トヨタの「”かわいい”スポーツカー」!

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「カワイイ」のに「速そう」!?

 毎年1月に開催される「東京オートサロン」や2月に開催される「大阪オートメッセ」などカスタムカーの祭典では様々なモデルが登場します。

 各地のカスタムカーの祭典を振り返ると、市販化には至らなかったものの、強烈なインパクトを残してファンの記憶に深く刻まれた「幻の名車」が存在します。

【画像】超カッコイイ! これがトヨタの「ちいさな“後輪駆動”スポーツカー」です! 画像で見る(46枚)

 2016年1月の「東京オートサロン2016」でトヨタが披露した「S-FR レーシングコンセプト(S-FR Racing Concept)」は、間違いなくその筆頭といえる一台でしょう。

 開発を手掛けたのは、トヨタのモータースポーツ活動やスポーツカー開発を担う「トヨタガズーレーシング(TOYOTA GAZOO Racing)」です。

 当時はトヨタがスポーツカーブランドの確立を加速させていた時期であり、「モータースポーツを起点としたもっといいクルマづくり」を掲げる同ブランドの象徴的なプロジェクトとして注目を集めました。

 ベースとなったのは、前年の2015年秋に開催された「第44回東京モーターショー2015」で公開された「S-FR」です。このクルマは、誰もが気軽に運転を楽しめるエントリーモデルとして紹介されています。

 丸みを帯びた愛らしいスタイリングと、コンパクトなボディにFR(後輪駆動)レイアウトを採用したこのモデルは、「自分だけの1台」に育てていく楽しさを提案していました。

 このS-FRをベースに、より過酷なサーキット走行を意識して大胆なカスタマイズを施したのが、このレーシングコンセプトなのです。

 エクステリアは、ベース車の愛らしい印象から一変し、アグレッシブな「戦うマシン」へと変貌を遂げています。

 ボディサイズは全長4100mm×全幅1735mm×全高1270mm。ベース車(全長3990mm×全幅1695mm×全高1320mm)と比較して、全長は110mm延長され、車高は50mmダウンされています。

 特に注目すべきは全幅で、大型のオーバーフェンダーを装着することで片側20mmずつ、計40mm拡幅され、3ナンバーサイズへと拡大されました。

 フロントには「炭素繊維強化プラスチック(CFRP)」製の大型アンダースポイラーやカナードを備え、エンジンフードには冷却用のエアアウトレットを大胆に配置しています。

 さらにリアにも大型スポイラーを装備し、高いダウンフォースを発生させる本格的なエアロダイナミクス設計が施されています。

 かわいい丸目のヘッドライトと、スパルタンなエアロパーツの組み合わせが生む独特のギャップは、会場に詰めかけた多くのクルマ好きの心を鷲掴みにしました。

 インテリアもまた、走りの高揚感を高めるレーシング仕様となっていました。基本構成はベース車を踏襲しつつ、ブラックを基調にイエローのステッチやアクセントカラーを効果的に配置。

 ドライバーを強固にホールドするバケットシートや、操作性に優れたステアリングなどを備え、サーキットでのスポーツ走行に対応したストイックな空間が広がっていました。

 ベース車のS-FRはフロントミッドシップのFRレイアウトと6速MTを採用するとされていましたが、レーシング仕様車としての最終的なメカニズムや、搭載エンジンの排気量、最高出力、最大トルクなどの具体的な数値スペックも、公式には明らかにされていませんでした。

 S-FRの登場に続いてレーシング仕様が披露されたことで、市販化も近いのではと期待する多くの声もありました。

 残念ながら、このプロジェクトが市販車として結実することはありませんでした。しかし2026年現在でも、SNSなどでは「今見ても理想的なパッケージング」「トヨタ史上、最も市販化してほしかった一台」として話題に上ることがあります。

 「これマジで欲しかった」「このまんまで200万円以下ならすぐに買う」「可愛すぎる…」といった、実現しなかった夢を惜しむ声は、今なお止むことがありません。

 S-FRレーシングコンセプトは、トヨタが示したスポーツカーへの情熱を象徴する一台として、これからもファンの記憶の中で走り続けていくことでしょう。