後輩の面倒見が良く、地域住民からも慕われていた清野裕彰さん=遺族提供

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 仙台市宮城野区で交番勤務中の警察官が刺殺された事件から19日で8年になるのを前に、死亡した清野裕彰巡査長(当時33歳、殉職後2階級特進して警部補)の妻(42)が読売新聞の取材に応じた。

 「幸せな日々が一瞬で崩れたあの日から前に進めずにいる」。癒えない悲しみを抱えながら、全国の交番に安全対策が広がってほしいとの願いを明かした。(東北総局 矢吹大輔)

 事件は2018年9月19日未明に発生した。「お金を拾った」と東仙台交番を訪れた大学生の男(当時21歳)が、対応した清野さんをエアガンで撃ち、胸を刃物で刺した。男は、交番内にいた別の警察官に撃たれて死亡したため、動機は判明しなかった。

 清野さんは関東の大学を卒業して一度は民間企業に就職したが、母親が体調を崩したこともあり、地元に戻って警察官を志した。13年に宮城県警に採用され、警察学校を副総代として卒業。事件当時は2か所目の交番勤務で、地域住民にも慕われていたという。

 人を喜ばせるのが好きだった清野さん。妻の誕生日は部屋を飾り付けて祝い、母の日には双子の娘とサプライズで花を贈ってくれた。事件当日は、3度目の結婚記念日だった。あの日以来、妻は恋愛ドラマを見ることも、ラブソングを聴くこともできなくなった。

 当時1歳半だった双子の娘は小学4年生になった。「ママ、泣かないで」。時折、夫を思い出して涙をこぼしているのに気づくと、隣で慰めてくれる。「パパの話をするとママが悲しくなる」と、娘たちは夫の話題を避けることも多いが、「ママはパパのこと好きだった?」と聞かれれば「大好きだったよ」と答え、2人の成長を心から楽しみにしていたと伝えている。

 娘たちは清野さんが小中高時代に打ち込んだ野球が好きになり、地元のプロ野球・東北楽天ゴールデンイーグルスの応援で球場にもよく足を運ぶ。成長した娘たちとの野球観戦は清野さんの夢でもあった。

 県警は治安維持の最前線に立つ警察官の安全確保が市民の命を守ることにつながると、県内203か所の交番・駐在所に防犯カメラを設置。耐刃防護衣の着用も義務づけた。事件の教訓は警察大学校などで全国の警察官に伝えられている。

 妻は「娘の成長を一緒に見守りたかった。本当に全部これからだった」と涙ながらに語り、「同じ目に遭う警察官が出ないように、宮城の教訓を広げていってほしい」と願っている。