〈中道分裂〉「違法ではない」1人だけ残し約12億の政党交付金は受け取り…クラファン1億も原則返さず非難殺到、でも党内からは「弱い者いじめしないで…」の声

写真拡大

結党からわずか8カ月足らずで、立憲系と公明系に分裂することが決まった中道改革連合。ただ、残務整理のため所属議員1人を残し、党自体はしばらく存続する。このため、今年の未交付分の政党交付金にあたる約11億7000万円を受け取ることになる。

【画像】あのときは笑顔でガッチリ…野田佳彦氏と斉藤鉄夫氏、中道結成時の“蜜月ショット”

 

小川淳也代表は9日の記者会見で、衆院選で民間事業者に委託した費用など、10億円余りの未払いが残っていることを明かし、「完済するまで社会的、経済的責任がある」と理解を求めたが、政党交付金の原資は税金であるだけに批判も高まっている。中道内からは「背に腹は代えられない」「これ以上、弱い者いじめしないで……」と弱気の声があがっている。

「自民党の裏金と違って、違法ではないんだから」

「総選挙の支払いを、10億円あまり踏み倒していいのか。答えはノーだろう。(中略)完済することで精いっぱい」

中道の分裂が正式に決まった9日、小川淳也代表は事実上の解体が決まった党が11億円以上の政党交付金を受け取ることについての見解を問われ、こう理解を求めた。

1人を除いて全員が離党し、立憲出身者は新党を立ち上げ、公明出身者は公明に復党する見通しとなった中道。1人がしばらく中道に残って形式上存続するのは、資金面の整理などの残務があるからだ。

「今年、中道に交付される政党交付金は4回分で、計約23億4000万円。そのうち約11億7000万円は10月、12月の交付分なので、このまま党を存続させておけば交付されるのです」(全国紙政治部記者)

中道の分裂にあたっては、公明出身者のみが離党し、立憲出身者が中道に残る案もあったが、それでは中道に交付される政党交付金の扱いをめぐって立憲系と公明系が揉める可能性もあったため、両党の出身者がいずれも離党するという「対等な形」をとることになった。

そのうえで、形式的には中道を存続させて、年内の残りの政党交付金11億7000万円を受け取れるようにし、そのほとんどを衆院選で生じた支払いのうち、猶予されている分の支払いに充てるというのだ。

これに対して、世間から「解党するのに政党交付金をもらうなんて」と批判が集まっているが、立憲出身の中道関係者は「背に腹は代えられないし、自民党の裏金と違って違法ではない。立憲系は議席も失い、資金面でも次の衆院選までに干からびそう。これ以上、弱い者いじめしないでほしいよ……」とぼやく。

資金をめぐる話題は政党交付金だけにとどまらない。中道は5月から7月まで、落選者の支援や党幹部の地方遊説などのために実施したクラウドファンディングで約1億円を集めたが、資金を集め終えてから1カ月あまりで分裂という事態に陥ったことにも、党内からは危機感が漏れる。

「せっかく1万人以上が協力してくれたのに、イメージが悪すぎる。クラウドファンディングで支援してくれた人たちが納得できるように、何らかの対応をしないと、今後の選挙にも響いてしまうし、今後の寄付も求めづらい」(中道の落選者)

小川氏は9日の会見で、返金を求める支援者には「誠意ある対応をしていきたい」と説明している。一方、党内からは、資金難を理由にこうした声も聞かれる。

「中道が惨敗してからは、民主党時代から使っていたビルの党本部部分も縮小して、お金を支払わなくて済む議員会館をなるべく使うようにしたり、党本部の電気を一部消したり、シニア職員の契約更新をやめたり……。

切り詰めるところを極力切り詰めても、全然資金が足りないので、一度受け取った寄付金をなかなか簡単には返せない。党が事実上解体されても、落選者の活動支援に使わせてほしい」(中道関係者)

新たな政党交付金も見据え、早期の新党結成を目指す立憲系だが…

今後、とくに資金面で苦境にあえぐことが予想されるのは、公明系よりも立憲系だ。2月の衆院選で公明系は公示前勢力を上回る28人が当選したが、立憲系は公示前勢力の7分の1ほどの21人しか当選せず、100人以上の落選者を抱える。それだけに、大量の落選者への資金援助をしながら、どう組織を立て直していくかが課題だ。

中道の立憲系落選者は「しばらくは政党交付金とクラウドファンディングで資金援助をしてもらうために中道に残るのだろうが、街頭で『中道の○○です』とは言いづらくなった。そして中道の支援が終わったらどうするのか、まったくわからない」と嘆く。

小川氏らは立憲系の現職による新党立ち上げに向け、動いている。政党交付金の交付額が決まる基準日の来年1月1日にも間に合うよう、10月の臨時国会召集前の結党を目指すが、21人が一致して行動できるかは微妙だ。

「まず新党に移る20人の中には、今回の中道結成の“戦犯”とされる野田佳彦氏もいれば、政治姿勢の異なる有田芳生氏もいる。すでに『立憲に戻るのでは』『国民民主に移るのでは』と言われている議員もおり、立憲系でまとまって新党を作り、うまくいくとは思えない」(全国紙政治部記者)

ただ、立憲系議員が新党と距離を置いて独自の進路を進むのも険しい道のりだ。国民民主関係者は「立憲系の議員から『国民民主と一緒にやれないか』という接触はあるが、こんな数合わせの政局や資金面でのゴタゴタを経た後に移籍されてもイメージが悪いし、簡単に受け入れられない」と突き放す。

参院の立憲側も、衆院立憲系の現職とは一定の距離があり、現時点では受け入れに必ずしも積極的とはいえない。

選挙直前の結党には“数合わせ”との批判もあり、2月の衆院選では大敗。8カ月足らずで解体が決定した。それにもかかわらず、政党交付金約11億7000万円を受け取ることを決めた中道。10億円の未払い費用は支払えたとしても、有権者の失望を招いた代償は、今後も重くのしかかりそうだ。

取材・文・撮影/集英社オンライン編集部ニュース班