「人事の判断材料にするから」高市首相が側近に作らせた“メモ”とは…閣僚・自民党役員人事の内幕と情勢
内閣改造・自民党役員改選の季節が巡ってきた。党総裁の任期切れを1年後に控え、高市早苗首相が狙うのは再選を見据えた体制強化。保守色の強い公約の履行が票固めの近道とみており、「忠誠心」と「実行力」を基準に人事を断行する構えだ。人事の判断材料として、「閻魔帳」なるメモまで作成し--。(竹場四郎/ジャーナリスト)※文中敬称略
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「総理に“閻魔(えんま)帳”を渡しましたよ」
8月末、官房長官の木原稔が周囲にこう明かした。高市政権発足以降、自民党の各議員が国会や党、政府のポジションで何をし、何をしてこなかったか、政権に協力的だったか否か、その言動を記したメモのことだ。
高市から「人事の判断材料にしたいから」と作成を求められた。2人いる政務の官房副長官や一部の党幹部も提出を指示された。

木原は高市の唯一とも言える側近。番頭として内閣を支える。「隠れた人材を抜擢するため」。もっともらしい理由を挙げるが、閻魔帳などという代物の存在をわざわざ口にするのは、高市に批判的な人物は排除する姿勢を示すことで引き締めを図る狙いがある。
「年功序列ではなく政策推進力」。政権幹部は人選の基準について、こうも語る。高市が「国民との約束」と呼ぶ衆院選公約や日本維新の会と結んだ連立政権合意を、この秋の臨時国会と来年1月召集の通常国会で実現し切ることを重視するためだ。
先の特別国会で、高市は自分の思い通りに審議が進まなかった際、関係する自民党幹部について「代えられないの!?」と苛立ちを露わにしながら周囲へ質した。それを反映し、木原らの閻魔帳にも「副首都」創設法や国旗損壊処罰法の成立などにどれだけ貢献したかが載っているとされる。
閣僚候補らに対する「身体検査」を経て…
高市は政権人事に向け、自民党議員に希望ポストを聞くよう指示。8月20日、幹事長の鈴木俊一名で当選2回以上の衆院議員に「アンケート」がまかれた。(1)閣僚、副大臣、政務官といった政府の役職、(2)常任委員長など国会の役職、(3)総裁直属機関などを除く党の役職について合計五つまで希望を挙げるよう求める内容だ。25日に締め切られ、政権発足当初に首相秘書官を務めていた党職員が28日に首相官邸へ届けた。
「自分で全部読み込むわ」
高市は周辺にこう語っている。通例、ベテランを中心に3分の1ほどの議員は人事希望を出さないが、今回は9割以上が提出した。
同じ頃、閣僚候補らに対する「身体検査」の指示が木原を経由して国家情報局に下りた。政治資金の問題や異性との不適切な交遊など、露見したら政権にダメージを与えそうな案件をあらかじめ押さえておく定番のプロセスだ。
「こんなに幅広く調べるのか」。例年に比べてはるかに多い数の名前が書き込まれていたといい、命を受けた国家情報局の担当者らは驚きの表情を浮かべた。結果は国家情報局長の原和也が9月4日に高市へ報告。関係者は、維新が初めて出す閣僚らの候補について「軒並みグレーだった」と苦笑した。
人選のネタが揃ったところで高市は日曜日の6日午後、木原を首相公邸に呼び、2時間半ほど額を突き合わせて絞り込みに着手した。外は雨模様。先行きを暗示したものか、線状降水帯の予測情報も出ていた。
〈林芳正ら注目人物の最新情勢、新たな入閣候補、それらに滲む「高市人事」における“安倍色”などについて、新潮QUEで詳述している〉
デイリー新潮編集部
