【アジア大会】福部真子 30歳「菊池病」と闘いながら金 女子100M障害日本勢ワンツーも「半分引退」
◇愛知・名古屋アジア大会第9日(2026年9月27日)
陸上女子100メートル障害で日本勢がワンツーを飾った。前日本記録保持者の福部真子(30=日本建設工業)が12秒74で日本勢44年ぶりの金メダルを獲得。日本記録保持者の中島ひとみ(31=長谷川体育施設)が12秒78で2位に入った。女子やり投げは24年パリ五輪金メダルの北口榛花(28=JAL)が62メートル70で銀メダルだった。
目をつぶってゴールに飛び込んだ。福部に勝った実感はない。大型画面に映し出された自身の姿を見て「私か」と気付いた。「本当に獲れると思っていなかった。今でも実感が湧かないが、自分が獲ってきたメダルの中で一番価値のある金メダルだった」。8月に日本記録を更新された中島との一騎打ちは、スタートから鋭く飛び出して先行。無心で走り、後半型のライバルから逃げ切った。
正真正銘の集大成だった。レース後に「実は今回のアジア大会で引退を考えていた」と切り出した。24年秋、首のリンパ節が腫れて発熱と激痛が伴う原因不明の病「菊池病」を発症した。37度台の微熱と向き合いながら、体脂肪を1桁台にキープすると免疫が落ちて体調を崩した。自然治癒を待つしかなく、この日もスタートラインに立てるかも分からない状態。12秒44のアジア記録を理想に掲げながら、現実とのギャップに苦しんだ。「そこに向かって進めていない事実を毎日のように突きつけられてきて、菊池病とどう向き合っていったらいいか分からなくて」。心身ともに限界に近かった。
周囲には来季の休養を勧められ、まだ決断はしていない。それでも「半分以上は引退というか…」と打ち明けた。だからこそ胸を張って言える。「競技人生の中で思い出になる最高のレースができました」。何度も諦めかけた走路を駆け抜けたその姿は、決して色あせることはない。
◇福部 真子(ふくべ・まこ)1995年(平7)10月28日生まれ、広島県府中町出身の30歳。小学校で陸上を始め、府中中3年時に四種競技で全国優勝。広島皆実高時代には100メートル障害で全国総体3連覇。日体大を経て18年日本建設工業に入社。22年に初めて日本記録を樹立し、24年に12秒69まで伸ばした。24年パリ五輪、25年世界選手権東京大会で準決勝進出。1メートル65。
≪中島は銀 「素敵な負け」≫福部に0秒04及ばなかった中島は「1位を獲ると思い続けて準備してきた。これが実力。素敵な負けでした」と涙を拭った。今年の日本選手権を初めて制し、8月には福部が持っていた日本記録を2週続けて更新した31歳。抱擁を交わして福部を称え「スタートから焦るわけでもなく自分らしいレースができた。言い訳なく全力を出し切りました」とすがすがしい言葉を並べた。

