ヤマダ電機(中国)投資・稲田氏:南京の“秋葉原”で中国3号店を開業(1)
家電量販店のヤマダ電機が3月22日、南京に中国3号店を出店した。既存の瀋陽店、天津店と同様、丁寧な接客、機能・カテゴリー別の売り場構成、ポイントカードサービスなど、日本のサービスそのままを持ち込んだ一方、商品価格は“業界最安値”を実現している。愚直なまでにこだわる「日本サービス」で、中国でも“ヤマダ旋風”を巻き起こせるのか――。ヤマダ電機(中国)投資総経理の稲田貞夫氏に、南京店の手応えや今後の事業戦略について聞いた。
開店初日の売り上げが過去最高に
――3月22日、南京市最大規模の繁華街に中国3号店をオープンした。
2010年12月の瀋陽店、2011年6月の天津店に次いで、中国3号店を南京に出店した。2月の“アクシデント”で、オープン直前の大々的なプロモーションを自粛したが、初日の来店客数が天津店の8割だったにもかかわらず、売り上げは同店を3割上回り、中国3店舗の中で過去最高を記録した。
――オープン前から積極的なプロモーションを実施し、ポイントカード会員の囲い込みを図ってきた。
3月に入ってから、地下鉄のフリーペーパーラックへのチラシ設置や新聞への折り込みチラシ、地元テレビ放送でのスポットCMなどを実施した。同時に、店舗正面入口でチラシの配布とポイントカード会員の受け付けを行った。こうした取り組みが、オープン時の好調な売り上げに繋がったと思う。
――南京は、中国家電量販店トップの蘇寧電器の本社がある同社の“牙城”。蘇寧のライバルである国美電器も最後に進出した大都市といわれる。ここを出店先に選んだ真意は。
日本の小売業を誘致したい南京市政府のラブコールに応えたかたちだ。今回のオープンは多少の混乱も覚悟していたが、地元政府のご支援もあり、3店舗の中で一番楽なオープンとなった。瀋陽店、天津店も、地元政府の強い後押しがあって出店が実現している。
――敢えて厳しい環境を選んだともいえる。
ここ新街口にも蘇寧電器の旗艦店があるが、同社からいろいろ勉強させてもらうという気持ちでいる。また、こうした厳しい環境でも勝てる店作りができれば、中国のどの都市に出ても怖くないと考えた。
中国でも“最安値”に挑戦
――3号店の出店先の新街口には電気店が集中し、少し前の日本の秋葉原電気街のようだ。
南京には現在、蘇寧34店舗、国美電器12店舗、五星電器19店舗、ラオックスライフ(楽購仕生活広場)1店舗がある。そのうち、新街口には蘇寧3店舗、国美2店舗、五星2店舗が集まり、年間の売り上げ300億円規模。うち約半分が蘇寧3店舗の売り上げといわれている。平日はオフィスワーカー、週末は家族連れが中心の商圏だ。
――南京店は1階から7階までの売り場面積が1万6000平米。日本の都市型店舗「LABI」の店舗形態で、日本と同等水準のサービスを提供している。
南京店もこれまでの2店舗と同様、日本と同じように店員は自社社員、売り場は機能別、カテゴリー別の構成で、商品をすべてメーカーから買い取っている。ポイントカードサービスは通常、商品価格の10%をポイント(1ポイント1元)として還元している。デジカメやケータイ、ムービーなどのコーナーには実機を用意し、来店客は実際に操作し、商品を選ぶことができる。これも中国の家電量販店にはない日本式のサービスだ。
――日本では「他店より安い」を打ち出しているが、中国でも家電量販店の中での“最安値”を意識している。
現在の店頭表示価格は、すべて競合店に合わせている。蘇寧や国美の価格は、メーカーサイドが決めたメーカー小売価格であるため、これを下回る価格設定にすることができない。当社には競合調査チームがあり、競合店での調査結果を価格に反映させている。
――日本で業界最先端といわれるITシステムを中国に持ち込んだ。
日本本社で自社開発したITシステムを導入し、何が売れているのかをリアルタイムで集計する仕組みを構築した。こうしたシステムは中国ではまだ普及しておらず、日本でも活用できている企業は少ない。日本のヤマダ電機では、売り上げデータを基にその日に商品を発注し、翌日物流センターに入荷する仕組みだが、中国ではなかなかそうはいかない。発注から入荷までリードタイムの長いメーカーもあるため、売り上げ予測をし、発注している。現在、その予測の精度を上げるための改善活動に取り組んでいるところだ。(情報提供:ウェネバー/ビズチャイナ/ビズプレッソ 取材担当:岩下祐一 編集担当:水野陽子)
