上半期決算発表時には、1兆2500億円もの緊急収益改善活動を見込み、通期業績を上方修正。しかしなお営業赤字は3500億円とするなど、巨艦ゆえか、他社に比べて業績回復スピードの遅さは否めない。

 ただトヨタの経営問題の一方で、F1そのものの魅力や、自動車メーカーが参戦する意義が、近年は薄れてきていたという点も注視すべきだろう。ガソリンエンジンのスピードを追及するという競技内容自体が、クルマに環境性能や燃費を求める時代にそぐわなくなっているからだ。

 昨年トヨタに先んじてF1から撤退したホンダは、F1に関わっていた技術者をエコカー開発に配置転換した。「彼らにはF1よりももっと厳しい課題を課している。F1がスピード技術と燃費技術が正当に競技されるような、よっぽどなにか新しい形にならない限り、当面の参加はない」(伊東孝紳・ホンダ社長)。

 世界トップの自動車メーカー・トヨタのF1撤退は、改めて、自動車産業が大転換期を迎えていることを裏付けた格好になった。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 柳澤里佳)


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