――カヴァーって、原曲のファンの気持ちを考えつつも、自分の個性も出さなければいけないと思うのですが、何か気を付けたことはありましたか?

大山:実はデビューシングルからカヴァーを歌っていて、MONGOL800の「あなたに」や「小さな恋のうた」という曲をカヴァーした時に、カヴァーということがカヴァーに思えなくて(笑)。自分も青春時代に聴いていた曲なので、「他にどういう魅力があるんだろう?」と思って、まるで自分の曲のようにアレンジをしたり、そういう雰囲気を出す作業がすごく楽しかったんですよ!

――自分もまた、原曲のいちファンという思いもありつつ。

大山:そうですね。カヴァーって新しい魅力を引き出さないと意味が無いし、色を変えないとやっている意味が無いので、今回の曲はもう意図的に、全く新しいアレンジにしました。

――どのアーティストも非常に個性的な歌声の持ち主ですが、対する大山さんも先ほど戸田さんが「色で例えると、白」と言われていたように、非常に独特な歌声ですよね。

大山:実はデビューする前、自分の歌声の良さが分からなくて、「私の歌って、どこに魅力があるんだろう?」って、すごく悩んだ時期があって。もちろん今でも悩むことはあるんですけど。でも私にはこれしか出来ないので。専門学校の若い頃は、ロック、ゴスペル、ジャズ、色々な曲を聴いていて、「自分は何がやりたいのか?」すごく悩んだ結果、真っ直ぐ歌うこと、真っ直ぐ人に伝えることが大事なんだと分かったんですね。

 それでデビューしてから、自分のCDを出して、自分の声を色々な人に聴いてもらえるチャンスが出来て、実際に色々な人に聴いてもらって。「大山百合香の声のここがいい」とか「癒し」とか言ってもらえるようになって。「じゃあ、どうやって人に楽しんでもらうか?」という所で、私に出来ることは、自分が小さい頃から見てきた南の自然を、歌を通して伝えることだと思うので。「少しでも自分の経験を生かして、人に伝えられたらいいな」と思ったら、また色々な曲が歌えるようになりました。

――自分の声をコンプレックスに感じた時期もあったんですね。

大山:すごく感じましたね。とことん客観的に自分を見て、追求して。そういう時期があって良かったな、と今は思っています。