W杯敗退で評価が一変…トゥヘル監督に求められる信頼回復とイングランド代表の再出発【現地発】
しかし国内では、イングランド代表の話題が驚くほど少ない。とりわけ、トーマス・トゥヘル監督に対する関心の薄さが気になっている。かつて、彼はイングランドの救世主になるはずだった。
北中米W杯メンバーからコール・パーマーやトレント・アレクサンダー=アーノルド、フィル・フォーデン、ハリー・マグワイアといった選手を外した際も、ファンはトゥヘル監督の判断を信じていた。彼ならチームを成功に導いてくれると考えていたからだ。
しかし、北中米W杯でイングランドは準決勝敗退。アルゼンチン相手に試合終了まで残り5分というところまでリードしながら1-2で敗れた。敗戦後、批判の矛先はトゥヘル監督へと向けられた。
この試合で特に問題視されたのが交代策だ。試合を見ていた解説者やファンの多くが采配に疑問を呈し、私自身も首をかしげずにはいられなかった。
その後、救世主として迎えられた指揮官への見方は一変した。大会から2か月が経ち、UNLを皮切りに新たな戦いが始まろうとしているなか、代表チームの試合を楽しみにしている人をほとんど見かけない。
そもそも、W杯での問題はアルゼンチン戦だけではなかった。イングランドはDRコンゴ戦でも苦戦し、ノルウェーとの準々決勝では延長戦までもつれ込むなど厳しい戦いばかりだった。結果的に3位で大会を終えたが、その結果だけでは、大会を通じて露呈したさまざまな課題を覆い隠すことはできない。
トゥヘル監督は今後、ジュード・ベリンガムやハリー・ケインといった絶対的なスター選手の個人能力に頼るだけでなく、チーム全体で勝利を掴む方法を見つけなければならない。UNLは、指揮官が再び自らの手腕を証明する機会となる。
失われた信頼を取り戻せるか。
文●スティーブ・マッケンジー(サッカーダイジェスト・ヨーロッパ)
著者プロフィール
スティーブ・マッケンジー/1968年6月7日、ロンドン生まれ。ウェストハムとサウサンプトンのユースでプレー経験がある。とりわけウェストハムへの思い入れが強く、ユース時代からのサポーター。スコットランド代表のファンでもある。大学時代はサッカーの奨学生として米国で学び、1989年のNCAA(全米大学体育協会)主催の大会で優勝した。現在はエディターとして幅広く活動。05年には『サッカーダイジェスト』の英語版を英国で出版した
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