そして、攻撃面に関しては、永井であったり、日本の速攻を警戒して、まずモロッコは、守備の設定位置を低くしていましたが、やはりそれによって、あまり永井は良いプレーができず、前半の途中からは大津と永井の位置を交代、後半からは完全に、大津が1トップ、左に永井、という配置に変えていましたが、その采配は良いとして、とにかく以前から何度も言っているように、フィニッシュのところはもっと冷静に、という事ですね。

Uー23日本代表の決定力が低い原因というのは、多くの場合で、最後のところでの冷静さを欠いているからで、敏捷性やスピードだけでかわそうとしても、相手のシュートブロックの能力が高くて対応されてしまいますし、また、きちんと良いコースにシュートを飛ばさないと、やはりなかなか相手GKを外せませんので、一瞬だけ止まっても良いですから、きちんと冷静にコースを狙う、という事をやって欲しいと思います。香川などがそういうプレーをやっていますよね。

更にもう1つには、相手に寄せられる前に速くシュートを、という事だけではなく、一度相手の寄せをブロックしてからシュート、もしくは、一度相手と体と体を当ててから摺り抜けてシュート、それぐらいの余裕を持ってフィニッシュを考えて欲しいと思います。特にPA内に入ってしまえば、そこでの競り合いは攻撃側に有利ですから、とにかく最後のところで焦らない、という事が重要だと思います。

後半の途中から、第1戦を引き分けている、第3戦がスペインである、という状況のモロッコが少し前がかりになって、それに伴ってDFラインも高くなり、そこから再び永井を1トップに戻した采配がズバリ的中。相手DFとGKとのスピード勝負に勝った永井が無人のゴールにシュートを蹴り込んで、まさに劇的な得点の瞬間でした。そして、この1点を守り切った日本が2連勝、ここで早々と決勝トーナメント進出を決める、という結果になりました。

日本が五輪で決勝トーナメントへ進出したのは3大会ぶり。前評判は低かった今回の五輪代表ですが、やはり彼らの持つポテンシャルや成長力を信じてきて良かったと思います。そして、決勝トーナメントでも、この勢いのまま、1つ1つ勝ち進んで欲しいですね。失点せずに耐え凌ぐ強さがあれば、必ず自分たちのペースになる時間帯はありますし、また、必ず得点のチャンスも訪れますから、そういう戦い方を信じて勝ち進んで欲しいと思います。