岩隈のチームメートとなったカノ(中央)【写真:Getty Images】

セイバーメトリクスによる主な大型補強の評価

 ヤンキース田中将大投手が現在メジャーで最も重視される指標で、年平均で自身の巨額年俸を遥かに超える「年俸3700万ドル(約37億円)」分の働きを継続していると算出された。USAトゥデー紙が、WAR(Wins Above Replacement)というセイバーメトリクスによる指標を用い、今季の大型補強となった主な選手を分析する特集を組んでいる。

 WARとは打撃、守備、走塁、投球を総合的に評価して選手の貢献度を表す指標で、そのポジションの代替可能選手と比較し、どれだけ勝利数を上積みしたかを表す。この指標を用いた分析結果では、総額1億7500万ドルの巨費を投じたヤンキースの田中獲得がいかに素晴らしい補強であったかが浮き彫りとなっている。

 特集で最初に分析されているのが、タイガースのプリンス・フィルダー一塁手とイアン・キンスラー二塁手のトレードだ。

 タイガースはキンスラー獲得のためにフィルダーに加えて3000万ドルを支払う形となった。このトレードに関して、分析記事では「第一印象ではタイガースにとって有利な交渉だった。キンスラーの方がフィルダーよりも優秀な選手ということではない。フィルダーは打撃は素晴らしいが、一塁の守備はまずく、30歳半ば過ぎまでの巨額な契約が残っている(2020年までの年俸1970万ドル。タイガースはうち3000万ドルを補填している)」としている。

 また、キンスラーの過去10年間の打撃と守備両面でのコンスタントな結果を評価した上で、「球団として処理に困らないような契約となっている(2018年まで年俸は1380万ドル)」ことも指摘。さらに、キンスラーが今季すでにWARで「2・6」という成果を挙げていると分析し、適性報酬について1430万ドルと算出している。シーズンわずか3分の1にして、年俸以上の働きをしているという。

 一方、フィルダーに関してはWARが「−0・3」で、首の手術で今季絶望となっている点を指摘。キンスラーは2009年から5度故障者リストに入っていたが、フィルダーはこの間、4試合しか休まなかった事実にも触れながら、タイガースにとっては最高のトレードだったと結論付けている。

ロビンソン・カノ、秋信守の評価は?

 次に分析されているのは、マリナーズのロビンソン・カノ二塁手(前所属ヤンキース)だ。マリナーズはFAとなったカノを10年総額2億4000万ドルで獲得。「一般的に36歳から40歳の5年間に1億2000万ドルを支払うような契約はどんなチームにとってもいい契約とは言えない」と前置きした上で、「カノの場合、契約後最初の数年で年俸を超えるような働きを見せ、2023年に契約満了となるまでに帳尻を合わせていくことになる」と分析している。

 また今季の出来については2008年シーズン以来、最悪のペースとしながら、「打率3割3分はカノが確実性の高い選手であることを証明している」と一定の評価を与えている。現状のWARは「1・2」で、これを維持した場合、シーズン終了時点では「4・0」を見込めるとし、年俸2200万ドル分の働きとなるという。これは年俸に近い成績であることにも触れ、「カノは素晴らしい契約をゲットした」と結論付けている。

 レンジャーズが7年総額1億3000万ドルで獲得した秋信守外野手(前所属レッズ)についは、「1860万ドルの年俸と引き換えに、レンジャーズは出塁率の高い外野手を獲得した」とし、高い出塁率を評価する一方で、ここ数年間で守備力が低下している点を指摘している。

 同選手の現時点でのWARは「1・4」で、シーズンで見ると「4・6」に達するペースであると分析しており、この数字は2010年から13年までの数字と同程度だという。また、年俸に換算すると2530万ドルとなり、「秋は今年32歳となるため、契約の残り期間でこの数値が上昇することはなさそうだ」としている。合わせて、「契約満了となる2020年には総年俸通りの補強となるだろう」との分析結果も伝えている。

既に高い数値を叩きだしている田中将大

 記事ではヤンキースが7年総額1億5300万ドルで獲得したジャコビー・エルズベリー外野手(前所属レッドソックス)についても分析。2190万ドルという平均年俸について、「MVP級のパフォーマンスを意味する」とし、同選手が2011年にそのような活躍(32本塁打、39盗塁、105打点)を成し遂げた点にも触れている。

 反面、今季開幕後の2ヶ月でWARはわずか「0・4」。まだ結論を出すには早急としながらも、「ヤンキース強化部の決断は最初から悩み深いものとなっている」と分析している。また、エルズベリーが2010年から2013年までレギュラーシーズン648試合中384試合しか出場していない点にも触れ、「パワーとスピードを兼ね備えた、歳を取り始めたセンターにヤンキースは払い過ぎた」と結論付けている。

 そして最後に分析されているのが、ヤンキース田中将大投手(前所属楽天)。ヤンキースはポスティングの譲渡金2000万ドルに加え、7年総額1億5500万ドルで日本人右腕を獲得しており、記事では「ヤンキースはメジャーで登板経験を持たなかった選手に年平均2500万ドルを費やすことが可能な資金力を持つ数少ないクラブである」としている。また、「これは危険な賭けだったが、田中はすでにWARで『2・0』という高い数値をたたき出している」と伝えている。

 さらにこの調子を維持した場合に、今季終了時には年俸3700万ドルに相当する働きをすることになると分析。田中はすでにメジャーに適応し、なおかつ支配できることを証明しているとした上で、田中がまだ25歳であること、この契約によってヤンキースが田中の全盛期のパフォーマンスを手にすることができるという点にも触れている。

 田中について高く評価した分析記事では、「ヤンキースは特別な才能を素晴らしい条件で獲得した」と結論付けている。まだシーズンの3分の1を消化している段階だが、圧倒的な活躍を見せる田中の評価は高まる一方だ。