80歳でも「30代女性がいい」…70代、80代で熱を帯びる“シニア婚活”、男女とも「年下希望」で起きるすれ違い
人生100年時代と言われるなか、いま、70代、80代になってから結婚相手を探す“シニア婚活”に励む人たちがいる。子育てを終えた独身者や、配偶者との死別・離婚を経験した人だけでなく、60代、70代で初めて結婚を目指す人も珍しくないという。一方、シニア婚活では、年齢へのこだわりや介護、相続など、若い世代とは異なる問題が絶えないようだ。婚活の現場で起きている男女のすれ違いについて、結婚相談所の担当者に聞いた。
80代で婚活、60歳を過ぎて「子どもが欲しい」という人も…
「70代以上の会員は、ここ2、3年で特に増えています」
そう話すのは、開業から33年の東京・銀座の老舗結婚相談所「ブライダルゼルム」の代表・立花えりこさんだ。
立花さんによると、開業当初の会員は20~40代が中心だったが、ここ10~15年ほどで徐々に年齢層が上昇。現在は50~60代が中心を占め、最近では70代の入会も目立つようになったという。なかには80代で婚活を始める人もおり、最高齢の会員は86歳にのぼる。
「うちではお見合いとは別に毎週日曜日、年代別の婚活パーティーも開催していて、50~60代と、60代後半~70代以上の2つの枠を設けています。意外にも、予約が早く埋まるのは60代後半~70代以上のほうなんです。
やっぱり健康年齢が上がっているからだと思います。70代でもとってもお元気ですし、婚活をするにも、お見合いをしたりパーティーに出たりする気力が必要ですから。
70代以上の方は、これまでの結婚歴もさまざまです。結婚歴のない方、死別された方、離婚された方が、それぞれ3割ぐらい。初婚だからといって、ずっと結婚したくなかったわけではなくて、親の介護があったり、出会いがなかったりして、結婚する機会がなかった方もいらっしゃいます」(立花さん)
シニアの婚活においては、若い世代の婚活では重視されがちな学歴や勤務先もそれほど重要ではなくなると立花さんは話す。一方、条件以上に成婚を遠ざけるのが、長年の生活で染みついた振る舞いや考え方だ。
「年収があって、それなりに仕事で成功してきた男性でも、物言いが上から目線だったりするんです。お見合いなのに女性に『君は?』なんて聞いて、まるで面接みたいになってしまうこともあります。ずっと人に何かをしてもらう立場だった方だと、女性にもそれを求めてしまうんですよ。
それに、60歳を過ぎても『子どもが欲しい』という方もいます。でも、子どもを望んでいる若い女性が、わざわざ60代、70代の男性を選ぶのは難しいですよね。私が担当したなかでは、85歳の男性と53歳の女性という32歳差のケースもありましたが、その男性は経済力が桁違いでした。だからといって、経済力だけあればいいわけでもありません。年齢を重ねても若い頃と同じような条件を求め続けていると、それだけお相手の選択肢も狭くなって、成婚は難しくなります」(同前)
「女性は結婚後の介護を心配して年上の男性を嫌がる傾向があります」
ただし、年下の相手を求めるのは男性に限った話ではない。シニア女性にも年下男性を希望する人は多いが、その背景には、より切実な事情があるという。
東京・杉並区で「金井美枝子結婚相談室」を営み、17年にわたって婚活の現場を見てきた金井美枝子さんによると、特に60代以上の女性から聞かれるのが、年上男性との結婚後に待ち受ける介護への不安だ。
「女性は、結婚後の介護を心配して年上の男性を嫌がる傾向があります。もちろん、すでに介護が必要な方はそもそも入会できませんが、60代、70代になれば、血圧が高かったり、糖尿病の気があったりする方も出てきますからね」(金井さん)
こうした老後への懸念もあり、女性側も将来を見据えて、少しでも若い男性を結婚相手に求める傾向があるという。
「60代以上の女性でも、かなり年下の男性を希望する方はいらっしゃいますが、60代の女性を希望する40代男性はなかなかいません。
70代の女性でも『年上の人はもうおじいちゃんだから嫌』とおっしゃる方がいます。一方、男性も同じで、80歳になっても『30代の女性がいい』という方もいますよ。でも、いくら申し込んでも受けてもらえないですね。
結局、男性も女性も『年下がいい』となってしまうんです。これが、シニア婚活がうまくいかない原因のひとつです。70代、80代になると、お見合いを組むこと自体が難しくなります」(同前)
「相続が絡むと二人だけの問題ではなくなってしまう」
一方、希望する相手と出会い、交際まで順調に進んだからといって、必ずしも結婚にたどり着けるわけではない。シニア婚では、本人同士の気持ちとは別に、財産や相続をめぐって子どもから結婚を反対されるケースもあるという。
「お互いに結婚したいと思っていても、お子さんが反対して入籍できないケースはあります。やっぱり一番揉めるのは財産や相続ですね。なかには『親の介護はパートナーにしてもらいたい。でも遺産は自分たちが相続したい』というケースもあります。
それで結局、入籍をあきらめて事実婚を選ぶ方もいらっしゃいますよ。本人同士は結婚したくても、相続が絡むと二人だけの問題ではなくなってしまうんです」(同前)
それでも、「残りの人生を誰かと過ごしたい」という思いから、高齢になって婚活を始める人は増えているという。一方で、長年培ってきた価値観や相手に求める条件、介護や相続など、年齢を重ねたからこそ直面する問題も少なくない。70代、80代の婚活は、人生経験や歳を重ねたからこその難しさを抱えているようだ。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
