インタビュー:映画『脇役物語』/益岡徹&永作博美「演じる側からしてみれば主役も脇役も関係ないですから」

―――本作は「脇役物語」という作品ですが、普段演じられるときに「脇役」というものをどのように捉えていらっしゃいますか?
益岡徹:(以下、益岡)脇役というのは、当然ですが、物語の中でなくてはならないもので、主人公の感情やストーリーを支える大事な役割だと思っています。お客さんは映画のストーリーを主人公に沿って観ていくものだと思いますが、そこに脇の人たちが現れることで、いろんな道を辿ったり、主人公の感情を追ったりできるわけですからね。
永作博美:(以下、永作)さっき「永作さんにとって名脇役ってどなたですか?」といった質問を受けたのですが、答えに窮してしまいました。というのも、私が主役、脇役という概念であまり捉えていないのかなと思うんです。お客さんからすれば主役、脇役でくくれるのかも知れませんが、演じてるほうからすると、主軸は常に自分ですし、主役も脇役もあまり関係ないみたいです。
―――益岡さんは“名脇役”と言われることが多いかと思いますが、そう表現されることに対するお気持ちは?
益岡:正直言って面映ゆいですね(笑)。物語の中での存在感が忘れられないとか、言っていただくのは素直に嬉しいですけど、名脇役というのはちょっとね(笑)。ときどき考えるんですよ、主役の芝居、脇役の芝居って違いがあるのかなって。多分ないんじゃないかなと思ってますけど。
―――この作品の脚本を初めて読んだときの率直な感想をお聞かせください。
益岡:緒方監督とは、以前、短編でご一緒させていただきまして、すごくエネルギッシュな方という印象がありました。で、そもそもなぜ監督がこの映画を作られたかという話をしてもいいですか?
―――ぜひお願いします。
益岡:監督はアメリカの大学を卒業して、就職した日本の一流企業をやめ,映像作家を目指した人。そんな人が初めて長編映画を作るということで、いろんな仲間がお金を出してくれたそうです。出資することで一緒に夢を実現しようと、その思いが映画の出発点だったようです。
―――作品の成り立ちに対する想いが大きいということですね。
益岡:そうですね。そして、脚本を読ませていただいたときに、なんとかこの想いに応えないと、という気持ちを強く持ちましたね。初めて脚本を読んだ感想という質問でしたが、まずそういった気持ちが先にありましたね。そして、映画を作るということは、関わった人達に、同じ夢を見せてくれる力のあるものだなということを改めて感じました。
―――永作さんは脚本に対してどのような感想を持たれましたか?
永作:素直で純粋な脚本だなと感じました。よく映画にありがちな山場のシーンとか、流れを重視した起承転結みたいなものはなくて、それぞれの場面がとても丁寧に描かれているなと。また、素直に生きている人たちがたくさん描かれていて、久々に出会ったタイプの脚本だなという印象でした。