に流通させず、あえて地元に限定
クスノキ出版は同シリーズを全国の書店に卸さず、販路を加須市内の4店(カサモ関口商店、ブックセンターやまと、加須市物産観光協会、道の駅かぞわたらせ)と自社オンラインショップに限定している。
加須市出身の著者・楠柾は、住み慣れた地元の景色ほど、その豊かさに気づきにくくなると考えてきた。千方神社、鯉のぼり、利根川--そうした身近な「足元にあるもの」の価値に、子どもたち自身が気づくきっかけになればと、本シリーズを執筆した。読み終えたあとに「いつもの通学路が、少し違って見える」。そんな変化を地元の子どもたちに届けたいとして、広く全国に展開するより先に、まず手元の一冊を確かに渡すことを優先している。取扱店も、書店だけでなく物産観光協会や道の駅など、地域の人が日常的に立ち寄る場所を選んでいる。
■ 販売の約7割が地元書店の店頭、続刊の購読率も高水準
内訳を販路別にみると、加須市内の書店2店(カサモ関口商店、ブックセンターやまと)だけで100冊を超え、販売全体の約7割を地元書店の店頭が占めた。ネット通販ではなく、実店舗で手に取られて購入されている点が特徴だ。
シリーズ内訳では、第2巻の販売数が第1巻の約3分の2に達し、一度読んだ読者が続刊を購入する継続率の高さがうかがえる。フルカラー漫画版は道の駅など書店以外の場所での販売が目立ち、ふだん書籍を購入しない層にも届いている。地域の生活動線に沿って複数の販路を持つことが、幅広い読者層への到達につながっているとみられる。
■ 全10巻で加須市全域を描く構想、まず地元に根を張る
同シリーズは全10巻で加須市全域を順に描く構想で、第1巻は加須エリア(鯉のぼり・千方神社)、第2巻は花崎エリアを舞台にしている。クスノキ出版は加須市内の4店と自社ECを軸に、まず地元にしっかり根を張り、読者一人ひとりに手渡す販売を続けている。

