独占インタビューで皇室について語る石破茂前首相

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 今年6月13日(日本時間)から14日間の日程で、オランダ・ベルギーを歴訪された天皇皇后両陛下。雅子さまにとってご成婚後初めての欧州歴訪だった。そんな"歴史的"ご訪問に首席随員として同行し、両陛下の国際親善のご様子を間近に見た石破茂前首相(69才)は、両陛下のお姿に「本当に驚嘆した」と語る。石破氏は、両陛下との時間を重ねるなかで皇室をどう見つめたのか。【前後編の前編】

【写真】真剣な表情で、皇室について語る石破茂前首相。他、「小児がんセンター」で患者らと会話をされる天皇皇后両陛下やご公務中に驚きの表情を浮かべられる愛子さまなども

──欧州歴訪への随行を「大変なお役目で非常に緊張した」とお話しされていました。

「最初に首席随員のお話をいただいたのは今年の4月頃。真っ先に頭に浮かんだのは『このようなありがたいお話はなんとしてもお受けせねば』という思いでした。

 今年の6月の欧州は記録的な酷暑で、ベルギーの隣国・フランスでは死者が出たほどでしたが、私が傍で拝見した両陛下は、汗をかかれることすらなく、常に穏やかに微笑まれていました。そうあろうと努めておられることが、お傍にいて初めてわかります。あの猛暑の中でも、少しの苛立ちも戸惑いも見せられることなく、表情が曇られることがない。どんなときも、どんな人にもあの穏やかな笑みをたたえ、誠実にお話しされるお姿がとても印象的でした。

 両陛下のなさりようを間近で見ることができたのは、なんとも得がたい経験でした。両陛下は両国の王室の方だけでなく、現地の日本人や視察先の方々などを全部把握されていたと思います。すべての人に対して、その人に合ったお話や接し方をなさるのを見て、これは到底真似できるものではないと思いました」

陛下から授かった国際親善のご示唆

──印象的だった場面は。

「雅子さまの"親友"としても知られるオランダのマキシマ王妃が情熱を注いで作られた、ユトレヒトにある『プリンセス・マキシマ小児がんセンター』でのことです。両陛下はオランダ滞在の最終日にその小児がんセンターをご訪問されました。

 視察中、両陛下は多くの入院患者やその家族に囲まれ、一人ひとりに丁寧に声をかけていらっしゃいました。私は少し離れたところに控えていたのですが、そこに2才か3才くらいの車椅子に乗ったお子さんとそのお母さんがやってきて『誰が来ているの?』と尋ねました。日本のエンペラーとエンプレスが来ているのですよと言うと、その親子は『お話ししてみたい』と。

 そこで、『近くに行けば、きっとおふたりと話ができますよ』と言って、その親子がそのまま両陛下のお傍に近寄れるようにそっと道をあけました。いわば"飛び入り参加"ですが、両陛下は戸惑うご様子もなく、その親子とそのままお話をしてくださいました。彼女たちはほんとうにうれしそうな顔をしていて、親子にとって幸せな一日になったのだろうと思いました。こうした光景こそ、日本に皇室があることのありがたさの証だと実感しました。

 実際、国際親善において、皇室の影響力は絶大です。新任の外国の特命全権大使には、皇居で天皇陛下に信任状を捧呈する重要な儀式があります。私も国務大臣として何度も侍立しましたが、どの国の大使も緊張と感動で震えているものです。それだけ、日本の皇室は世界から尊敬されていて、わが国にとってとても大きな存在。

 私が拝見した両陛下には、オーラとしか形容できないような不思議な力があり、そのオーラやお人柄は付け焼刃で身につくものではありません。長い年月をかけて研さんを積まれ、全身全霊でお努めになっているからこそ、近くで接した人たちの心を打つのだと思います」

──首相在任中は「内奏」の機会があり、陛下と直接お話しされることもあった。

「内奏は皇居内の会議室ほどのお部屋に招かれ、陛下と首相が一対一でお話をします。お茶が一杯出されるだけで、侍従も秘書官も同席しません。私が総理大臣を務めていた約1年間は、大阪・関西万博の開催があったため外国の要人が来日する機会が多く、96か国の首脳と会談しました。これについても、陛下から、いろいろとご示唆をいただきました。

 また、陛下とお話ししていると、先の大戦についても広く深い知識と思いをお持ちであることがうかがえます。上皇さまが常々、『日本には記憶に刻み続けるべき4つの日がある』と語ってこられたことは知られていますが、陛下もその教えを受け継ぎ、沖縄慰霊の日、広島・長崎に原爆が投下された日、終戦の日をとても大事にしていらっしゃることが推察されました。詳しいことは申し上げられませんが、私の印象です」

(後編へ続く)

【聞き手】
小川匡則(おがわ・まさのり)/1984年、東京都生まれ。北海道大学農学部卒、同大学院修士課程修了後、フリージャーナリストとして活動。政治、経済、社会問題について、講談社『週刊現代』のほか、Yahoo!ニュース特集などでも執筆。

※女性セブン2026年10月15日号