――映画でも詳しく検証されていますが、物が最も安定し、かつ美しく見える「黄金数」のことですね。天体の動きや鉱物の結晶、多くの動植物を形づくっている「1:1・618」の比率。

 計測してみたところ、ギザの大ピラミッドも高さと底辺は正確に1:1・618の比率でつくられている。さらに調べていくと、なんと円周率や光の速度まで知っていたことを示すような数字が各所にちりばめられているんだ。

――円周率や光の速度……!?

 とにかく、ピラミッドは間違いなく精密な設計図をもとにつくられ、そしてたった0.3mmの誤差で完成した。考古学者はすべてを『単なる偶然の一致だ』と言うけれど、これほどのことが偶然に一致するなんてあり得るだろうか? 宝くじの1等を100回連続で当てた人を、無条件で『イカサマではない』と信じるようなものだ。

――確かに、とても学問的な態度とはいえません。

 それだけじゃない。世界にはほかにも巨石文明の遺跡があるけれど、それらがエジプト文明とまったく同じ石組み法を使っていることはどう説明する? 遺跡間の距離は、遠いものなら1万kmをはるかに超える。しかも、その間の地域には、技術を伝承した形跡がまったくない“飛び石状態”……。

 現在の学問的常識に照らし合わせれば、当時の技術水準ではコミュニケーションなど取りようがない距離だ。考古学者たちは、これも偶然と言うのかな? さらに驚くべきことに、これらの世界各地の巨石文明は、ある一定の直線上に並んでいるんだが、これもすべて偶然と言うのかな?

――合理的に「偶然ではない」と考えれば、何かの意図が隠されていることになります。

 イギリス人小説家オルダス・ハクスリーは『事実は無視されても消滅することはない』と言ったが、私もそう思う。人間はつい“思い込み”や“信念”に縛られてしまう。ノミとロープを持った人々が、地球上で最も巨大で複雑な建造物を建てたという話を疑おうとしなくなってしまう。『高度に発展した超古代文明が存在し、その後、絶滅した』という合理的な仮説を誰も議論しなくなってしまう。

 長年の調査の末、私は一切の固定観念を捨てた。ピラミッドに込められた“警告”とはなんなのか。皆さんも一度、固定観念を捨てて自由に考えてみてください。私の願いは、映画を見てくれた人々が声を上げ、それが届いて学問の世界を変えること。偏見を持たず皆で調査し議論すれば、新しい真実が見つかると信じています。

●パトリス・プーヤール監督
映画監督・脚本家。フランス人。テレビ番組用のスポーツ映像編集からキャリアをスタート。2001年に自らの脚本による初長編監督映画『サバイブ・ルーム』を発表。現在は次回作を準備中で、『ピラミッド 5000年の嘘』の続編も監督予定

(取材・文/近兼拓史 撮影/高橋定敬)

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