ヒルズ内の66プラザに設置された約10mのクリスマスツリー。有機EL照明パネル「VELVE《ヴェルヴ》」216枚を使用

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師走が近づき、街中を行く人たちはみなどことなく忙しそうだ。そんな時、仕事に疲れて夜の街をブラブラするとクリスマスのイルミネーションに出会い、その美しさに感動して元気を取り戻す。そして、おしゃれなバーで夜景を見ながら一杯飲んで落ちつく、という日常のビジネスマンもいることだろう。今回はそんなビジネスマンのためにお勧めの場所、六本木ヒルズで開催中のクリスマスイルミネーションを紹介する。

「Roppongi Hills 10th Anniversary Christmas」と題して施設内外で様々なイルミネーションを25日まで展開している。その中で一番に注目したのがヒルズ内の66プラザに設置された約10mのクリスマスツリーだ。有機EL照明パネル「VELVE《ヴェルヴ》」216枚を使用しているのが特徴。有機ELっていえば、次世代の薄型照明パネルとして期待されているもの。液晶パネルのようにバックライトが要らないのでより薄くできる。

同ツリー照明のため、VELVEに防雨処理を施したことにより、初めて有機EL照明を屋外で長時間使用できるようになったそうだ。また、同パネルの特徴であるフルカラー調色・調光機能によって、目に優しい柔らかな光とクリスマスツリーのモチーフであるキャンドルの炎の色やウイスキーを思わせる琥珀色を自在に表現できたという。

確かに、パネルがつぎつぎに色を変化させ、柔らかい光を放っているように見える。ビジネスマンたちがぞろぞろ前を通る中から、「きれいだねぇ」という声が多く聞かれた。今までのツリーの光っていろんな種類の色の照明をネオンのようにチカチカ点灯させているだけだが、このツリーは照明の光、色の変化に情緒があるというか、滑らかさを感じる。照明技術の変化でクリスマスのイルミネーションもこれからどんどん変わっていくのだろう。あと、同じ屋外すぐ横にウイスキーのバーがあった。ここでツリーを見ながら一杯やって温まるのもよさそう。

もうひとつ気になるツリーがある。それは東京シティビューにある高さ約5mのクリスマスツリー「"Melty go-round" TREE」。コンセプトは「夢を乗せて走るメリーゴーランド」で、ツリー中央部のメリーゴーラウンド部分が音楽とともに定期的に回転。「"溶けかかっている氷の中"に、色とりどりのアクセサリーやオモチャなどのパーツを閉じ込めており、"いつかは溶けてしまう人々のさまざまな想いや儚い瞬間を閉じ込めて、カラフルな未来へ走り出す姿"を表現」しているそうだ。

まるでお伽話に出てきそうなツリーである。白い部分は氷を表現とあるが、ケーキの生クリームかと思った。ともかく、ツリーの中にメリーゴーランドとは意表をつかれた。近くには記念撮影用として、トナカイなどの被り物が用意され、係員に頼めば記念写真を撮るのを手伝ってくれる。夜景が一望できるフロアーにあるので、ツリーだけでなく夜景も一緒に写真に収められる。ここは雰囲気的にビジネスマンというよりカップル、若い友達同士向きな場所だ。実際行ってみるとカップルが多かった。

前回はミクカフェに来たのだが(そのときは昼間だった)、今回はそのときの印象とまるでちがって夜景の素晴らしさを味わえたわけだ。しかし、ここまで工夫を凝らすと、もはや既存のツリーの原型はほとんどないように思われる。古い型にとらわれず、どんどん新しいことにチャレンジするのが六本木ヒルズの文化なのかも知れない。

六本木ヒルズもただ高くそびえているだけでなく、なかなかおもしろいことをするところである。今後も目が離せない。
(羽石竜示)