緑茶でもコーヒーでもない…肝臓外科医「1カ月中止するだけで肝機能が大きく改善する」と説く"身近な飲み物"
※本稿は、尾形哲『ダイエットも健康も 肝臓こそすべて』(新星出版社)の一部を再編集したものです。

■体重の記録は「短期間、数値化、記録」
いつまでやるか、どこまでやるかを明確にして続けなければ、結果はついてきません。「脂肪肝を減らすために食事を改善しましょう」などという、具体性に欠ける目標設定ではダメなのです。
お正月の風物詩、箱根駅伝ではタスキを10人のランナーがつないで、優勝を目指します。
体重の記録は「短期間、数値化して、記録する」ことが重要です。この頭文字を並べて、「タスキの法則」と名付けました。
タスキのタは、短期間のことです。私たちが開設した肥満・脂肪肝専門外来の「スマート外来」では、患者さまに「3カ月だけ頑張りましょう」とお伝えしています。
1年中モチベーションを保ち続けるより、3カ月頑張ってその後体重を維持するほうが達成しやすいものです。また、1年かけて6kg減量するより、3カ月で6kg減量しキープするほうが耐糖能(※1)が改善することが知られています。
タスキのスは、数値化です。計測し、数値化できる目標設定にする必要があります。毎日体重を測定し、1カ月2kg減を、1カ月ごとに確認していけば、3カ月でゴールにたどりつけます。
タスキのキは、記録です。体重を記録する=視覚化しましょう。折れ線グラフにして、変化を見える形にすることが大切です。
毎日決まった時間に体重をはかり、記録しましょう。
スマホアプリを使って体重変化をグラフにしていただくのも効果があります。アプリでも紙でも、ご自分でお好きな方をお使いいただければよいでしょう。
大切なのは、自分の体重変化のパターンを見つけることです。
たとえば、外食の翌朝は体重が1kg増える、飲酒後2日間は体重が減らない、女性の場合は、生理前に体重が1kg増えるなど、ご自身の法則を見つけてください。

※1 耐糖能(たいとうのう)……血液中のブドウ糖の濃度(血糖値)を一定に保つ能力のこと。膵臓から分泌されるインスリンというホルモンによって、適切に保たれる。
■人は食べたものを1~2割忘れる
ところで、太っている人ほど食べたものを忘れてしまう、ヒトは食べたものを1割から2割忘れてしまう動物です。
事実、自分の食べたものを食事歴記録表で自己申告してもらったエネルギー量と、実際に食べたものを他人に記録してもらったものを比較した論文によると、自己申告のエネルギー量は、実際のそれより7%から19%低い値となっています。
つまり、1~2割のエネルギー量を忘れて過少申告しているのです。
この食べたものを忘れてしまう傾向は、肥満度の高い人ほど大きくなることが報告されています。
また、同じエネルギー量を食べても、脂肪の付き方は千差万別です。その方の年齢、性別、運動量、筋肉量、腸内細菌の種類などによって変わってしまいます。その方の食事の記憶は、あまりあてにならないのです。
毎日体重測定をしていて、体重の変化がなければ、「今の食事量が多すぎる」、「今の活動量が少なすぎる」のいずれか、あるいはその両方です。
スマート外来では、原則として患者さまに、カロリー計算を行わせていません。
何キロカロリー食べたか? という不確実な記憶より、客観的評価である体重をたよりに、自分の体重が減る食事量、活動量を見つけてください。

■飲み物は水、お茶、ブラックコーヒーに
肥満・脂肪肝を指摘された方は、飲み物を無糖のお茶(緑茶、紅茶、烏龍茶)、水(水道水、ミネラルウオーター、無糖炭酸水)、ブラックコーヒーにしてください。
清涼飲料水の砂糖含有量を図表3にまとめました。この中には、健康によいとして売られている飲料も含まれています。

たとえば、汗をかいたときに飲むことが多いスポーツドリンク500ml中には、スティックシュガー(1本3g)約10本分の砂糖が含まれています。100%の野菜ジュース、果物ジュースも、科学の世界では加糖炭酸飲料と同じく、肝機能を傷害する可能性が高いと考えられています。
この表に書かれている飲料を習慣的に飲んでおられる方は、今日からやめてみてください。
外来では、加糖飲料を毎日飲んでいる脂肪肝、脂肪肝炎の方が、飲むのを中止するだけで、1カ月目から肝機能が改善しています。
■ゼロカロリーでも飲んではいけない
よく聞かれる質問に「ゼロカロリーの人工甘味料が含まれている飲料は飲んでもいいですか?」があります。

人工甘味料による人体への弊害は、確固たるエビデンスが今のところないのですが、私たちの外来では、人工甘味料の種類にかかわらず、飲料でとることを禁じています。
理由は3つ。
①甘い飲み物を飲むと食欲が増す
②甘い飲み物はジャンクフードに合う
③腸内細菌叢(※2)を乱す可能性が高いから
人工甘味料飲料を加糖飲料の代わりに利用することで、短期的な減量効果を示した研究はあります。一方、長期的な体重管理を目的として積極的に摂取することは勧められていません。外来では、「ダイエットコーラが最も売れている国は、肥満大国アメリカです」とお伝えしています。
■ごはんの量は半分にする
脂肪肝改善のためには、精製糖質(白米、白パン、麺)を今食べている量の半分にすることから始めるように指導しています。
1日の糖質量を130g以内にして続けてみましょう。1日1食分の糖質量を20~40gにするのがポイントです。ゼロにしないことが続けるポイントです。
1食あたりの主食はごはんなら70g、食パンなら60g(6枚切り1枚)、ラーメンなら60g(生麺1/2玉)、オートミールなら50gが目安です。図表4も参照してください。

減量を始める際には、キッチンスケールで重さをはかってみることをおすすめします。自分が想像していた以上に、量が少ないことが実感できると思います。
減量が成功し脂肪肝が改善しても、精製糖質(※3)を1日130g以内にする習慣を継続すると、リバウンドなく生活習慣病予防になるでしょう。
※2 腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう)……腸にはおよそ1000種類、100兆個の腸内細菌が生息している。腸内細菌はバランスをとりながら共生していて、その集まりのことを腸内細菌叢という。
※3 精製糖質……白米、小麦粉を使った白いパン、パスタ、うどん、砂糖などの精製された炭水化物のこと。玄米、イモ類、蕎麦など未精製の炭水化物は、精製糖質に比べて、食物繊維、ビタミン、ミネラルが多く含まれる。
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尾形 哲(おがた・さとし)
肝臓外科医
長野県佐久市立国保浅間総合病院外科部長、同院「スマート外来」担当医。医学博士。一般社団法人日本NASH研究所代表理事。1995年神戸大学医学部医学科卒業、2003年医学部大学院博士課程修了。パリ、ソウルの病院で多くの肝移植手術を経験したのち、2009年から日本赤十字社医療センター肝胆膵・移植外科で生体肝移植チーフを務める。さらに東京女子医科大学消化器病センター勤務を経て、2016年より長野県に移住。2017年スタートの「スマート外来」は肥満解消と脂肪肝・糖尿病改善のための専門外来。著書に『専門医が教える 肝臓から脂肪を落とす7日間実践レシピ』『専門医が教える 1分で肝臓から脂肪が落ちる食べ方決定版』『専門医が教える肝臓から脂肪を落とす食事術【増補改訂版】』(いずれもKADOKAWA)などがある。 尾形哲監修「脂肪肝改善 無料公式LINE」
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(肝臓外科医 尾形 哲)
