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ショート動画など、次々と流れてくるコンテンツに夢中になり、スマホを手放せない──。そんな子どもや若者を揶揄するネットスラングとして、最近「ドパガキ」という言葉を目にする機会が増えている。

「ドパ」は、快感や報酬に関係する脳内物質「ドーパミン」を指すとされる。短時間で刺激的なコンテンツを次から次へと消費し、スマホから離れられなくなっているような状態を、やや乱暴に表現した言葉だ。

もちろん、こうした呼び方そのものには賛否があるだろう。スマホを長時間使っているというだけで、子どもをひとくくりにすることもできない。

ただ、大人でも「少しだけ」と思って見始めたショート動画を、気づけば何時間も見続けていた、という経験は珍しくないのではないか。

一本一本の内容はほとんど覚えていないのに、指だけは止まらず、次の動画へ、そのまた次の動画へとスクロールしてしまう。

自制で利用時間をコントロールすることが難しい子どもであれば、なおさら心配になる保護者もいるだろう。

●「もうスマホは没収!」どこまで許される?

「今日は没収します」「もうスマホは終わり」

そんなふうに、子どもの手からスマホを取り上げる家庭もあるはずだ。

一方で、スマホは友人との連絡や学校生活にも使われる生活インフラになりつつある。

そもそも親は、子どものスマホを強制的に取り上げることができるのだろうか。法律上、どこまで許されるのか。

●子どもを「監護・教育」する権利と義務がある

結論からいえば、未成年の子どもがスマホを使いすぎているからといって、親が一定期間、使用を制限したり、端末を預かったりすることが法的に問題になるとは考えにくい。

民法では、親権をおこなう者には、子どもの利益のために「監護及び教育をする権利を有し、義務を負う」と定められている。

また、「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律」6条1項でも、保護者は青少年の発達段階に応じて『インターネットの利用を適切に管理』し、適切に活用する能力の習得を促すよう努めるものとされている。

そのため、たとえば深夜までスマホを使っていて睡眠や学校生活に支障が出ている場合や、高額な課金を繰り返している場合、危険なサイトやSNSを利用している場合などに、子どもの健全な成長を考えて利用時間を制限することは、親による監護・教育の一環として認められると考えられる。

「宿題が終わるまで預かる」「夜10時以降は親に渡す」「一定期間、ゲームやSNSを使えなくする」といった家庭内のルールを設けることも、それ自体が法的に問題になるとは考えにくいだろう。

●所有権の観点からも「没収」は可能

スマホ端末の所有権が親にあり、子どもに貸しているのであれば、所有権の観点からも、親が端末を手元に戻すこと自体は基本的に可能と考えられる。通信契約の名義が親であれば、利用料金を支払っているのも通常は親だろう。

一方、子ども自身がお年玉アルバイト代などで購入し、端末の所有権が子どもにある場合は事情が異なる。

ただ、いずれの場合でも、未成年の子どもの健全な成長のために必要であれば、親権に基づく監護・教育の一環として、一定の利用制限をすることは認められると考えられる。

●「親権があるから何をしてもいい」わけではない

ただし、「親だから何をしてもいい」ということでもない。

民法821条は「親権を行う者は、前条の規定による監護及び教育をするに当たっては、子の人格を尊重するとともに、その年齢及び発達の程度に配慮しなければならず、かつ、体罰その他の子の心身の健全な発達に有害な影響を及ぼす言動をしてはならない」と定めている。

ポイントになるのは、その制限が本当に「子どもの利益」のためといえるかどうかだ。

子どもの年齢や成熟度、スマホを取り上げる理由、期間や方法などによっては、必要性や相当性が問題になる可能性がある。

たとえば、子どもの人格を傷つけるような方法で取り上げたり、罰として長期間にわたって必要以上に使用を禁じたりすることまで、親の権限として無制限に認められるわけではない。

●スマホを「取り上げる」と「中身を見る」は別問題

もう一つ注意したいのが、スマホの「中身」だ。

スマホには、友人とのメッセージや写真、検索履歴など、子どものプライバシーにかかわる情報も大量に入っている。

スマホを「取り上げる」ことと、その中身を親が「勝手に見る」ことは、分けて考える必要がある。

子どもにも年齢や発達段階に応じたプライバシーがある。

国の「青少年が安全に安心してインターネットを利用できるようにするための施策に関する基本的な計画(第6次)」でも、『青少年のプライバシーに配慮した形でのアクセス履歴の把握』といったペアレンタルコントロールのあり方が示されている。

安全確保のために確認する必要性が高いケースもあり得るが、「親だから」という理由だけで、メッセージや写真を際限なくチェックしてよいとまではいえないだろう。

●「没収すれば解決」でもない

「ドパガキ」という言葉が示すようなスマホへの過度な熱中が心配だからといって、法律が親に「スマホ没収」のフリーパスを与えているわけではない。

重要なのは、子どもの利益のために必要な制限なのか。そして、その方法や程度が行き過ぎていないかという点だ。

スマホを取り上げれば、その瞬間は画面から引き離すことができる。しかし、それだけで問題が解決するとは限らない。

なぜ使いすぎてしまうのか、何時までなら使っていいのか。どのようなルールなら守れるのか。スマホとの付き合い方そのものを親子で考えていくことも必要になりそうだ。