妻の乳がん治療中に夫が浮気? 40代妻が離婚を決意した「決定打」

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「残念ながら、乳がんなど妻が病気のの治療をしているときに夫の浮気が判明した事例も少なくありません。本当なら妻を支え、寄り添ってほしいのに……と思いながら調査をしたこともあります」

こう語るのは、キャリア10年以上、3000件以上の調査実績がある私立探偵・山村佳子さん。彼女は、メンタル心理アドバイザー、夫婦カウンセラーの資格を持つ。

山村さん連載「探偵はカウンセラー」は、山村さんが心のケアをどのようにしていったのかも含め、さまざまな事例から、多くの人が抱える困難や悩みをあぶりだしていく。個人が特定されないように配慮をしながら、家族、そして個人の心のあり方が、多くの人のヒントとなる事例を紹介していく。

今回山村さんのところに相談に来たのは、47歳の会社員・亜美さん(仮名)。結婚20年の同じ歳の夫が浮気をしている可能性があるとして、相談に来た。

離婚したいけど逡巡する理由

今回の依頼者・亜美さんは大手IT企業で管理職として働いています。半年前に乳がんが見つかり、治療中に問題が起きたとのことでした。

夫婦の出会いは亜美さんが新卒で勤務した映像制作会社です。徹夜や残業を繰り返しているうちに、夫と親しくなり授かり婚します。ただ、育児ができる環境ではなかったために、亜美さんは退職。子育て中にスキルを磨き、現在の会社に入社します。現在生活費の大部分やローンや学費は亜美さんが請け負っており、亜美さんは経済的には完全に独立しています。

亜美さんが夫の異変に気付いたのは、退院時に夫が乱暴な運転をしていたことです。さらに、夫は手術後の亜美さんを、自宅があるマンションの坂の下で荷物と共におろし、自分はどこかに行ってしまった。さらに夫は「死ぬかと思ったから優しくした」などの暴言も吐きます。夫は浮気をすると、亜美さんに隠し事をしているストレスを抱え、それを発散させるように言動が乱暴になる傾向があるといいます。

「19歳の息子と、17歳の娘のためにも夫との関係を考えた方がいい」と思い離婚を考えます。とはいえ、亜美さんは、病気がわかる半年前まで性交渉をしていたり、夫が優しく明るい一面もあったりして、離婚に踏み切れない。気持ちに整理をつけるために、私たちに調査を依頼したのです。

土曜日に外出することが多い

夫は土曜日を丸一日外出する事が多いと聞き、土曜日限定で尾行しました。

夫は背が高く、豊かな黒髪で「いかにも映像ディレクター」というラフな雰囲気と洗練された物腰が特徴です。一般的に47歳の男性というと、老いが目立ち始める人も多いのですが、体も引き締まっており、身のこなしも軽く「浮気をしようと思えばできる人なのだろうな」と思いました。

朝9時にブルーのシャツとチノパン姿に、有名ブランドのトートバッグを持って自宅から出てきました。背筋を伸ばして1.5キロほど早足で歩き、公営のプールに入って行きました。そこから昼12時まで、平泳とクロールでみっちり泳いでいます。

そしてプールのロビーの椅子に座って、瞑想しているかと思ったら30分ほど昼寝。そこから図書館に行き、話題の新刊をざっと読んでから15時に都内のオフィスへ。出てきたのは翌朝の10時で自宅に帰宅。1回目の調査は空振りでした。

2回目も1回目と同じでしたが、行ったのは会社ではなく都内のサウナ。そこに一泊して帰宅していました。夫の行動を見ていると、極端にお金を使っていない。食事も家から持ってきたおにぎりを移動途中に食べたのみでした。

3回目で夫が向かったのは

動きがあったのは3回目です。プールを早々に切り上げて、駅に向かい品川で下車。別の路線に乗り換え、各駅停車しか停まらない駅で降り、駅前のスーパーでビール、ハム、チーズなどを購入して古い賃貸マンションに入って行きました。外廊下タイプで、換気のためなのか、窓は細く開いており、中の声が丸聞こえです。近くに大きな道路があり騒音が大きいために油断しているのでしょう。

声は夫と女性のもので、最近の天気、スーパーのセール、浅草や海ほたるなどにデートに行く計画について、共通の友人の話など、会話に一貫性がないですが、とても楽しそうです。ビールを飲みながら話をしつつ、夫が女性を抱き寄せたのでしょう。なんの前触れもなく、突然行為が始まりました。女性が「ちょっと待って」と言っているのもお構いなしでした。

夫は女性の名前を呼びながら「好きだ」「可愛い」「愛している」などと言い続けている。女性もそれに応えています。夫は何回も行為をしていました。窓が少し開いていることを忘れているのでしょうか。この女性が一人暮らしなら、安全上望ましいことではありません。亜美さんの話から、夫は感情の抑制が苦手で、共感性が低い人だと感じていましたが、その性格が出ていると感じました。

「この女性は…」

音声から察するに、かなり自分勝手な行為が終わり、2時間ほど経過した15時ごろ、夫と女性が出てきました。女性は40代前半で、小柄で体格がよく健康そうで笑顔がかわいいタイプです。

手を繋いで駅まで行き、中華料理店に入って行きました。ビールで乾杯しつつ、4皿ほどの料理を楽しそうに食べている。夫は女性にビールの注ぎ方や、取り分けのタイミングなどを「違うだろ」と指摘していましたが、女性は楽しそうです。会計を夫が済ませて、2人でマンションに帰り、そのまま朝まで動きはありませんでした。

以上を亜美さんに報告すると、「この人、夫が入っている登山サークルの人で、結婚していたはず」と驚いていました。そして、「私が病気になっちゃったから、家にいるのが気まずいから、外でリラックスしているんでしょうね」と呟いている。

そして「夫と離婚するために話し合いたいですが、これを見せたらキレて暴れる可能性がある。私の治療が終わって、元気が回復するまで黙っていようと思います」と吹っ切れたように話していました。

半年後の決断…決め手となった言葉

それから半年後、亜美さんから「相談に乗って欲しいです」と連絡がありました。見違えるように元気になった亜美さんは「あの時はありがとうございます。やっと離婚に向けて動き出せます。病に勝てたのも『やっぱり離婚したい』という一心だったと思います」と笑っていました。

調査の後も、土曜日の朝帰りの習慣は続いていましたが、その方が家族の雰囲気がいいことがわかったそうです。

「いつキレるかわからない人が家にいない方がいいんです。あと、息子が運転免許を取ったので、車を夫に頼まなくても良くなりました。息子は『お父さんの運転、マジやばいから、俺が免許を取る』と頑張ってくれたのです」

そして、あまり成績が芳しくない高校3年生の娘と進路について話していたところ、たまたま夫が帰宅します。虫の居所が悪かったらしく、娘の志望校リストを横目で見ながら「女が大学行って何を学ぶ気? どうせ遊びに行くだけだろ」と娘に言い放ちます。娘が「そんな言い方しないでよ」と言い返したら、「世間の現実を教えてやってるんだろ! 三流の私大に行っても、なんの意味もない。お前はバカなんだから働くか嫁に行けばいいんだ」と、侮辱したのです。

「家の中で自分以外の全員が大卒になるのが嫌なのか、単に娘にお金をかけるのが嫌なのかよくわかりませんが、これで夫に見切りがついたというか。私にがんが見つかる前は……つまり、浮気をする前までは、ここまでひどくなかったのです。いつもイライラしていて、私達に当たるのが、嫌で追い出したくなりました」

”子供部屋おじさん”みたい

夫がイライラするのは、亜美さんに浮気を隠したいという思いがあり、そのストレスが高圧的な態度になって出ているのでしょう。

「家を追い出されたくないという気持ちは伝わってきます。自分の部屋があり、掃除も洗濯も私と娘と息子がして、冷蔵庫には食べるものがあって、誰かに当たれば機嫌をとってもらえる生活を手放したくないのでしょう。夫はいわゆる“子供部屋おじさん”みたいですよね」

子供部屋おじさんとは、実家の子供部屋に住み続けている独身の中年男性のこと。それでも亜美さんは迷っているから私のところに来ています。夫に魅力があり、かつては優しかったこと。1年ほど前までは体の関係があったことなども関係しているのでしょう。揺れる気持ちをひたすら傾聴していたら、「やっぱり離婚します」と言いました。

「やっと別居できました」

それから3カ月後、「やっと別居できました」と明るい声で電話がありました。夫は「別れないでくれ」と泣いたり、キレたりいろいろあったそうですが、亜美さんは浮気を思い出し「あなたとは暮らせない」とハッキリ言い切りました。

それでもごねるので、弁護士を立てます。そして弁護士から浮気の証拠とともに「あなたは有責配偶者です。婚姻関係を破綻させた精神的苦痛に対する賠償として、亜美に対して慰謝料を支払う義務を負っています。相手の女性も同様です」と言われ、観念したそうです。「東大卒の弁護士さんの言うことはすぐに聞きました。これから離婚に向けて頑張ります」と話していました。

別居までこぎつければ、離婚までは早いことが多いです。亜美さん家族が心安らかに暮らせるよう、心から願いました。

今回の調査料金は50万円(経費別)です。

【前編】半年前に乳がん告知を受け治療に励む40代妻が感じた「夫の変化」。離婚を考える理由