70歳まで住宅ローンが月「8万円」残る夫。「年金で払えるから繰上げ返済は不要」と言いますが、私は定年前に減らしたほうが安心だと思います。老後の家計を考えると、どちらを選ぶべきなのでしょうか?

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住宅ローンが70歳まで残ると分かっていたら、定年前に少しでも返しておくべきなのでしょうか。それとも、年金で払えるなら無理に貯蓄を減らさないように、当初の計画通り返済していくべきでしょうか。   今回の記事では、老後を踏まえた住宅ローンの返済について考えていきます。

老後の負担はどれくらい?

始めに、老後70歳まで月8万円の返済がどれくらいの負担になるか軽く考えてみましょう。
仮に65歳で退職し、70歳まで毎月8万円の住宅ローンを返済すると、5年間の支払額は単純計算で480万円となります。(8万円×12ヶ月×5年=480万円)
480万円という具体的な金額でみると、決して小さい金額とは言い切れないことが分かります。
加えて、総務省統計局が公表している「家計調査報告〔家計収支編〕2025年(令和7年)平均結果の概要」によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯では、可処分所得が月22万1544円なのに対し、消費支出は月26万3979円です。平均すると、おおよそ毎月4万円ほど赤字が出ている状態です。
ここに8万円のローン返済が加わると、70歳までの5年間は月に12万円もの負担が続く計算となります。
もちろん、各世帯で収支の状態は異なるため、一概にすべての世帯でこれだけの負担が生じるとは限りません。
ただし、平均的な家計をもとに、限られた収入の中で老後の生活費をやりくりする状況を考えると、住宅ローンの返済が老後まで続くことによる家計への負担が見えてきます。
 

繰上げ返済のメリットとデメリット

では、繰上げ返済を検討するとどうでしょうか。繰上げ返済をすると、将来支払うはずだった元本を前倒しで返済するため、その分の利息を減らすことができるというメリットがあります。
ただし、繰上げ返済するにしても、定年前に完済する必要はありません。例えば、老後の生活に入る前に一部だけ繰上げ返済し、老後に生じる月8万円の返済額を月5万円程度に抑えることも手です。
むしろ、手元資金をある程度残しながら柔軟な対応が取れる分、無難な選択ともいえます。
一方で、住宅ローンを早く完済したいからといって、預貯金の大部分を繰上げ返済に充てることにも注意が必要です。手元の資金が少なくなり、急な出費への対応が難しくなる可能性があります。
老後にかかるお金はその時々になってみなければ分からない部分が多いです。例えば、医療費や介護費、住居の修繕費、家電の買い替えなど、まとまった支出が突然発生することは決して珍しくはありません。
 

金利も確認する

繰上げ返済にあたって忘れてはならない存在に住宅ローンの金利があります。
まず、基本的に金利が高ければ高いほど、繰上げ返済によって削減できる利息の額も大きくなります。反対に、低金利であれば、利子の額もわずかであるため、無理に返済するメリットは小さくなります。
また、近年では金利の上昇が騒がれるようになってきています。とはいえ、金利が多少上がっても、年間の返済額が今すぐに100万円単位で大きく変動することは基本的にありません。
金利の上昇局面であっても焦らず、変動する返済額など影響を見極めて返済を考えることが大切です。
 

まとめ

定年後まで住宅ローンが残ってしまうからといって、それを必ず定年前に完済するのが正解というわけではありません。
まずは老後想定される収支の状況において、月8万円の住宅ローンを無理なく払えるかを検討し、全額ないし一部でも繰上げ返済するのであれば、繰上げ返済後にも十分な預貯金が残るか、ローン金利や住宅ローン控除はどうなっているかなど状況を冷静に確認し、慎重に判断していくようにしましょう。
 

出典

総務省統計局 家計調査報告〔家計収支編〕2025年(令和7年)平均結果の概要 II 総世帯及び単身世帯の家計収支 <参考4> 65歳以上の無職世帯の家計収支(二人以上の世帯・単身世帯) 図1 65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)の家計収支 -2025年-(18ページ)
執筆者 : 柘植輝
行政書士