MF: 岡崎慎司(前半36分 out)

 → ブンデスリーガの開幕戦でゴールを決めた勢いそのままに、立ち上がりから好プレーを見せていたが、怪我のため前半途中で交代。「無理すればプレーできる状態だった。」ということで、大事には至らなかったのは幸いだが、代わりに入ったMF清武が2ゴールに絡んだので、レギュラーの座は危うくなってきた。危機感が生まれていると予想されるが、チームとして考えると、攻撃的なポジションであればどこでもこなす選手で、かつ、得点力も備えるMF岡崎のような存在がベンチに控えていると心強い。短い時間でも結果を出せる選手なので「スーパーサブ」というのも面白い。


MF:清武弘嗣(前半36分 in)

 → 代表デビュー戦となったが、物怖じせず、2アシストをマーク。若干、右サイドに張りすぎのような気もしたが、よくプレーに絡んでいた。MF清武が入ってから、MF本田圭やDF内田がイキイキしてきたのが印象的で、彼らのいいところを引き出した。デビューとしては申し分なかったが、ドリブルでの突破やミドルシュートなど、彼の持つ「いいところ」がすべて出た試合ではなかった。素晴らしい出来だったが、もっとできても不思議ではない。


MF:本田圭佑

 → 2点目のゴールを決めたが、流れの中では久々のゴールとなった。これまでは、中央に居すぎるきらいがあったが、この日は、右サイドに出たり、左サイドに出たりと、動きの量も多くて、MF香川やMF清武とうまく絡んだ。ただ、アジア相手では「このくらいできても当然。」といった感じで、攻撃の中心に君臨した。面白かったのは、試合後に、韓国代表のチョ・グァンレ監督が、「MFイ・チョンヨンの怪我がなければ、MF本田圭をマークさせるつもりだった。」と語っていたことである。相手から見ると、要警戒の選手であることは間違いないが、「その作戦は本当に成功するのか?正しいのか?」と疑問に感じざるえないコメントだった。


MF:香川真司(後半40分 out)

 → 1点目のシュートは、完全な個人技だったが、ペナルティエリア内であれだけ落ち着いてプレーされると、相手DFはどうしようもない。ゴール前でちょっとしたボールコントロールのミスがあっても、瞬時にリカバーできてしまうのが特徴で、アイディアの豊富と技術の正確さはアジアレベルを大きく超えている。C大阪で試合に出場し始めていた18歳の頃は、ゴール前で慌ててしまって、シュートミスすることが目立ったので、「決定力さえあれば・・・。」という選手の典型だったが、すっかり変わってしまった。まだ22歳である。ゴール前ではFWメッシのようなプレーをすることがあるが、FWメッシよりは運動量があって、システムや戦術に対する柔軟性はある。今後、どこまで飛躍していくのか、ちょっと想像はつかない。


MF:細貝萌(後半40分 in)

 → 終了間際にMF香川と交代で出場し、ボランチに入った。プレーに関与することは少なかったので、評価は保留であるが、何人かいるボランチのバックアップ候補の一人で、ザッケローニ監督の頭の中の優先度では、上位に来ていると考えられる。もう一度、代表の中で、長時間プレーしているところが見たいが、なかなかそういうチャンスは巡ってこない。


ザッケローニ監督

 → 3対0になった後、メンバーを代えてリズムが悪くなったことに対して、多いに不満を感じているだろうが、後半28分にMF遠藤を下げるまでは、ずっと試合を支配していたこともあって、試合後は笑顔も見られた。うまく試合を終えられなかった点は課題として残ったが、仮にどこかのタイミングで、韓国が1点返していたとしたら、もっと慎重な試合の締め方をしたことだろうし、相手と実力差があって、3点もリードする展開となると、どうしても気が緩んでしまう。収穫は、DF駒野、MF清武、FW李忠成のパフォーマンスで、確実に使える駒が増えたといえる。MF香川とMF本田圭の共存問題も一つの答えが出て、南アフリカW杯でベスト16の韓国代表に3対0という快勝。選手やスタッフがつかんだ自信も相当なはずで、1つの親善試合の勝利にとどまらない大きな収穫を得たといえる。


韓国代表

 → 過渡期を迎えているという印象を受けた。1月のアジアカップでは、日本が若手主体で挑んだのに対して、韓国はベテラン勢も召集して、久々のアジア制覇を目指したが、結局、3位で終了。アジアカップの後、MF朴智星、DFイ・ヨンピョが代表から退いて、まだ、メンバーが固まっていない感じである。
戦い方も一貫しておらず、パスサッカーをするのか、ロングボール中心のサッカーなのか、どちらか一方に極端に偏ることがある。MFク・ジャチョル、MFキ・ソンヨンといった中心になるべき選手が、欧州で十分な成長を見せられていないのも痛いところで、日本とは差が出始めている。
MF曹永哲、MFキム・ボギョン、GKキム・ジンヒョンといった日本でプレーする選手は、Jリーグでもトップクラスのパフォーマンスを見せているので、タレントがいないわけではないが、彼らも有効に使えていない。また、ここ数年、高校や大学を卒業してすぐに、日本や欧州のクラブと契約する選手が増えてきている点も気になるところで、育成を外国のクラブに任せるのはかなり危険なことである。一歩間違えると、えらいことになる。