MF 香川 5 本田が欠場したことで、10番が似合うトップ下を務めたが、輝いたのは、あくまでも瞬間的だった。もっとも香川とは、そもそもそういうプレイヤーなのだ。技巧を瞬間的かつ局面的に発揮するタイプだ。ゲーム内容に、90分を通してコンスタントにチームに影響を与える選手ではない。遠藤、長谷部、あるいは本田とはその点で大きな差がある。しかし、この日の香川は、中盤の深い位置まで下がり、ボールを受けたり、裁いたり、司令塔のような雰囲気を意識しながらプレイしていた。トップに近い場所で、瞬間芸に懸けるという感じではなかった。そこにプレイが集中できていなかった。ゴール前になるほどプレイには思い切りが薄れていた。日本が得点ゼロに終わった大きな理由の一つだ。

MF 岡崎 5.5 前半、バーを叩いたシュートが決まっていれば。直前の切り返しは上々。ブンデスリーガで7点取っている選手らしいキレを感じた。シュートまでの流れも良かったが、左足のインステップは浮いてしまった。少しずつ全体的な能力を上げている岡崎。1年後には決めてくれると思いたい。コレだ!と光るものは少ないけれど、好感度の高い選手だ。中でもポジショニングがいい。全体の中で、自分がいるべき場所が分かっている。いて欲しい場所にいる選手。で、それなりのプレイができる選手。もう一息軽快さがでれば、主役に躍り出る可能性も。

FW ハーフナー 4 ボールに絡めず。さわれず。高さを生かしたわけでもない。収めることもできなかった。65分間の出場でシュートゼロ。頭以外、シュートパターンが見えないが、チームとして頭を生かそうとするコンセンサスもない。相手陣の深い位置からいいセンタリングはほとんど上がってこなかった。そこを突こうとする意識も低かった。スタメン出場に必然性が感じられなかった。

※交替出場

FW 乾 4.5 アピールしたい気持ちが空回りした。ボールが少しでも回ってこないと、もらいにいこうとボールに近づいていくのだが、その瞬間、ポジショニングは出し手にとって適切な位置ではなくなる。彼が真ん中の低い位置でボールを受けても、チームにとっては何もいいことがないのだ。結局、ますますボールはこなくなる。高い位置でボールを受けることがあっても、ストレスがたまっているので、決定的なプレイに集中できない。この悪循環は最後まで続いた。常にカッカしながらプレイしていた。見習うべきは岡崎だ。

FW 李 5 活躍の機会なし。彼が入った頃から、チームはめちゃくちゃになっていた。カウンターを浴びまくっていた。満足なプレイができなかった理由を、彼自身のプレイに求めるのは酷。

DF 駒野 採点なし。長友と交替したわけだが、もっと早い時間に内田と替えるべきではなかったか。
 
※ザッケローニ 4.5
「国内組は、オフシーズンなので、まだ90分走れる状態にない。海外組は前日か前々日にしか入れない状態」。ザッケローニは、前のアイスランド戦と同様、苦戦の原因をまず、フィジカルコンディションの悪さに求めた。日本はホーム戦。ウズベキスタンは主力を抜いた布陣。2位でもオッケーだと割り切っていた。「若手にチャンスを与える機会だ」とは、相手監督の弁。それをまず聞いたあと、続いて会見場に現れたザッケローニからその言い訳を聞くと、それはいっそう格好悪く聞こえる。それが核心を突いた言い訳でも言うべきでないと思うが、核心を突いていない場合はなおさらだ。大丈夫ですか?と突っ込みたくなる。

僕にはコンディションのせいだけでは絶対にないとの確信がある。サッカーが場当たり的なのだ。パスに展開の要素がないので、ゲームをオーガナイズできない。コントロールできないのだ。よって、ペースはつかみにくい。拠り所が局面のコンビネーションになっている点こそが最大の問題だ。それがいい感じで発揮されたときは、一瞬いいムードになるが、それはあくまでも瞬間。持続しない性質がある。基本的にそのパスの難易度は高いので、失敗すれば大ピンチ。この試合の最大の問題は、ボールの奪われ方、奪われる位置が悪いところにあった。

「日本は我々にとって難しいプレイをしてこなかった。我々がしたいことをさせてくれた」とは、相手監督の言葉だが、真実はコンディション云々ではなくこちらの方にある。ハッキリ言えば、監督の力の差で負けたといっても言い過ぎではない。このメンバーは、本田がいないだけで、現時点でザッケローニが考えるほぼベストだ。楽観視は禁物。危ない方向に進みつつあると僕は思う。