巨人の猛追を許す“勝ちきれない阪神”に「橋上代行との“経験の差”は大きい」と元虎4番も指摘…リーグ連覇逃し、CS敗退なら「藤川監督の責任問題は避けられない」
阪神、泥沼の7連敗──。9月16日現在、セ・リーグの首位は阪神。勝率は5割4分8厘で、連敗で苦況に立っているとはいえ、巨人も負けているためマジックは14にまで減っている。一方、2位の巨人も苦しんでいるが勝率が5割4分3厘と阪神に文字通りの僅差に迫り、首位とのゲーム差は、わずか0・5ゲーム差に過ぎない。9月3日に阪神は巨人に5ゲーム差をつけていたが、巨人が猛追している。果たして稀に見る“混セ”でペナントレースを制するのは、どちらのチームか、阪神の藤川球児監督と、巨人の橋上秀樹監督代行の采配が鍵を握ると見られており、注目が集まっている。
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【写真】「人権侵害やろ!」藤川監督がブチギレたデイリースポーツの見出し
野球解説者の広澤克実氏は、ヤクルト、巨人、阪神でプレー、それぞれ野村克也監督、長嶋茂雄監督、星野仙一監督の采配を間近で見てきた。

そしてヤクルトには1985年から94年まで在籍したが、橋上監督代行もヤクルトに84年から96年まで在籍していた。
さらに広澤氏は阪神に2000年から03年まで選手として在籍し、また07年から08年まで一軍打撃コーチとして選手の指導に当たった。
藤川監督は阪神の投手として1999年から2012年までプレーした。ちなみに野村氏は1999年から2001年まで阪神の指揮を執っている。つまり藤川監督も野村監督の指導を経験しているわけだが、やはり藤川監督を一流の投手に成長させたのは次の星野仙一監督だったという評価がもっぱらだ。
2人の監督をチームメイトとしてもよく知る広澤氏は「橋上監督代行はヤクルトの現役時代、今で言う“ユーティリティプレーヤー”として活躍しました」と振り返る。
「試合の流れで代打や守備固めで途中起用されることが多く、まさに頼りになる存在でした。さらに“左キラー”としても評価されていたので、対戦相手の先発が左投手だと先発スタメン入りすることもありました。ただ、橋上代行が本当に注目されたのは、コーチとしてだと思います。特に野村監督が手腕を高く買いました。ヘッドコーチとして、監督の意向を選手にしっかり伝えられる能力を持っていたからです。またコーチ時代にデータの読み方も学び、それが監督代行としての采配に活きているのでしょう」
選手の心を掴む橋上代行
改めて橋上監督代行と藤川監督を比較すると、好対照な2人と言っていいようだ。
「橋上代行は、まさに野村監督の教え子、野村チルドレンと評していいと思います。采配の根本には『野村さんだったらどうしただろう、野村さんならこうするに違いない』という考えがあるはずです。一方の藤川監督はコーチとしての経験はありません。そのため現役時代における自分自身の経験、特に投手としての体験をもとに采配を振るっています。率直に申し上げて、2人のうちどちらが選手の気持ちに寄り添えるかと言えば、橋上監督代行でしょう。今の巨人が阪神に肉薄しているのは──もしくは阪神が巨人の猛追を許しているのは──橋上監督代行と藤川監督の経験の差が大きな影響を与えているのではないでしょうか」
広澤氏は「とはいえ、阪神の苦況を全て藤川監督の責任とするのは、やはり酷だと思います」と言う。
「そもそもセ・リーグで阪神と巨人の“2強”が誕生したのは、広島、中日、ヤクルトの不振が原因です。さらに巨人の快進撃も、この3球団がアシストしているのは事実でしょう。ただし、阪神の戦力を考えれば、首脳陣が批判されるのは仕方がないとは思っています」
戦力は圧倒的に阪神
広澤氏は「阪神は投手陣が充実していますし、打線も3番、4番、5番の破壊力は抜群です。一方の巨人は“絶対的なエース”が不在ですし、“盤石の投手陣”とはとても呼べないでしょう」と言う。
「巨人はクリーンナップの破壊力も阪神に比べると見劣りします。選手一人ひとりの実力を積み重ねていけば、阪神の戦力が巨人を上回るのは間違いないのです。にもかかわらず、阪神はどうも勝ち切れない。これは阪神の首脳陣に原因があると見るべきですし、橋上監督代行が阪神より劣った戦力でもうまく采配し、善戦していると評価することもできるでしょう。野球のチームというのは大変に興味深く、算数なら1足す1は2ですが、好調なチームは1足す1が1掛ける2、1掛ける3、とかけ算に化けます。不調のチームだと足し算をやっているつもりが引き算になってしまいます。阪神が地に足を付け、まずは着実に足し算を成功させられるのか、かけ算に化けるほどチームの勢いを盛り上げることができるのか、首脳陣の踏ん張りどころだと言えます」
藤川采配に批判、もしくは疑問の声が集中したこともあった。9月13日の対中日戦で、阪神は0対0の9回裏に2死満塁のヤマ場を迎えた。そして藤川監督は25打席無安打の坂本誠志郎をそのまま打席に送り、代打を起用することはなかった。
代打批判は正当な指摘なのか?
結果はライトフライに終わり、阪神は劇的なサヨナラ勝ちのチャンスを逃した。その後は延長戦に突入し、最後は中日が11回表に1点をもぎ取って逃げ切った。
「あそこで代打を出していれば……!」──ネット上では阪神ファンから怒りの声が殺到し、スポーツ紙もこぞって疑問視する記事を掲載した。藤川監督が「ジタバタしない」と記者会見で答えたことも火に油を注いだようだ。
「私は、『代打を出さなかったのは采配ミス』という批判は、やはり結果論の域を出ないのではないかと思っています。満塁の時、坂本選手は打率5割というデータもあります。坂本選手に全てを託すのも充分にあり得る采配です。それが『打てば名采配、打たなければ采配ミス』というのは、ちょっと短絡的ではないでしょうか。そもそもファン心理として、『監督が動けば評価し、監督が動かないと批判する』という傾向が存在する印象があります。代打を送っておけば、たとえ凡退に終わっても批判のトーンは下がることが往々にして認められるのです」(同・広澤氏)
阪神ファンと巨人ファンにとって朗報か悲報なのかは分からないが、リーグ優勝を目指して激しいデッドヒートが繰り広げられ、劇的な結末が待っていたとしても、両チームはCS(クライマックスシリーズ)で日本シリーズ出場を賭けて再び戦うことになる。
藤川監督の責任問題
「巨人が阪神を抜き去ってドラマティックな大逆転優勝を成し遂げたとしても、CSでの仕切り直しは不利に働くと考えています。CSは短期決戦ですから、これこそチームの戦力が勝敗に直結します。たとえ阪神はペナントレースで優勝を逃したとしても、CSで自分たちの実力を出し切ることができれば、日本シリーズに進む可能性は高いのです。もしリーグ優勝を逃しただけでなく、CSでも巨人に敗北するような結果に終われば、さすがに藤川監督の責任問題に発展するのは避けられないと思います」(同・広澤氏)
阪神はプロ野球を代表する名門球団にもかかわらず、たったの11回しかリーグ優勝を達成していない。そして今季は1935年の創設以来初となるリーグ連覇を目指している。ファンや関係者の悲願は実現するのだろうか──?
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デイリー新潮編集部
