2軍最終戦は「3回5失点」のDeNA・藤浪晋太郎(32)が“戦力構想外”に…18歳の大谷翔平に“現時点では負けている。彼に追いつけるように頑張りたい”と言わしめた天才投手はどうなる
DeNAの藤浪晋太郎は9月27日、ファーム・リーグ最終戦となる巨人戦に先発出場した。結果は3回8安打5失点、1四球2三振──。振り返れば、阪神のドラフト1位だった藤浪晋太郎の入団会見は2012年12月3日、そして日ハムのドラフト1位だった大谷翔平の入団会見は12月9日に開かれた。この年のオフ、スポーツ新聞を中心とするスポーツメディアは、彼ら新人2人の動向を最優先に詳報していた。共にまだ1球も投げていない高校生でありながら、その話題性で藤浪と大谷は早くもプロ野球界を席巻していた。(前後編の前編)
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18歳の藤浪は無数のフラッシュを前に、44歳で現役を引退した金本知憲氏について言及。自分は投手として「40代まで一線級で頑張りたい」と抱負を述べた。さらに大谷との対戦を熱望し、「ファンの方は楽しみでしょうし、もし対戦することがあったら、思い切っていきたい」と意欲を見せた。

やはり18歳の大谷も同じようにフラッシュを浴びながら、「たくさんの方々に迷惑をかけて申し訳ない。日本でプレーする姿を見ていただいて、恩返ししたい」と頭を下げた。入団会見では異例の謝罪表明は、当初はメジャー挑戦の意思が堅く、ドラフト会議で複数の球団が指名を見送ったからだ。
大谷も藤浪について質問され、「全日本(18U世界選手権)で一緒に戦って現時点で負けていると思う。これから早く成長して彼に追いついて、戦えるように頑張りたい」と、謙虚な姿勢を鮮明にした。(註1・2)
あれから14年。今年で32歳になった藤浪について9月24日、複数の通信社やスポーツ新聞が「DeNAの藤浪が、来季の戦略構想から外れたことが球団関係者の取材で分かった」と伝えた。
「新庄監督なら」「桑田監督なら」……の声
メディアは「藤浪は現役続行を希望している」と報道。藤浪は27日の対巨人戦が終わると取材に対応し、「基本はNPB(日本プロ野球)でプレーさせてもらえたら」と希望を明らかにした。担当記者が言う。
「XなどのSNSでは“藤浪再生プロジェクト”が成功しそうな指導者やチームの名前が次々に投稿されています。指導者の場合、具体的には日ハムの新庄剛志監督、楽天の吉井理人監督、オイシックス新潟の桑田真澄CBO(チーフ・ベースボール・オフィサー)といった顔ぶれです。さらに『再びアメリカに渡り、マイナーリーグのトリプルA(2軍)やダブルA(3軍)でイチから出直せ』、『韓国や台湾のプロ野球も面白いのでは?』など、様々な意見が投稿されています」
野球解説者の広澤克実氏はヤクルト、巨人、阪神の3球団でプレーし、阪神では一軍打撃コーチとして後進の指導にも当たった。
広澤氏は「すでに何人ものコーチや監督が藤浪投手を指導してきました。それでも彼が全く変わらなかったことが重要ではないでしょうか」と言う。
与死球の原因は明白
「これまでのように藤浪投手が暴投して右打者に死球を与えた場合、昭和のプロ野球なら激しい乱闘が起きていたのは間違いないと思います。昨年8月に中日が藤浪対策として球団史上初となる1番から9番まで左打者を並べたことも記憶に新しいでしょう。私は打者で投手の経験はないとはいえ、藤浪投手の不調はフォームに問題があると簡単に分かります。つまり“イップス”のような精神的なショックが原因ではないのです。多くのプロ野球OBが指摘するように、藤浪投手はテイクバックの際、右肘が背中のラインよりも後ろに深く入り込みすぎます。このために制球に苦しんだり、右打者に死球を与えたりしているのです」(同・広澤氏)
藤浪は阪神、MLBのアスレチックス、オリオールズ、メッツ(登板なし)、マリナーズ傘下のレイニアーズ、そしてDeNAで投げ続けてきた。
「どのチームも藤浪投手の問題点は把握していたでしょう。右肘の使い方を中心に、フォームの改善を助言、指導してきたと考えられますが、現在に至るまで藤浪投手の欠点は修正されていません。こうなると藤浪投手は『何らかの理由でコーチや監督の助言を聞かない。聞く耳を持たないタイプ』ではないかと疑われても仕方がないと思います」(同・広澤氏)
「二刀流を止めろ」の報道
ある日突然、「藤浪が心服するほど桁外れの人間的魅力に満ち、助言の全てを素直に従わせる傑出した指導力を持つ」コーチが出現すればフォームの問題は解決できるかもしれない。だが、それが実現する可能性は非常に低いだろう。
「私は大学野球の指導にも携わっています。大学の野球部には、高校時代に夏の甲子園で活躍するなど見事な実績を残しながら、今は伸び悩んでいるという選手がいます。そういう選手に私が改善すべきポイントに気づいて助言しても、『このやり方で活躍していましたから、絶対に変えません』、『このやり方で野球が上手くなったので続けます』と反論される場合があるのです。成功体験に固執するあまり、成長の機会を失っているのです。ここから先は推測になりますが、藤浪投手も同じ状態になっていないでしょうか? 彼は来年で33歳。まだポテンシャルは充分にあるだけに、現状は残念です」(同・広澤氏)
一方の大谷も、9月9日に「右上腕二頭筋の炎症」で負傷者リスト入りしたことが大きな注目を集めている24日に復帰したが、アメリカのスポーツメディアでは「もう二刀流は止めるべき」という記事が配信され、アメリカと日本で広範な議論を巻き起こしているのだ。
後編【シーズン“無冠”の大谷翔平(32)に米メディアが「二度と投げるべきではない」「もう不死身ではない」…急増する打者専念論に“NPBで306本塁打のスラッガー”は「それでも大谷は二刀流を貫くでしょう」】では、アメリカメディアは「大谷は投手を引退し、打者に専念すべき」と相次いで訴えている現状について詳しくお伝えする──。
註1:阪神のドラフト1位・藤浪が金本氏のような息の長い「投げる鉄人」になると宣言(スポーツ報知:2012年12月4日)
註2:日本ハムドラフト1位・大谷翔平が入団正式表明 日本一になってメジャー挑戦へ(スポーツ報知:2012年12月10日)
デイリー新潮編集部
