治安戦略アナリストの小比類巻文隆氏が、自身のYouTubeチャンネル「元警視庁刑事・小比類巻文隆【最後の取調室】」で「迷惑すぎる!サッカー代表・中村敬斗(26)に、ストーカー女(65)が結婚迫り逮捕。元警視庁刑事が解説」と題した動画を公開した。動画では、サッカー日本代表の中村敬斗選手に対しストーカー行為を繰り返したとして、65歳の女が逮捕された事件について、現行法が抱える「法のグレーゾーン」を独自の視点で解説している。

事件の発端は、埼玉県在住の自称フリージャーナリストの女が、フランスでプレーする中村選手の事務所宛に結婚を迫る手紙を送ったことである。女はすでにストーカー規制法に基づく禁止命令を受けていた。また、過去にもSNSを通じて執拗なメッセージを送り逮捕された経歴があるほか、フランスへも複数回渡航し、現地で身柄を拘束されたこともあるという。

小比類巻氏が最大の課題として指摘するのは、過去の事件で千葉地検松戸支部が「犯行時の精神状態を考慮」し、女を不起訴処分とした点だ。今回も同様に責任能力の有無が問われ、不起訴となる可能性が高いと推測。不起訴になれば再び社会に放たれ、ストーカー行為を繰り返すという「負のループ」に陥る危険性を訴えた。さらに現行の「医療観察法」などの制度は、殺人や放火といった重大な他害行為が対象であり、ストーカー行為のみで強制的な入院治療に繋げるのは困難だという。

小比類巻氏は、刑事罰を科すことも医療機関に強制入院させることもできない「絶妙なグレーの間に位置する人間がいる」と表現。警察としては、被害が確認されるたびに逮捕・送致を繰り返すしか手立てがないというもどかしい現状を語った。被害者の安全と平穏な生活をどのように守り抜くのか、現行制度の狭間で浮き彫りとなった課題は根深く、今後の法整備を含めた議論が求められそうだ。

チャンネル情報

元警視庁刑事・国際捜査官。1993~2023年警視庁。爆弾処理班配属後、警視庁中国語通訳を経て国際捜査官に。以降、国内外の銃器・薬物犯罪の情報収集、秘匿捜査に従事する。ほか殺人、強盗、誘拐事件などあらゆる捜査に参加。退官後、30年に及ぶ警察人生の知見を世の中へ貢献すべく治安戦略アナリストとして活動中。