“70歳の両親”は夫婦で「年金35万円」「貯蓄2000万円」なのに、外食は年に数えるほどで“質素な生活”です…どちらも「平均以上」だと思うのですが、なぜ“お金を使わない”のでしょうか?

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高齢の両親が年金額や貯蓄額は十分なのに、質素な生活をしていて不思議だと思ったことがある人もいるかもしれません。高齢者の中には、さまざまな理由によって、年金額や貯蓄額が多くても節約を続ける人がいます。   本記事では、「年金35万円」「貯蓄2000万円」の70代夫婦が、一般的にどの程度の水準か解説しつつ、多くの高齢者が使えるのにお金を使わない理由について考えてみます。

年金35万円は平均より多い?

まずは年金額を見てみましょう。厚生労働省「令和6年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、老齢厚生年金(老齢基礎年金を含む)受給権者の平均受給額は、男性が約17万円、女性が約11万円です。
仮に夫が17万円、妻が11万円程度だとすると、夫婦合計は約28万円です。今回のケースでは夫婦で35万円ですので、平均より7万円ほど多く受け取っている計算になります。
年金額は、現役時代の収入や加入期間によって大きく異なりますが、35万円は比較的恵まれた水準といえるでしょう。

貯蓄2000万円は平均と比べてどう?

次に貯蓄額です。金融経済教育推進機構(J-FLEC)の「家計の金融行動に関する世論調査 2025年」によると、二人以上世帯の70代の金融資産保有額は、平均2416万円、中央値1178万円です。
つまり、2000万円は平均には少し届かないものの、中央値は大きく上回っています。平均値は一部の高額資産保有者によって押し上げられやすいため、「一般的な家庭と比べてどうか」を見るなら中央値のほうが実態に近いとされています。
その意味では、貯蓄2000万円は決して少ない金額ではありません。

それでもぜいたくをしない人が多いのはなぜ?

年金35万円、貯蓄2000万円なら十分では?」と思うかもしれません。しかし、高齢者がお金を使わない理由はいくつもあります。
大きいのは、「あと何年生きられるか分からない」という不安です。70歳なら平均寿命まで10年以上ありますが、場合によっては20年、30年以上生活する可能性があります。
さらに、介護費用や医療費、自宅のリフォーム費用など、将来まとまった支出が発生するかもしれません。物価上昇も気になるところです。最近は食料品や光熱費が相次いで値上がりしており、「今は余裕があっても、この先どうなるか分からない」と考える人もいるでしょう。
こうした将来への不安から、「使えるお金」と、「安心して使えるお金」は別だと考え、必要以上にお金を使わない人も多いのです。
また、現在70代の人は高度経済成長期やバブル崩壊など、さまざまな時代を経験してきました。大きな時代の変化の中で、「無駄遣いはしない」「お金は貯めるもの」という価値観が身についている人や、「子どもや孫に少しでも資産を残したい」と考える人もいるでしょう。

子どもとしてできることは?

両親が十分な年金や貯蓄を持っているにもかかわらず、極端に我慢して生活しているように見えるなら、一度ゆっくり話を聞いてみるのもよいでしょう。「旅行に行こう」「たまには外食しよう」と誘ってみることで、「実は行きたかったけれど遠慮していた」ということもあるかもしれません。
一方で、節約が本人たちの価値観であり、それを苦痛と感じていないのであれば、無理にお金を使わせる必要はありません。大切なのは、年金や貯蓄が平均より多いから使うべきと考えるのではなく、本人たちが安心して生活できることです。

まとめ

夫婦で年金35万円、貯蓄2000万円という水準は、年金額は平均を上回り、貯蓄も70代二人以上世帯の中央値を大きく上回る水準です。それでも外食や旅行を控える人が多い背景には、長生きへの不安や、介護・医療費、物価上昇への備え、そして「お金は使うよりも残すもの」という世代ならではの価値観があるからと思われます。
子どもとしては、「もっとお金を使えばいいのに」と考えることもあるでしょう。しかし、まずは両親が何に不安を感じ、どのような老後を送りたいと思っているのかを知ることが大切です。その上で、必要に応じて旅行や外食などを提案し、無理のない範囲で人生を楽しめるよう寄り添うことが、何よりの親孝行かもしれません。
 

出典

厚生労働省 令和6年度厚生年金保険・国民年金事業の概況
金融経済教育推進機構(J-FLEC) 家計の金融行動に関する世論調査 2025年
執筆者 : 三浦大幸
2級ファイナンシャルプランニング技能士/ITパスポート/日商簿記3級/第一種衛生管理者/証券外務員/英検2級など