香川真司「勝負の2年目」、マンU新監督の開幕戦采配で見えた“リアルな立場”

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 2013-14シーズンのプレミアリーグが開幕を迎えた。

 連覇を狙うマンチェスター・Uは、敵地でスウォンジーと対戦して4−1と快勝。チームが好スタートを切った一方、ベンチ入りした日本代表MF香川真司に出場機会は訪れなかった。世界屈指のビッグクラブでの2年目。終了後にワールドカップも控える重要なシーズンを迎えた香川の現在の「立ち位置」とはいかなるものなのか。

 今夏、プレシーズンマッチを7試合消化したマンチェスター・U。コミュニティー・シールドのウィガン戦を含めれば、開幕までに8試合をこなしたことになるが、香川は6月に行われたワールドカップ予選とコンフェデレーションズカップへの出場を考慮され、プレシーズンは部分合流の形となり、日本での2試合とプレシーズンマッチの最終戦となったセビージャ戦、ウィガン戦の4試合のみの出場にとどまった。

 デイヴィッド・モイーズ体制で迎えた新シーズン。横一線で始まったレギュラー争いという点では、多少の出遅れが否めず、加えて、14日には日本代表の試合でウルグアイ戦にフル出場。移動も考慮すれば、中2日で行われた開幕戦の欠場は、致し方なしと見ることもできる。だが、ManUtd.jp(マンチェスター・ユナイテッドの日本語公式サイト)でも取り上げられているように、開幕戦でモイーズ監督が打った選手交代は、香川の厳しい「立ち位置」を暗示させるものでもあった。

 3−1のリードで迎えた86分、モイーズ監督は2得点を挙げていたファン・ペルシーに代えてアンデルソンを投入。布陣を4−4−2から4−2−3−1に変え、アンデルソンをトップ下に配置し、同じく途中出場のルーニーの1トップを採用した。昨シーズンまで主に中盤の底で起用されていたアンデルソンが、トップ下を主戦場とする香川を押さえてそのポジションに入る。昨シーズン、リーグ戦で13試合出場の1得点だったアンデルソンに対し、香川は20試合の出場で6得点。前述のとおり、香川には欠場の“エクスキューズ”があるとはいえ、この“実績”からも「意外」と呼べる選手交代だった。

 もっとも、今シーズンのマンチェスター・Uは新指揮官こそ迎えたが、何人かの若手選手を加えただけで昨シーズンと顔触れ自体に大きな変更はない。移籍市場が開かれているため、まだまだ選手が入れ替わる可能性は残るが、これまでの戦いぶりを見ても、まだモイーズ監督の“独自色”が前面には打ち出されていないことから、出遅れの影響も十分に巻き返しが可能の範囲と言えるだろう。

 香川自身も昨シーズンを「後半戦はうまく自分の良さを出せたし、仲間との連係が高まってきたという自信がある」と振り返っている。プレシーズンでメンバーや戦い方が大きく変わらなかった点は、自身のプレースタイルが仲間に周知されていることを考えれば、新加入の若手に対してのアドバンテージも決して小さくない。

「1年目はまだまだ結果というか、言い訳があったのかなと思うけど、2年目はそういうものをなくして、チームの中でもっと絶対的な存在になれるように努力したい」

 現在の立ち位置という話に戻れば、クラブが新たな指揮官を迎えたことで再び「一からのレギュラー争い」を勝ち抜く必要性が出てきた。しかし、同時に小さくないアドバンテージと確固たる自信を抱き、目指すべき絶対的な存在へ上り詰める可能性も十分に広がっている。