世界的サッカー選手C.ロナウド氏に「好きな寿司ネタ」を聞いてしまったフジテレビ側の事情をご理解いただきたい件。

達人に話を聞くときは、なるべく達人を呼ぼう!

アスリートへの質問タイム。試合終了後やオフのバラエティ番組出演時など、アスリートへの質問タイムはしばしば設けられます。しかし、これは案外と難しい見世物です。それはアスリートは極めて狭い領域、かつ一般人と隔絶した世界の専門家であるからです。

質問には大きく3つの傾向があると、僕は考えています。もちろん「会話のつなぎの無意味な質問」などまで含めれば無数にあるのでしょうが、大きくわけると「知りたいことがある」「言ってほしいことがある」「自分と相手の違いを測る」という3つだと思うのです。

「知りたいことがある」は学校の先生への質問や、STAP細胞はあるのかないのかについての詰問、あるいはパソコンがぶっ壊れて困っているときなどに繰り出されるもの。ところが、実はアスリートに対して聞きたいほどのことは一般人にはありません。野球やサッカーの技術を習得したいわけでもなく、あんまり深い所を言われてもついていけませんから。

また「言ってほしいことがある」というのは、たとえば現代のベートーベンに対して「本当に耳は聞こえないんですか?」と聞くような話であり、相手に「実はバッチリ聞こえてます」など特定の回答をさせたい場合の質問。しかし、アスリートに言わせたいことなど何かありますでしょうか。せいぜいが「次も勝ちます」とか「応援ありがとうございます」程度では。

そして「自分と相手の違いを測る」というのも、これは言ってみれば達人と達人の技術論のようなものであり、「絵描き同士の使ってる筆比較」とか「陶芸家同士の窯の火加減相談」といった類の話。あまりに相互の距離が遠すぎれば噛み合わなくなったり、無意味になっていく種類のものです。「世界のトップで戦うプレッシャーを感じる同士」とか「大怪我をした同士」とか同じレベルでの何らかの共通項があって初めて、その微細な違いや意外な共通点が興味深く現れる。

例えば落合博満×岡田武史の掛け合いであれば、サッカーや野球の話はできなくても、組織論という切り口で興味深いやり取りになりそうですよね。しかし、これはもう完全に対談番組レベルの話であり、テレビ局のアナウンサー等々に期待する種類のものではありません。アナウンサーの「語る・伝える」という専門性は、アスリートの専門性とはほとんど重ならないものなのですから。

そう考えると、アスリートへの質問タイムがつまらなくなるのは必然です。特に、競技に関心や知識がない視聴者層が見る状況においては。アスリートの専門性を抑制しつつ、みんなが知りたく且つ理解できる話、みんなが言ってほしい話に終始するのですから。これを突き詰めると「今の気持ちは?」「次の試合への意気込みは?」「最後にファンに一言」という定番質問三兄弟が生まれるのです。面白くも何ともないですが、そうなってしまうのです。

だから、僕はメディアだけを責める気はありません。

よりアスリートの専門性に肉薄することの意味や価値も無くしているのは、見る側の問題でもあるからです。見る側が成長すれば、伝える内容も変わるのです。CS放送では専門性に肉薄するケースがあるのも、そっちにはそういう視聴者しかいないという前提で制作するからでしょう。「できない」という面だけではなく、「やらない」という面も多分にあるのではないでしょうか。

僕なども技術・戦術についてはトンと疎いクチですので、実際その場に立っても聞きたいことなど浮かんでこないでしょう。憧れの内田篤人さんへの取材の機会があったとしても、「どんなタイプの男性が好きですか?(知りたいこと)」「僕のことはどう思いますか?(好きって言わせたい)」「攻?受?(違いを探る)」というあたりが精一杯。これなら取材しないほうがマシですよね。向こうも迷惑でしょうし、僕もハッキリ言われるよりは夢を見ていたいので…。

以上、長くなりましたがこのような事情があるということにご理解を賜りまして、世界的サッカー選手であるクリスティアーノ・ロナウド選手への質問タイムを十分に活用できなかった22日のフジテレビ「スーパーニュース」をご容赦いただきたく、伏してお願いするものであります。

◆「ロナウドパックはかなり油っこいですが本当に自分でも食べましたか?」

最近はケンタッキーフライドチキンでロナウドパックなる商品が出ていたり、「高級フリー素材」みたいに頻出している感じもあるクリスティアーノ・ロナウドさん。今回は自身がイメージキャラクターをつとめるMTG社の新商品プロモーションのために来日されました。都合4度目の来日は、前回クラブワールドカップで来日した2008年以来5年半ぶりとのこと。

↓ロナウドさんはお台場新大陸のステージに登場!


ロナウドさん、そこは槙野智章さんとかでもイケる舞台なんで…!

あまりにギャップがあるせいで、本物なのにソックリさんが出てきたみたいな不思議感です…!

↓ロナウドさんは新商品のプロモーションをしつつ、幸運な一般人3名からの質問に答えた!

質問:「行ってみたい場所、食べたいものは?」
回答:「どこも素敵だね、寿司が好き」
質問:「今の目標は?」
回答:「来季も今季みたいにいいシーズンにしたいです」
質問:「一緒にプレーしたいのでアドバイスをください」
回答:「自分を信じて、努力をつづけてください」

やっぱりこういうときは少年の質問が鉄板だな!

少年は、ロナウドさんに聞きたいことが山のようにあるわけだから!

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僕はもしこの幸運を得たとき何を質問するだろう…?そう考えると、ちょっと考え込んでしまいます。サッカーのことを聞いても、自分でやるわけではないですし。「髪のセットの仕方」とか「いくら金もらってるの」とか「ワールドカップでノイアーが壁1枚にしたとき、1枚しかない壁にFKをぶち当てたのはムカついたからですか?」等々の愚かな質問しか出てきません。

それはフジテレビ「スーパーニュース」のスタッフも同様だった模様。視聴者からナイス質問を募集しても「1日に腹筋3000回するって本当ですか?」とか「好きな日本食は?」とかの定番質問しか出てこない状況により、特に聞きたいことがないままクリスティアーノ・ロナウドさんの生出演を迎えてしまったのです…!

↓22日のフジテレビ「スーパーニュース」にロナウドさん登場!


※特に聞きたいことはありません。
※筋肉の話と日本食の話くらいです。
※それ以上を聞いても視聴者にニーズがないという判断です。

スタジオ入りするロナウドさん。社員は通路の脇に立ち並び、興奮した表情でハイタッチをおねだりします。ロナウドさんが笑顔でそれに応えると、歓喜の表情で飛び跳ねる女子たち。完全に形骸化したガードマン。「これでいいんでしょうか」と漏らす安藤キャスター。役得を絵に描いたようなスタジオの光景に、僕も「もうフジテレビの目標は達成されたな」という手応えを覚えます。

そして、安藤キャスターがコングラチュレーションズと呼びかけながら、「自分たちで育てたヒマワリ」を渡したとき、そこには「何がめでたいんだっけ?」「あぁバロンドールとかCL優勝とかか」「ヒマワリ育ててたんだ?」などという疑問を挟み込む余地は一切ありません。ここまで来たらもう、思うまま自由に、すべてを捨てて突撃するだけです!

↓そして「スーパーニュース」は最初の質問を繰り出した!

榎並アナ:「見てくださいこのパネル!」

(上半身裸のロナウドさんの実物大パネルが登場)

榎並アナ:「ロナウド選手、この盛り上がった僧帽筋から三角筋、そして大胸筋、そしてもうシックスパックのお手本と言っていいぐらいの腹筋ですよ」

榎並アナ:「ロナウド選手、どうやったらこの腹筋ができるんですか?」

ロナウドさん:「健康的な食べ物を食べること……そしてコレは顔の筋肉を引き締める製品なんですけど、これで顔を引き締めています」

(榎並アナが早速使ってみる)

安藤キャスター:「どのあたりが鍛えられるんですか?」

ロナウドさん:「(顎のあたりを指差しながら)このあたりです」

榎並アナ:「そして(手に持っている)それは?」

ロナウドさん:「これはマッサージ用のローラーです」

安藤キャスター:「ありがとうございます。いただきます!」

(ロナウドさんは安藤キャスターの顔を美顔マッサージ)

安藤キャスター:「ありがとうございます!ちょっと引き締まった感じ!」

ロナウドさん:「これで顔をマッサージしたり、腕をマッサージしたり、身体をマッサージしたり…」

安藤キャスター:「もっとやってもらえますか」

(ロナウドさんは安藤キャスターの顔を再度美顔マッサージ)

(安藤キャスターご満悦)

榎並アナ:「腹筋は1日何回やってるんですか?」

ロナウドさん:「数えたことはないですが、そんなにたくさんはやっていません」

安藤キャスター:「それは嘘だと思います。やってなかったらこんなにならないですよ」

ロナウドさん:「(ムキムキの写真は)フォトショップですよ」


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その後、番組では「この人誰?」となっているお茶の間のご婦人などに向けて、ロナウドさんを紹介するVTRを放映。ポルトガル代表のキャプテンであること、レアル・マドリードの不動のエースであること、昨季の欧州CLでもチームを優勝に導いたこと、華麗なゴールで世界を魅了してきたことなどをタップリと紹介。バロンドール受賞式での、息子さんをステージに上げて涙を流した場面も、ご婦人のハートキャッチ用にもちろん紹介します。

↓そしてご婦人のハートにズドンと響く、第2の質問を繰り出した!

松村アナ:「バロンドールでの涙がとても印象的でしたが、どんな思いがありましたか?」

ロナウドさん:「もちろん嬉しかったですし、私のキャリアにおいても特別な瞬間でしたし、ステージに上がったときに息子がコチラのほうに歩いてくるのが見えたので、感極まって泣いてしまいました」

松村アナ:「息子さんもサッカーやるんですか?」

ロナウドさん:「まだですが、そのうち教えようと思います」

安藤キャスター:「ロナウド選手は6歳のときにサッカーを始めたんですよね?」

ロナウドさん:「本当に小さい頃、3歳とか4歳とか5歳くらいからです。家族みんなサッカーが好きでしたし、父や兄と、そしてストリートで友だちとサッカーをしていました」


お母さんのことは聞かないぞ!

主婦層に響かなくなってしまうから!

以上にて番組からの質問は一旦終了。ここからはサッカー少年たちから寄せられた質問をぶつける時間となります。1問が美容関連ステマで、1問は家庭環境。厳選に厳選を重ね、想定視聴者を主婦層に絞り込んだ結果、このような質問構成となりました。番組的には聞きたいことも特にないけれど言ってほしいこともそんなにないので、なるべく少年たちに時間をあげようというスタッフの意図、ビンビンに伝わりましたよ!

↓少年少女は憧れのロナウドさんに質問をぶつけたぞ!

質問:「どうすれば強いシュートが撃てますか?」

ロナウドさん:「秘訣はないんですけど……たくさんポイントがありまして、まず強い足・強い身体を作ること、正しいシュートの撃ち方を知ること、それ以外は言いようがないですね」

ロナウドさん:「(自然にできてしまう?の問いに)はい、ナチュラルに」

ロナウドさん:「(才能ですね?の問いに)才能かもしれませんが、努力なくして才能はありません」

質問:「リフティングは何回できますか?ロナウド選手と同じ回数やりたいので教えてください」

ロナウドさん:「みなさんは私がたくさんできると思っているんでしょうけれど、特にリフティングを上手くなろうと鍛えたわけではなくて、すべてのことに対して常に100%頑張ってトレーニングをしていますので、フィジカル面を含め総合的に頑張ってやっていくことが大事だと思います」


「リフティングばっかやってもなぁ…」って、暗にたしなめられる子どもを生むとは!

質問をセレクトした番組スタッフは子どもに厳しい!


↓子どもたちに便乗して、ついでに自分たちの質問も追加でぶっこんでいく「スーパーニュース」!

安藤キャスター:「王者になるには何が必要ですか?」

ロナウドさん:「常にプロ意識をもって、常に真剣に全力で打ち込むことが大事だと思います。どんな仕事においても」

椿原アナ:「特別なリフレッシュの方法はありますか?」

ロナウドさん:「私も普通の人間なのでいろいろな気分になりますが、リラックスするためにスパに行ったり、泳いだりします」

榎並アナ:「ハメス・ロドリゲス選手がレアル・マドリード移籍で合意間近と伝えられていますが?」

ロナウドさん:「たしか昨日合意したということですが、素晴らしい選手ですし、彼が入ってくることはチームにとっても素晴らしいことだと思います」



ポルトガル代表がとっとと負けたことを踏まえて「王者になる方法」をたずねた点はさておき、字幕を見るとハメス・ロドリゲスは「ハメロド」と略す流れなのかな?

「ハメドリ」じゃダメかな?

ハメドリ、クリ●ナ、カリ●・●●●●の強力3トップとかでどうだろう!

↓そして「スーパーニュース」はロナウドさんと過ごす時間の最後に、この質問をぶつけた!

安藤キャスター:「一番好きなお寿司のネタは何ですか?」

ロナウドさん:「どれでも好きですよ。どれが苦手とか特に好きとかなく、いろいろ食べていますよ」


事実上のスルーwwwwwwwwww

聞かれても特に答えようがないときに繰り出す、世界レベルの無難回答で最後の質問がスルーされたwwww

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よく考えたら、僕も一番好きな寿司ネタなど聞かれても特に答えようがありません。ウニも好きですし、トロも好きですし、金目鯛も美味い。ヘンに1個だけ言うくらいなら、「全部好きです(ニッコリ)」のほうが間違いないというもの。世界レベルの人物ともなれば、自分の一言がどんな影響を与えるか考えながらになりますので、褒めるにせよ貶すにせよハッキリ言うケースは少ないでしょう。「今回の旅行で一番心に残った場所」を問われたら「どの国も素晴らしく忘れがたいです」と答えるのが普通。そこで特定の場所を名指しして「ローマです!」とか言っちゃったりはしないのです。

まぁこういう流れになるのも、別に本当に「好きな寿司ネタ」を知りたいわけではないからでしょう。「食い物の話でもふっとくか」「食い物の話くらいしか共感できるテーマもないし」「好きな日本食…じゃありきたりだから、寿司ネタでも聞くか」という程度の質問。スルーされても痛くもかゆくもありませんしね。

「スーパーニュース」は視聴者からの投稿を受け付けていました。もしそこに、みんなが知りたくて視聴者層にマッチしたナイス質問があれば、採用されたことでしょう。しかし、実態としてさほどナイスな質問はなかった。その結果が、このような質問タイムとなったのです。今後はメディアを責めるだけでなく、さりげなく番組公式アカウントにナイス質問を投稿するなど、視聴者側からの動きにも期待したいもの。みんなが彼女とのヒメゴトを聞きたいのであれば、それを聞く。みんなが昨晩の献立を聞きたいのであれば、それを聞く。みんなが深い戦術論を聞きたいのであれば、それを聞く。メディアとは、そういうものなのですから…。「本人的には『ティ』と『チ』と『チャ』のどれが一番しっくり来ますか?」