”肝臓がん”の疑いがあるのは「濃い黄色の尿」「コーラ色の尿」どっち?医師が解説!
コーラ色の尿は黄疸だけでなく腎炎や横紋筋融解症でも起こります。肝臓がんとの関連も含め原因を詳しく解説します。
※この記事はメディカルドックにて『「肝臓がん」を疑う「尿の色」はご存知ですか?受診の目安となる尿の色も医師が解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。
監修医師:
嬉野 浩樹(うれしの外科胃腸科クリニック)
資格・専門医
日本外科学会 外科専門医
日本消化器外科学会 消化器外科専門医、消化器がん外科治療認定医
日本がん治療認定医機構 がん治療認定医
日本肝臓学会 肝臓専門医
日本消化器病学会 消化器病専門医
「肝臓がん」とは?

肝臓がんは、肝臓にできるがんの総称です。日本では、その多くが「肝細胞がん」です。肝細胞がんは、肝臓の主な細胞である肝細胞から発生します。肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれます。初期には自覚症状がほとんどないです。そのため、健康診断や別の病気の検査で偶然見つかることも少なくありません。
肝臓がんがあるからといって、すぐに尿の色が変わるわけではありません。実際には、B型肝炎やC型肝炎、肝硬変、アルコール性肝障害など、背景にある慢性肝疾患によって肝機能が低下し、黄疸やだるさ、むくみが出て、その一つとして尿の色が濃く見えることがあります。つまり、尿の色の変化は、肝臓がんそのものよりも、肝機能低下や胆汁の流れの異常と関係することが多い症状です。
「コーラ色の尿」が出る原因

黄疸による褐色尿・ビリルビン尿
コーラ色に近い茶褐色の尿も、黄疸でみられることがあります。ビリルビン尿がはっきりすると、尿の色は濃い黄色よりさらに濃い茶色や褐色に見えることがあるからです。とくに胆汁の流れが強く妨げられているときは、白目や皮膚の黄ばみ、皮膚のかゆみ、白っぽい便を伴うことがあります。
ただし、コーラ色の尿は黄疸だけに特有な症状ではありません。腎炎による血尿や、横紋筋融解症によるミオグロビン尿でもみられます。見た目がコーラ色だからといって、すぐに肝臓や胆道の病気と決めつけることはできません。
腎炎などによる血尿
コーラ色の尿は、腎臓の糸球体からの出血でも起こります。膀胱や尿道からの出血は鮮やかな赤色になりやすい一方、糸球体由来の血尿はコーラ色に見えることがあります。見た目が茶色でも、肝臓ではなく腎臓の病気ということがあるため注意が必要です。
IgA腎症などの糸球体疾患
IgA腎症は、コーラのような色の血尿が出る代表的な病気です。風邪やのどの炎症のあとに、コーラ色の尿が出ることがあります。むくみや尿量低下を伴うときは、早めの受診が必要です。
横紋筋融解症によるミオグロビン尿
激しい運動、熱中症、長時間の圧迫、薬剤などで筋肉が壊れると、ミオグロビンという成分が尿に出ます。このとき尿は赤褐色になり、コーラ色と表現されることも多いです。筋肉痛、脱力、しびれ、だるさを伴う場合は緊急性があります。
薬剤による着色
一部の薬は、尿そのものを着色します。黄色だけでなく、黄褐色、赤褐色、暗赤色、黒っぽい色になることもあります。薬の服用後から色が変わった場合は、副作用ではない単なる着色のこともありますが、病的変化との区別は必要です。自己判断せず、処方医や薬剤師に相談してください。
肝臓がんの疑いがあるのは「濃い黄色の尿」「コーラ色の尿」どっち?

結論からいうと、単なる濃い黄色の尿よりも、コーラ色や茶褐色に近い尿のほうが、肝胆道系の異常を考えやすいです。理由は、肝機能低下や胆汁うっ滞でビリルビン尿が出ると、濃い黄色よりさらに濃い褐色調になることがあるためです。肝臓がんでも、背景の慢性肝疾患や黄疸が強くなると、このような色調変化がみられることがあります。
ただし、ここが重要です。コーラ色の尿イコール肝臓がんではありません。コーラ色の尿は、IgA腎症などの腎炎、血尿、横紋筋融解症でも起こります。一方、濃い黄色の尿の多くは脱水です。したがって、尿の色だけで肝臓がんを見分けることはできません。白目や皮膚の黄ばみ、だるさ、食欲不振、腹部の張り、むくみなどがあるかを合わせて判断することが大切です。
「尿の色と肝臓がん」についてよくある質問

ここまで尿の色と肝臓がんについて紹介しました。ここでは「尿の色と肝臓がん」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
肝臓がんを発症してもお酒は飲めるのでしょうか?
嬉野 浩樹
一般には、積極的に飲んでよいとはいえません。肝臓がんのある方は、背景に慢性肝炎や肝硬変などの肝障害を伴うことが少なくありません。飲酒は肝臓に負担をかけます。長期にわたる多量飲酒は、肝疾患やがんなどのリスクを高めることがわかっています。さらに近年は、少量の飲酒でも一部のがんや疾患のリスク上昇が報告されており、「ここまでなら安全」と言い切れる飲酒量は明らかではありません。そのため、肝臓がんに限らず、健康面を考えると飲酒はできるだけ控えることが望ましいでしょう。実際に飲酒してよいかは、治療内容や肝機能の状態によって異なるため、自己判断は避けて主治医に確認してください。
肝臓がんになると必ず尿の色は変わるのでしょうか?
嬉野 浩樹
いいえ、肝臓がんになったからといって、必ず尿の色が変わるわけではありません。肝臓がんは初期には自覚症状に乏しく、健康診断やほかの検査で偶然見つかることも少なくありません。尿の色が変わる場合は、肝臓がんそのものというより、背景にある慢性肝疾患や黄疸、胆汁の流れの異常が関係していることが多いと考えられます。したがって、尿の色だけで肝臓がんを判断することはできません。
尿の色が濃い時は何科を受診すれば良いのでしょうか?
嬉野 浩樹
水分をとっても濃い黄色や茶褐色の尿が続く場合は、まず内科、できれば消化器内科や肝臓内科への相談がよいでしょう。とくに白目や皮膚の黄ばみ、かゆみ、白っぽい便、強いだるさを伴う場合は、黄疸や肝胆道系の病気を考えます。一方で、コーラ色の尿に加えてむくみ、尿量低下、血尿、筋肉痛、脱力がある場合は、腎臓の病気や横紋筋融解症の可能性もあるため、腎臓内科や泌尿器科、症状が強ければ救急受診も検討が必要です。
まとめ尿の色の異常が続くときは早めに受診を
肝臓がんと尿の色には、まったく無関係ではないものの、直接的で単純な関係があるわけではありません。肝臓がんで尿の色が変わるとすれば、多くは背景の慢性肝疾患、肝機能低下、黄疸が関わっています。濃い黄色の尿は脱水でみられることが多いです。コーラ色の尿は、肝胆道系の異常を考えることもありますが、腎炎や横紋筋融解症などでも起こります。
大切なのは、尿の色だけで自己判断しないことです。白目の黄ばみ、皮膚の黄ばみ、かゆみ、むくみ、食欲不振、腹痛、筋肉痛、尿量低下を伴うときは、早めに医療機関を受診してください。肝臓がんを心配している方ほど、背景にある肝炎や肝硬変の管理も重要です。気になる症状がある場合は、消化器内科や肝臓内科で相談しましょう。
「肝臓がん」と関連する病気
「肝臓がん」と関連する病気は4個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
消化器系
肝硬変ウイルス性肝炎脂肪肝自己免疫性肝炎肝臓がんを考えるときは、がんそのものだけでなく、背景の慢性肝疾患や黄疸の原因になる病気もあわせて確認することが大切です。
「肝臓がん」と関連する症状
「肝臓がん」と関連している、似ている症状は5個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
関連する症状
黄疸
全身倦怠感
食欲不振
むくみ
腹部の張りや痛み
肝臓がんは背景の肝機能が低下していることが少なくありません。肝機能低下は全身のさまざまな症状が認められることを知っておくことが大切です。
参考文献
肝臓がん(肝細胞がん)について|がん情報サービス
肝がんの原因・症状について|国立がん研究センター
黄疸?全身が黄色く|東北大学医療系メディア LIFE
尿が黄色い|関西医科大学附属病院
腎臓病を知る|東邦大学医療センター大森病院 腎センター
IgA腎症(指定難病66)|難病情報センター
IgA腎症|大阪市立総合医療センター
横紋筋融解症|東邦大学医療センター大森病院
B型肝炎|肝炎情報センター
尿・便色の変化|KOMPAS 慶應義塾大学病院
健康に配慮した飲酒に関するガイドライン|厚生労働省
飲酒と肝がんリスク|国立がん研究センター 社会と健康研究センター

