2013年にピザを出力できる3Dプリンターを製造する企業に出資し宇宙でピザを焼くことを検討するなど、宇宙空間における3Dプリンターの導入に前向きな姿勢を見せているNASAが、地球から3Dプリンターの出力データを送信し、そのデータを用いて宇宙で出力することに成功しました。

“Emailing” Hardware To Space - Backchannel - Medium

https://medium.com/backchannel/how-we-email-hardware-to-space-7d46eed00c98

ある日のこと、NASAは国際宇宙ステーション(通称:ISS)の艦長であるBarry Wilmore氏が「作業にラチェット式ソケットレンチが必要だな」と話しているのを無線機越しに聞き、地球からISSにソケットレンチを送り届けることになりますが、わざわざロケットで送るには膨大な時間と資金が必要なので、地球からソケットレンチの出力データをISSに送り、宇宙空間でソケットレンチを出力してもらう計画をたてました。

計画は、ISSに配備されている無重力空間でも使用可能な3Dプリンタ「ZERO-G PRINTER」の開発元である「Made In Space」が、ソケットレンチの出力データをCADで製作する作業から開始。



完成したソケットレンチの出力データをNASA特製のソフトウェアでNASA本部に送信します。



受信した出力データを、今度はNASAがISSに配備されているZERO-G PRINTERに送信。



データを受け取ったZERO-G PRINTERがラチェット式ソケットレンチを出力したというわけです。



Wilmore氏が完成したソケットレンチを取り出しているところ。



3Dプリンターで出力されたソケットレンチを手に持つWilmore氏。



NASAは2014年9月に3DプリンターをISSに配備し、配備後しばらくしてネームプレートを作って宇宙で初めて3Dプリンターの出力に成功しました。その後も、約20個のモノが宇宙空間で出力されましたが、それは補給船に事前に積み込まれていたデータを使用しており、地球から送信された出力データを用いて宇宙で出力したのは今回が初とのことです。