県内就職は東京よりお得?生涯収支を試算すると…労働局「初任給の高さに惑わされないで」
県内の高校、大学卒業生の県外流出が進む中、青森労働局は青森で就職した場合と、東京で就職した場合の生涯を通じた収入と支出の差(収支)を試算した。
収支に差はほとんどなく、住宅ローンを加味すると、県内就職をした方がお得という結果が出た。同局は「初任給の高さなどに惑わされず、しっかり将来設計を立てて就職先を選んでほしい」としている。(安永真人)
住宅ローンで差
2024年の「全国家計構造調査」(総務省)から、各年代の平均給与をもとに試算した。2人以上の勤労者世帯で、収入は勤務先からの給与収入に限って想定した。
収入は、東京で一番高くなる40代前半で年約700万円。これに対し県内は約460万円で、支出は東京が約480万円、県内が約350万円だった。
こうしたデータをもとに生涯でみると、県内就職の収入は2億1296万円、支出は1億6361万円で、収支は4935万円の黒字。都内は収入が2億8636万円、支出が2億3587万円で、収支は5049万円の黒字だった。
両地域の比較では、収支は東京が114万円多いだけ。青森は収入が少ない一方、住居費や食費などの支出が少なく、差が出なかった。住宅ローンの支出を加味すると、青森の生涯収支は3610万円の黒字で、東京の3146万円の黒字と比べ、県内の方が464万円も得という結果になった。
流出歯止めかからず
近年、都内は不動産価格急騰で住宅ローン支出が増えており、生涯の収支は青森がより有利になる傾向がある。
だが、新卒者の県外流出の傾向に歯止めはかかっていない。文部科学省の2025年度の学校基本調査によると、高卒就職者のうち県外に就職した人の割合は、青森県は都道府県別で男子が全国3位の42・7%、女子が同1位の32・4%だった。
就職情報会社「マイナビ」が26年に県内の新卒見込みの大学生、大学院生を対象に行った調査によると、地元就職を希望しない理由については、68・7%が「給与が安そうだから」と答えた。
同局の角井伸一局長(57)は「就職する場合は、どうしても初任給に目が行きがち。ただ、長い目でみると県内で就職した方が得という試算があることも頭に入れ、県内企業のこともよく調べたうえで冷静に就職活動をしてほしい」と話している。
