韓国のウマ娘ファン(筆者撮影)

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6日、韓国・ソウル競馬場で行われた国際競走「第9回コリアカップデー」は今年も日本馬の圧倒的な強さが際立った。G3コリアスプリントをドラゴンウェルズ、G2コリアカップをディクテオンが制し、例によってワンツーを独占。競走馬の実力差はいかんともしがたいところだが、こと競馬文化の側面における日韓交流は確実に広まり、深化している。

それを象徴するのがメディアミックスコンテンツ「ウマ娘プリティーダービー」の熱気だ。

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ソウル競馬場で広がる「ウマ娘」 若者たちが日本競馬に熱視線

やはりというべきか。今年で9回目を迎えた「コリアカップデー」は、日本馬の圧勝に終わった。レース創設以降、そのほとんどを現地で見届けてきたが、地元・韓国勢は今回もなすすべなく、そのレベル差は平行線のまま。しかし、周辺では大きな変化が生まれていた。

それが、ここソウル競馬場でも「ウマ娘」が大人気だったことだ。

昨年あたりからコスプレイヤーの姿をポツリ、ポツリと見かけるようになってはいた。しかし、今年は驚くほどの人々がパドックやスタンド周辺を闊歩(かっぽ)。日本の名馬のコスプレに身を包んだ若者たちであふれていた。10代後半から20代前半を中心としたサークル活動の仲間たちのようで、実に楽しそうだ。

その中のひとつのグループと話す機会に恵まれた。「あなたは誰?」と聞くとダイワスカーレット、サクラローレルといったG1馬の名前を挙げた。中にはナイスネイチャ、フェノーメノ、マチカネタンホイザといったマニアックな方までいた。判官びいきはどこの国にもあるようだ。

競馬場で開催される様々なイベントへの参加する「アニマルフレンズ」(© 2026.NEETP)

彼らは「アニマルフレンズ(動物の友だち)」と名乗り、ウマ娘韓国語版のアニバーサリーイベントや韓国の競馬場で開催される様々なイベントへの参加、またゲームのコンテンツを活用した年に2回の合宿を実施しているとのこと。私のような馬券オヤジには理解しがたい面もあるが、競馬人気が浸透するのは悪くない。どんな組織なのか。代表で「甘い寿司」ことヒカさんが言う。

「メンバーは韓国語版・日本語版を合わせて200人以上で、8つの団体が集まったサークル連合です。日本では競馬は一つのスポーツとして認められていますが、韓国にはまだギャンブルという認識が根強い。そのため、競馬に関心を持つ若者が少ないことを残念に思っています」

「オグリキャップに救われた」若者たちの輝く目

その国の競馬のレベルを知るには、競馬関係の出版物やメディアの数で分かると言う。一方で、その国の文化レベルや社会の成熟度を知るには、競馬などのギャンブルとの距離感を見れば分かるとも言われ、この説は当たらずとも遠からずと感じている。

実際、KRA(韓国馬事会)も競走馬のレベルアップとともに文化事業にも力を入れてきた。映画「チャンプ」のモデルにもなり、障害を抱えながら最終的にはレース名「ルナステークス」にまでなったルナの物語などはその一例だ。ただ、ウマ娘が浸透し始めた際に韓国の一部メディアから「女性に馬のしっぽはいかがなものか」という批判的な記事が出たと聞く。ヒカさんが続ける。

「韓国馬事会には、それぞれの競走馬が歩んできた物語や戦績の背景を深掘りするとともに、イベントや競走についても積極的にPRしてほしい。私たちの願いは競馬という枠を超えて、韓国を代表するスポーツや文化コンテンツとして成長することです」

ウマ娘から興味を持った多くの競馬ファンがソウル競馬場に訪れた(筆者撮影)

こう話すヒカさんはウマ娘の活動を通じて出会い、ウマが取り持つ縁で結婚したという。ちょっといい話を聞いたが、実際、場内を歩いて驚かされたのがオグリキャップの圧倒的な人気ぶりだ。

1990年の有馬記念で「奇跡のラストラン」を演じた物語はメディアコンテンツを通じて韓国ファンにも広く知られている。地方競馬からはい上がったその生涯は、韓国の若者にとっても「立身出世」「雑草魂」のサクセスストーリーとして深く胸に刺さっているようだ。

私が「オグリの現役時代をナマで取材したよ」と明かすと、彼らは目を輝かせ、尊敬のまなざしを向けてくれた。「サクラローレルといえば、春の天皇賞の3強対決だね。最後の最後で逆転」と熱弁すると、身を乗り出してうなずいてくれた。そんな姿に少し照れくささも感じつつ、国境を越えたサブカルチャーの広がりを実感したものだ。「ウマが合う」とはまさにこれ。その中の1人が、しみじみとこう教えてくれた。

「私はオグリキャップに救われたんです。ダメになりそうなとき、あきらめない姿を思い出す。韓国にもオグリキャップが現れてほしい」

筆者撮影

彼らの競馬へのリスペクトはまさに本物だ。日本語で対応してくれたこともありがたかった。

オグリキャップに出会わなければ、ここまで競馬にのめり込むことはなかったと思っている私も、この言葉を聞いて思わず目頭が熱くなった。

(後編に続く)

文/山本智行 内外タイムス編集部