電車内で化粧はマナー違反?「迷惑をかけていないのに」なぜ嫌われるのか【マナー講師が解説】
通勤途中の電車に乗っていたAさんが、ふと向かいの席に目を向けると20代の女性がファンデーションを塗り、アイメイクや口紅まで手際よく仕上げていた。女性は周囲を気にする様子もなく、揺れる電車の中で黙々とメイクを続けている。
Aさんは「静かにしているし人に迷惑をかけているわけでもない」と感じたものの、乗客の中には女性をちらちら見たり、顔をしかめたりする人も。
では電車内で化粧をするのは、なぜこれほどまでに嫌われるのだろうか。マナー講師の松原奈緒美さんに話を聞いた。
ー電車内で化粧をすることは、マナー違反なのでしょうか?
絶対的なマナー違反ではありませんが、好ましくない行為だとは思います。本来お化粧は、自宅やお化粧室などで行うものであり、公共の場でするのはあまりふさわしくありません。境界線を考えて行動することが大切だと思います。
ー「人に迷惑をかけていないのに嫌われる」のはなぜですか?
自分ではまわりに迷惑をかけていないつもりでも、化粧品の香りや粉が周囲に広がったり、肘や道具が隣の人に当たったりすることがあります。自分の基準では迷惑ではなくても、まわりの方からすれば迷惑に感じることも多いです。
見た目の印象もあります。すべきではない場所で化粧をすることに、違和感を感じたり、不快感を覚える方は多いかと思います。
ー化粧の中でも、口紅を塗る程度とフルメイクでは印象は変わるのでしょうか?
変わると思います。口紅を軽く塗り直す程度であれば短時間で済みますが、ファンデーションからアイメイクまで仕上げるとなると、時間もかかります。
「ここまでなら大丈夫」という明確なラインはありませんが、前髪を軽く確認したり、リップを塗り直す程度でしたら、許容範囲内という方もいらっしゃるでしょう。その際も、少し手で隠したりうつむき加減で行ったり、まわりに配慮することが大切です。
ーマナーは「他人への迷惑」だけで決まるものなのでしょうか?
相手の目線に立って考え、行動するのがマナーです。相手が不快に感じる、違和感を覚えるのであれば、マナーとして望ましい行動とは言えないでしょう。どんな時も、相手の立場になって考えることが大切です。
ー時代によって、このようなマナーの価値観は変化していますか?
時代とともに価値観も変わってきていると思います。ただし、相手目線で考え、行動するという本質は変わりません。
価値観は、世代間のギャップや国、宗教による違いもあるので、自分の価値基準が当たり前ではないことを意識するようにしましょう。
◆松原奈緒美(まつばら・なおみ) マナー講師
株式会社EXSIA代表取締役。NPO法人日本サービスマナー協会ゼネラルマネージャー講師。著書『新しい生活様式・働き方対応ビジネスマナー100』新日本法規出版、『信頼される人がやっているビジネス基本のふるまい事典』かんき出版。
(よろず~ニュース特約ライター・夢書房)

