【斉藤アナスイの恋愛論】女の子の言う「かわいい」の信憑性
「ハーイ、ケン!あたしの友達が彼氏募集中なんだけどさー。一度会ってみない?」
彼女いない、出会いもない。そんな潤いのない生活を続けるケン君に、突然女友達のクミがこんなことを言ってきました。「え?どんな子?」、もはや条件反射の様に聞き返すケンくん。それに対し、クミはこう答えました。
「めっちゃ可愛い子だよー」
ケン君は思いました、「ついに俺の時代が来た…」。メールアドレスを聞き、メールを続け、電話番号を聞き、電話を続けた。「めっちゃ可愛い子」というクミの一言を元に、ケン君の期待はどんどん膨らんでいきます。そしてついに取りつけた、今週の金曜19時に新宿アルタ前集合、という約束。ケン君は、大きくガッツポーズをしました。
そして当日、ケン君は約束の15分前にアルタ前に着いていました。「ヨシコちゃん、一体どんな子なんだろう…」。しかし、10分前になっても、5分前になっても、ヨシコちゃんらしき人は現れません。「まぁ約束は19時だし。え?あの人?いや、クミはめっちゃ可愛いって言ってたし、違うよな…」。そう、そこには一人、誰かを待っているらしき女性がいたのです。実はさっきから、何度も目も合っている。しかしケン君は、認めません。その女性は、ケン君の思っていたような人ではなかったのです。「クミはめっちゃ可愛いって言ってたし、あの人じゃない」。19時になり、さらに5分が経ち、10分が経った。「…あの、すいません。ケン君ですか?」。そこでついに、ケン君に声をかけてきた女性が…。ケン君が驚いて顔を上げると、そこには、さっきから何度も目が合っていた女性が立っていました。「はい、そうです。初めまして」。この後ケン君とヨシコさんは、ドンキホーテに水を買いにいきました-。
男の言う『可愛い』と女の言う『可愛い』は違う
こんばんは、斉藤アナスイです。いや、冒頭から長々とすいません。どうしても必要だったもので…。さて【斉藤アナスイの恋愛論】、今回は「男の言う『可愛い』と女の言う『可愛い』の違い」というテーマでお送りしたいと思います。
これはもうね、違うんです。どっちが良いとか悪いじゃないなくて、ただ違う。だから結論から言えば、男は女の子が言う「可愛い」を簡単に信用してはいけない、ということになります。だって、違うんですから。では実際に、冒頭のケースでのケン君の変化を見てみましょう。
【期待する→実際に会う→想像と違う→テンション下がる】
こうですね。では何がいけなかったのか。それは「ケン君がクミの言葉を鵜呑みした」→「ケンくんが期待し過ぎてしまった」という点に尽きます。ケン君は事前に、インターネットでオシャレなバーを調べていました。それなのに、この日ケン君は自分を見失い、なぜかドンキホーテで水を買ってしまった。普通に会っていれば「可愛い」と思えたかもしれないヨシコさんでも、過度の期待のせいで霞んでしまった。
当然ヨシコさんも頭にくるでしょう。勝手に期待され、勝手に落ち込まれ。かなり失礼な話です。「自分のことは棚に上げやがって…」、そんなことを思われてもおかしくありません。この日、ケン君にもしそこまで過度の期待がなければ、ヨシコさんの本来の可愛さに気づけたかも知れない。テンションが下がらなければ、お互い楽しい時間を過ごせたかも知れない。大切な出会いが、ムダになってしまったのです。
じゃあいけないのはクミだ。クミが「めっちゃ可愛い」なんて言わなければ、ケン君はそんな期待をしなかったはずだ。はい、確かにそれはそうでしょう。でも僕は、このケースにおいてクミは悪くない、そう考えます。例えば、
クミが「可愛い」と言った→だから過度の期待をした
ケン君がそう訴えたとします。でも、クミがそう言っていなかったとしたら…。
クミが「可愛くない」と言った→ケン君「こいつ性格悪…」
そう思ったはずなんです。客観的に見ると、なんて自分勝手なんでしょう。クミが本当にヨシコさんをめっちゃ可愛いと思っていたかどうかは別として、クミはここで「可愛い」と言わざるをえなかった。だってヨシコは友達なんだから。言わないと自分が悪く思われるんだから。しかしケン君は、それを汲んでいなかった。厳しいようですが、ケン君には真実を見極める力が不足していた、ということなのです。
女の子のセリフの裏を見抜け
上のケースでは、クミはヨシコさんを「可愛い」と表現しました。そしてケン君は、自分が思っている「可愛い」との違いに戸惑った。でも、これは何も「可愛い」という言葉だけに限ったことではないのです。いくつか他の例をご紹介しましょう。
クミが「ぽっちゃり系」と言った→?
まずこのケースはどうでしょう。ケン君なら「ぽっちゃり系?全然アリ!むしろイイ!」、そんな風に期待をしていたことでしょう。でもこのケース、ケン君が思う「ぽっちゃり系」の子は本当に来るのでしょうか。「毎晩寝る前に鍋を嗜みそうな子」が来る可能性もあるのです。
クミが「今風じゃないけど可愛い」と言った→?
続いてはこのケース。やはりケン君は「黒髪でヤマトナデシコって感じ?むしろイイ!」、そう浮かれていたはずです。もちろんそういう子が来る可能性もあるでしょう。でも、もしかしたら「喜多川歌麿がモデルにしそうなHer」が来るかも知れない。この場合「今風じゃないけど」は「世が世なら」と言い換えることが出来ます。
でも、これを一口に「女の子の嘘」と言ってしまうのは、いささか乱暴な気がします。何度も言いますが、男と女の「可愛い」の物差しは違う。「ぽっちゃり」も「今風」も違う。そしてさっきも言った通り、紹介する側の保身もある。男だって「こいつマジいい奴だから、さ!部活とか超がんばってたし!」なんて、あまりありがたくない紹介をすることもあるじゃないですか。
不安なら聞く。格好悪くても聞く
そしてケン君が裏を読めなかったのには、ケン君が「可愛い」という言葉だけで満足してしまった、という大きなミスがあります。つまり「可愛い」を詰めなかった。例えば「芸能人で言うと誰に似てる?」、そんな質問をしてヒントを集めなかった。この程度の質問一つでも、実は多くのことがわかるのです。
「芸能人で言うと誰に似てる?」
「んー……………………南明奈」
この間。いままで苦い経験を重ねてきた男性の方ならピンと来ると思います。「あ、髪型が似てるんだな」。
「芸能人で言うと誰に似て…」
「駒田!元ベイスターズの!」
食い気味で答えてきたときは、信用度大。これは信じてもいいでしょう。きっと、チャンスに強いのでしょう。
「芸能人で言うと誰に似てる?」
「んー、芸能人じゃいないけど、妖精みたいな感じ」
これは判断が難しいパターンです。要するに、どの手の妖精なのかと。フワッとした感じの可愛らしい妖精なのか、夜中にミソを舐めるタイプの妖精なのか。他にも質問をぶつけて裏をとりましょう。
「芸能人で言うと誰に似てる?」
「んー、芸能人じゃいないけど、でもすっごい性格いいよ」
この場合、すっごい性格のいい子が来ます。
言葉の裏を感じ取ってください。「え?最初からプリクラとか見せてもらえばいいんじゃない?」。確かにそれは参考になるでしょう。しかし最近のプリクラは補正が凄まじいだけでなく、可愛く見える角度を研究している女の子も少なくないとか。中には、わざとピンボケしたプリクラを見せることもあるそうです。これでも、絶対とは言えないのです。
男からすれば、どうやったってある程度の期待はしてしまうもの。それは仕方ありません。外見を重視してしまう。それも否定はしません。けれど、過度な期待との差に、あからさまにテンションを下げるのはルール違反。紹介してくれた子、増してやその子本人に当たるなんてもってのほかです。「男と女の『可愛い』の物差しは違う」、それを改めて胸に刻んでおいてください。もしかしたら、素敵な出会いになるかもしれませんよ。
(テキスト&イラスト 斉藤アナスイ)
【バックナンバー:斉藤アナスイの恋愛論】
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「めっちゃ可愛い子だよー」
ケン君は思いました、「ついに俺の時代が来た…」。メールアドレスを聞き、メールを続け、電話番号を聞き、電話を続けた。「めっちゃ可愛い子」というクミの一言を元に、ケン君の期待はどんどん膨らんでいきます。そしてついに取りつけた、今週の金曜19時に新宿アルタ前集合、という約束。ケン君は、大きくガッツポーズをしました。
男の言う『可愛い』と女の言う『可愛い』は違う
こんばんは、斉藤アナスイです。いや、冒頭から長々とすいません。どうしても必要だったもので…。さて【斉藤アナスイの恋愛論】、今回は「男の言う『可愛い』と女の言う『可愛い』の違い」というテーマでお送りしたいと思います。
これはもうね、違うんです。どっちが良いとか悪いじゃないなくて、ただ違う。だから結論から言えば、男は女の子が言う「可愛い」を簡単に信用してはいけない、ということになります。だって、違うんですから。では実際に、冒頭のケースでのケン君の変化を見てみましょう。
【期待する→実際に会う→想像と違う→テンション下がる】
こうですね。では何がいけなかったのか。それは「ケン君がクミの言葉を鵜呑みした」→「ケンくんが期待し過ぎてしまった」という点に尽きます。ケン君は事前に、インターネットでオシャレなバーを調べていました。それなのに、この日ケン君は自分を見失い、なぜかドンキホーテで水を買ってしまった。普通に会っていれば「可愛い」と思えたかもしれないヨシコさんでも、過度の期待のせいで霞んでしまった。
当然ヨシコさんも頭にくるでしょう。勝手に期待され、勝手に落ち込まれ。かなり失礼な話です。「自分のことは棚に上げやがって…」、そんなことを思われてもおかしくありません。この日、ケン君にもしそこまで過度の期待がなければ、ヨシコさんの本来の可愛さに気づけたかも知れない。テンションが下がらなければ、お互い楽しい時間を過ごせたかも知れない。大切な出会いが、ムダになってしまったのです。
じゃあいけないのはクミだ。クミが「めっちゃ可愛い」なんて言わなければ、ケン君はそんな期待をしなかったはずだ。はい、確かにそれはそうでしょう。でも僕は、このケースにおいてクミは悪くない、そう考えます。例えば、
クミが「可愛い」と言った→だから過度の期待をした
ケン君がそう訴えたとします。でも、クミがそう言っていなかったとしたら…。
クミが「可愛くない」と言った→ケン君「こいつ性格悪…」
そう思ったはずなんです。客観的に見ると、なんて自分勝手なんでしょう。クミが本当にヨシコさんをめっちゃ可愛いと思っていたかどうかは別として、クミはここで「可愛い」と言わざるをえなかった。だってヨシコは友達なんだから。言わないと自分が悪く思われるんだから。しかしケン君は、それを汲んでいなかった。厳しいようですが、ケン君には真実を見極める力が不足していた、ということなのです。
女の子のセリフの裏を見抜け
上のケースでは、クミはヨシコさんを「可愛い」と表現しました。そしてケン君は、自分が思っている「可愛い」との違いに戸惑った。でも、これは何も「可愛い」という言葉だけに限ったことではないのです。いくつか他の例をご紹介しましょう。
クミが「ぽっちゃり系」と言った→?
まずこのケースはどうでしょう。ケン君なら「ぽっちゃり系?全然アリ!むしろイイ!」、そんな風に期待をしていたことでしょう。でもこのケース、ケン君が思う「ぽっちゃり系」の子は本当に来るのでしょうか。「毎晩寝る前に鍋を嗜みそうな子」が来る可能性もあるのです。
クミが「今風じゃないけど可愛い」と言った→?
続いてはこのケース。やはりケン君は「黒髪でヤマトナデシコって感じ?むしろイイ!」、そう浮かれていたはずです。もちろんそういう子が来る可能性もあるでしょう。でも、もしかしたら「喜多川歌麿がモデルにしそうなHer」が来るかも知れない。この場合「今風じゃないけど」は「世が世なら」と言い換えることが出来ます。
でも、これを一口に「女の子の嘘」と言ってしまうのは、いささか乱暴な気がします。何度も言いますが、男と女の「可愛い」の物差しは違う。「ぽっちゃり」も「今風」も違う。そしてさっきも言った通り、紹介する側の保身もある。男だって「こいつマジいい奴だから、さ!部活とか超がんばってたし!」なんて、あまりありがたくない紹介をすることもあるじゃないですか。
不安なら聞く。格好悪くても聞く
そしてケン君が裏を読めなかったのには、ケン君が「可愛い」という言葉だけで満足してしまった、という大きなミスがあります。つまり「可愛い」を詰めなかった。例えば「芸能人で言うと誰に似てる?」、そんな質問をしてヒントを集めなかった。この程度の質問一つでも、実は多くのことがわかるのです。
「芸能人で言うと誰に似てる?」
「んー……………………南明奈」
この間。いままで苦い経験を重ねてきた男性の方ならピンと来ると思います。「あ、髪型が似てるんだな」。
「芸能人で言うと誰に似て…」
「駒田!元ベイスターズの!」
食い気味で答えてきたときは、信用度大。これは信じてもいいでしょう。きっと、チャンスに強いのでしょう。
「芸能人で言うと誰に似てる?」
「んー、芸能人じゃいないけど、妖精みたいな感じ」
これは判断が難しいパターンです。要するに、どの手の妖精なのかと。フワッとした感じの可愛らしい妖精なのか、夜中にミソを舐めるタイプの妖精なのか。他にも質問をぶつけて裏をとりましょう。
「芸能人で言うと誰に似てる?」
「んー、芸能人じゃいないけど、でもすっごい性格いいよ」
この場合、すっごい性格のいい子が来ます。
言葉の裏を感じ取ってください。「え?最初からプリクラとか見せてもらえばいいんじゃない?」。確かにそれは参考になるでしょう。しかし最近のプリクラは補正が凄まじいだけでなく、可愛く見える角度を研究している女の子も少なくないとか。中には、わざとピンボケしたプリクラを見せることもあるそうです。これでも、絶対とは言えないのです。
男からすれば、どうやったってある程度の期待はしてしまうもの。それは仕方ありません。外見を重視してしまう。それも否定はしません。けれど、過度な期待との差に、あからさまにテンションを下げるのはルール違反。紹介してくれた子、増してやその子本人に当たるなんてもってのほかです。「男と女の『可愛い』の物差しは違う」、それを改めて胸に刻んでおいてください。もしかしたら、素敵な出会いになるかもしれませんよ。
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