ネパールと中国の国境地帯で大規模な土石流が発生(AFP=時事)

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 ネパールと中国の国境地帯で発生した大規模な土石流。発生から10日以上が過ぎても、被害の全容は明らかになっていない。

【写真を見る】高層建物を残し、集落の一帯が泥水に沈んだ現地。避難所の様子なども

 これまでの報道によると、両国あわせて死者数はすでに1300人超、行方不明者は約5000人だという。ネパール国内では水力発電の作業員や住民、500人を超える外国人観光客が巻き込まれた。この中には日本人の5人家族が含まれ、行方不明になっている。ネパール側では160万人もの人々の生活に影響が出ているという未曾有の大災害だ。

 今回の災害は富士山よりもはるかに高い標高5200メートルの斜面で起きた。氷河と岩盤の大規模な崩落が起点となっているとみられている。

「現時点の科学的な解析では、氷河を含む斜面から氷と岩石などが崩落し、水や土砂を巻き込んで巨大な土石流となった可能性が指摘されています。流れの速度については複数の暫定的な統計がありますが、時速167キロメートルもの速度になっていたとみられ、街や人を飲み込みました。原因はまだ断定できませんが、近年の温暖化により、崩落箇所はもともと大規模な雪崩や洪水などの危険性が指摘されていた場所ではあります」(大手紙国際部記者)

 SNSなどで拡散している土石流の映像は凄まじい。

 ネパールと中国の国境にある吉隆口岸に到達した瞬間の防犯カメラの映像では、異変を察知した人が全力で走って逃げる中、無慈悲にも人や建物を黒い土石流が一瞬で飲み込んだ。建物を破壊し、押し流していく映像も複数ある。土石流が去った後は、高層建物を残し、集落の一帯が泥水に沈んでいた。

 この災害に日本人家族5人も土石流に巻き込まれた。

「大阪市内に住む夫婦と子供3人とみられます。夫は府立学校の教員で休暇届を出していたといいますが、そのまま連絡が取れなくなっています。中国のチベット側から、ネパールに抜ける観光ルートを通っていたとみられます。日本政府が捜索への協力を要請し、ネパール側も『全力で対応する』と答えています」(同前)

 現地では様々な悲劇が報じられている。ネパールのメディア「オンラインカバル」では、被災しながらも一命を取り留めたが、家族と連絡が取れず1人で入院する女児について報じている。

「イシャラ・タマンさん(5)はラスラ郡カルテで土石流に巻き込まれたのですが、網に引っかかっているところを救助されました。心はトラウマを負っていて、まだしっかりと話ができる状況にはないのですが、『お母さんは流されました』と話しているといいます。家族から連絡がなく、父親をメディアも含め探している状況です」(同前)

 また現地で大きな問題になっているのが、遺体の身元確認だという。

「被災地域には、連絡が取れなくなった親族がいる家族が集まっていますが、遺体の身元確認が困難になっているケースが非常に多い。土石流が猛烈なスピードで、かつ瓦礫などを大量に含んでいたため、遺体の損傷が激しいんです。現地の高い気温と湿度で腐敗が早いことも身元確認を困難にしています。指紋や歯形などが有用な情報が読み取れないほど損傷した遺体も多いです。1人の遺体に複数の家族から『自分たちの家族だ』と連絡があり、DNA鑑定をしているケースもあります」(同前)

 また、遺体の収容能力が限られるため、写真や所持品、DNAを採取できるものなどを残して一部を仮埋葬している安置所もあるという。

「土石流の影響はかなり長引くでしょう。原因を解明しなければ、今後も同じような大災害が発生する可能性があります。

 日本ではヒマラヤ地域のような大規模な氷河はないので同様の自然災害は起きにくいとは思いますが、温暖化が影響して、何らかの自然災害を引き起こす可能性は否定できません。豪雨や地震の影響で地盤崩壊の可能性がある山間部もあることから、今回の災害を日本にとっても重要な教訓としなければならない。大規模土砂災害の備えを検証する必要があるのではないでしょうか」(同前)

 今は行方不明になっている人々が大切な人たちと連絡がとれるよう祈るばかりだ。