S造、RC造、SRC造、木造とは? 構造別のメリット・デメリットや選び方
不動産投資における構造理解の重要性
建物の構造は、デザインや間取りだけでなく、不動産投資の収益性にも影響がある要素です。構造の違いは、次のような項目に影響します。
入居者の満足度(遮音性などの快適さが入居期間などに影響) メンテナンスコスト(ランニングコストに影響) 法定耐用年数(融資・経費に影響) イニシャルコスト(建築コストに影響)構造によってかけるコストと得られるリターンのバランスは変わるため、不動産投資を実践するうえでも構造の違いを押さえておく必要があります。
建物の構造
建物の構造は、大きく分けると、S造(鉄骨造)、RC造(鉄筋コンクリート造)、SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)、木造の4種類があります。それぞれ「えす(ぞう)」「あーるしー(ぞう)」「えすあーるしー(ぞう)」「もくぞう」とよびます。
簡単にそれぞれの特徴を以下に説明します。
S造:軽くて柔らかい。大空間に向いている RC造:重くて硬い。耐火性、耐久性、遮音性に優れている SRC造:S造とRC造、両方の特徴を持つ。建設コストは高い 木造:小さい建物に向いている。小規模であれば、S造、RC造と比べて建設コストは安いS造(鉄骨造)
S造(鉄骨造)とは、鉄を柱や梁などの骨組みとした構造です。鉄は軽くて強く、粘り強いという特徴を持つため、高層ビルや体育館、室内の柱を減らしたい事務所ビルなどの「大きな空間が必要な建物」で採用されることが多いです。

粘り強いという特徴は、地震などの力が加わった際に“抵抗して耐える”のではなく、ゴムのように変形して力を吸収することを意味しています。そのため、壊れはしないけれども、地震の際に大きく揺れたり、高層ビルでは共振によって風で揺れたりすることがあります。
工場で製作された部材を現場で組み立てるため、品質が安定しているという特徴もあります。S造は鋼材の厚みの違いで「重量鉄骨」と「軽量鉄骨」に分けられ、厚みの薄い鉄骨を使用した軽量鉄骨造は、工場で部材を大量生産することができるので、建設も比較的簡単で安価です。小規模な店舗、アパートや戸建住宅で採用されることもあります。
RC造(鉄筋コンクリート造)
RC造(鉄筋コンクリート造)とは、コンクリートを鉄筋で補強した部材を骨組みとした構造です。コンクリートは硬い一方で変形に対応できずひび割れしやすいため、粘り強い鉄筋で補強することで優れた構造材となります。

鉄筋は火災に弱く、サビで腐食しやすいという欠点がありますが、耐久性に優れたコンクリートで保護することで、耐火性・耐久性に優れた構造とすることができます。
また、コンクリートは重量があるため大きな空間には向いていませんが、遮音性や断熱性に優れ、また硬い材料で床の振動も発生しづらいことから、マンションなどに採用されることが多いです。なおコンクリートは建設現場で打設(打ち固めること)して作るため、どうしてもS造と比べると品質は一定ではありません。また、建設期間は長くかかります。
従来は中規模程度の建物までに対して主に採用されていましたが、最近では高強度の材料を使用することで高層の建物に採用されたり、工場で製作されたプレキャストコンクリートを使用したりすることで、現場での工事期間を短縮するなど活用の場が広がってきています。
SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)

SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)とは、一般的に鉄筋コンクリート造の部材の中に鉄骨を内蔵した骨組みを使用する構造のことを指します。硬く剛強な鉄筋コンクリート造と、柔らかく粘り強い鉄骨造というお互いの利点を生かした構造です。
S造とRC造、それぞれの特徴を併せ持ち、大空間を実現したり、耐震性に優れた建物にしたりすることができるため、超高層ビルなどの大規模な建物で採用されることが多いです。RC造と同様に遮音性や断熱性にも優れるため、マンションでも採用されます。
ただし、建設に手間がかかり建設コストが高いことと、高強度の鉄筋コンクリート造の普及により、以前より活用の場は減ってきています。
木造
木造とはスギ、ヒノキ、ヒバなどの木材を建物の骨組みとした構造のことで、日本では最も採用されている構造です。
材料は安価で建設も比較的簡単なため、戸建住宅や小規模アパートなどで採用されることが多くありますが、最近では技術の進歩により中規模ビルなどで採用されることもあります。
S造、RC造、SRC造、木造のメリット・デメリット
ここまでの特徴を踏まえ、構造ごとのメリット・デメリットを整理します。
S造のメリット
S造の最大のメリットは、軽くて強いという特徴を生かして自由な空間を構成することができる点です。柱や梁を細くできるため、RC造と比べて広い空間や大きな開口部を確保しやすく、高層ビル(店舗やオフィス)、倉庫や工場、アパートやマンションなど幅広い用途で採用されています。
軽量鉄骨造とすれば、建築コストを抑えやすい点も特徴です。特に軽量鉄骨造は施工期間が比較的短く、小規模アパートなどでは初期投資を抑えられるケースがあります。
S造のデメリット
デメリットとしては、鉄は軽い材料であるため振動が伝わりやすいという点が挙げられます。遮音性は間仕切り壁や床の仕様によって異なりますが、対策が不十分な物件では、隣室や上下階の音が入居者の不満につながる可能性があります。入居率にも影響するため、物件を選ぶ際は壁や床の構造、遮音対策を確認することをおすすめします。
また、鉄骨は高温になると強度が低下するため、RC造と比べて耐火性に劣る傾向があります。耐火被覆や耐火性の高い仕上げ材によって性能を高めることはできますが、その分、建築費や改修費がかかる場合があります。
さらに、鉄骨は水分や塩分の影響によってさびや腐食が生じる可能性もあるため、建物の耐久性を維持するには、定期的な点検や防錆塗装、外壁・屋根の補修が欠かせません。長期保有を前提とする場合は、購入価格だけでなく、将来の修繕費やメンテナンス周期も含めて収支を検討することが大切です。
RC造のメリット
RC造のメリットは、遮音性、断熱性、耐久性に優れていることです。床や壁は厚いコンクリートが使用されているため、隣室や上下階からの生活音や振動が伝わりにくく、入居者満足度の向上につながりやすい構造です。
さらに、コンクリートは腐食しにくく耐久性が高いため、適切なメンテナンスを行うことで長期間にわたって使用できます。木造と比べて構造部分の劣化が緩やかな傾向があり、長期保有を前提とした不動産投資とも相性の良い構造です。
耐火性にも優れていることから、火災によるリスクを抑えやすく、資産価値を維持しやすい点もメリットといえます。
RC造のデメリット
高気密であるがゆえに、通気性が悪く結露やカビなどが発生しやすい傾向があります。そのため、建物の状態を維持するには定期的な点検や適切な設備管理が重要です。
また、大規模修繕では外壁補修や防水工事などにまとまった費用がかかるケースも。長期保有を前提とする場合は、修繕積立金や将来的な修繕費も見据えた資金計画を立てることが大切です。
SRC造のメリット
SRC造のメリットは、S造の強度や設計自由度と、RC造の耐久性・耐火性を兼ね備えていることです。そのため、柱や梁を比較的細くでき、広い空間を確保しやすいことから、高層マンションや大規模な建物で多く採用されています。
長期間にわたって建物性能を維持しやすく、適切なメンテナンスを行えば、長期保有を前提とした不動産投資においても安定した資産価値を維持しやすい構造といえるでしょう。
SRC造のデメリット
SRC造のデメリットは、建設コストが高くなることです。RC造の部材の中に鉄骨を組み込む構造のため、施工に手間と時間がかかり、その分、物件価格も高くなる傾向があります。
また、RC造と同様に気密性が高いことから、換気が不十分な場合は結露やカビが発生しやすい点にも注意が必要です。
不動産投資においては初期投資額が大きくなります。さらに、大規模修繕では外壁補修や防水工事などにまとまった費用がかかることがあるため、購入時に将来の修繕計画や修繕積立金の状況も確認しておくことが大切です。
木造のメリット
木造のメリットは、戸建住宅の規模であれば、安価な材料と建設の容易さを生かして、コストを抑えることができるという点です。戸建住宅や小規模アパートで多く採用されており、RC造やSRC造と比べて物件価格が比較的低いため、初期投資を抑えて不動産投資を始めやすい構造といえます。
近年では、高性能な断熱材や気密性の高い建材を採用した木造住宅も増えており、省エネルギー性能や居住性が向上した物件も多く見られます。
さらに、木造は建物重量が比較的軽いため建設期間を短縮しやすく、将来的なリフォームや間取り変更にも柔軟に対応しやすい点もメリットです。
木造のデメリット
木造はRC造と比べて建物が軽量なため、振動や生活音が伝わりやすく、遮音性は劣る傾向があります。物件によっては、生活音が入居者満足度に影響する場合もあるため、床や壁の構造、遮音対策を確認することが重要です。
また、木材は燃えやすい性質があります。現在の木造住宅の耐火性能は上がっていますが、一般的にはRC造やSRC造と比べると耐火性は劣るとされています。
さらに、木材はシロアリや腐朽菌、湿気などの影響を受けやすいため、建物の状態を維持するには定期的な点検やメンテナンスが欠かせません。不動産投資では、購入価格を抑えやすい一方で、長期保有する場合は修繕費や維持管理費も考慮した収支計画を立てることが重要です。
どの構造がよいのか?
ここまで紹介したように、S造、RC造、SRC造、木造にはそれぞれ異なる特徴があります。不動産投資では、投資目的や運用方針に合った構造を選ぶことが重要です。
都心部の大型マンションや高層物件への投資を検討している場合は、SRC造が選択肢となります。SRC造はRC造の特徴に加えて高い耐震性を備えており、大規模物件で多く採用されています。一方で、建設コストが高いため物件価格も高額になりやすく、立地や収益性を慎重に見極めることが重要です。
初期投資を抑えたい場合には、軽量鉄骨を用いたS造や木造が向いていることもあります。RC造と比べて建築コストや物件価格が低い傾向があり、少ない自己資金でも始めやすい点が魅力です。
いずれも耐用年数や修繕計画、維持管理費なども考慮したうえで、長期的な収支を見据えて判断することが大切です。最終的には、「長期的な資産形成を重視するのか」「利回りを重視するのか」「初期投資を抑えたいのか」といった投資目的に合わせて構造を選ぶことが、不動産投資を成功させるポイントといえるでしょう。
特徴を知ることがまずは大切です
この記事では建物の構造の特徴やメリット、デメリットについて解説し、最後にどのような方にどのような構造がおすすめかを説明しました。
ここでの説明はあくまで一般的なものであり、実際の物件ごとに特徴は異なります。しかし、それぞれの構造の特徴を知ることで、ご自身の希望に合った物件を見つけやすくなるでしょう。
