ノドの筋力、飲み込む力は加齢とともに弱くなる【長生きのど習慣】
高齢化によって増加する誤嚥性肺炎での死亡者数
生命にかかわる病気というと、多くの人ががん、心筋梗塞などの心疾患、脳梗塞などの脳血管疾患を思い浮かべることでしょう。たしかに、これらの病気は日本人の死因の上位であり、予防や治療の方法も広く知られるようになりました。
この本で皆さんにお伝えしたいのは、肺炎も生命に関わる病気であるということです。年間死亡者数でみれば肺炎はおよそ7万4000人、誤嚥性肺炎は6万人以上で、合わせると死因の第3位となります。しかし、予防や治療に取り組もうとする人はなかなか増加しないのが現状です。
肺炎には非感染症と感染症の2種類があります。非感染症の肺炎はアレルギー性肺炎、間質性肺炎です。一方、感染症の肺炎には細菌性肺炎、ウイルス性肺炎、非定型肺炎があり、この本で紹介している誤嚥性肺炎も細菌性肺炎の1種です。高齢者がかかる肺炎のうち7割以上は誤嚥性肺炎といわれていることもあり、多くの人にもっともっと意識してほしい病気なのです。
では、なぜ誤嚥性肺炎にかかる人が多いのでしょうか? その理由は、日本人の寿命がのびていることが考えられます。高齢になるにつれてノドの筋力と神経の機能が衰え、飲み込む力が弱くなり、飲食物が気管や肺に入って肺炎を引き起こし、生命を落とす人が増えているのです。
日本人の主な死因
1位 悪性新生物(がん) 23.9%
2位 心疾患(高血圧を除く) 14.1%
3位 老衰 12.9%
4位 脳血管疾患 6.4%
5位 肺炎 5.0%
6位 誤嚥性肺炎 4.0%
7位 不慮の事故 2.8%
8位 新型コロナウイルス感染症 2.2%
9位 腎不全 1.8%
10位 アルツハイマー病 1.6%
その他 25.2%
【出典】『長生きのど習慣』著:西山耕一郎/熊井良彦
【著者プロフィール】
西山 耕一郎(にしやま・こういちろう)
北里大学医学部卒業後、横須賀市立市民病院に勤務。横浜赤十字病院(現・横浜みなと赤十字病院)耳鼻咽喉科副部長、国立横浜病院(現・横浜医療センター)耳鼻咽喉科医長、北里大学耳鼻咽喉科診療助教授を経て、2004年に西山耳鼻咽喉科医院を開業。東海大学客員教授。藤田医科大学客員教授。嚥下相談医。嚥下認定士。神奈川県嚥下キーパーソン。耳鼻咽喉科・頭頸部外科医師として、30年間で約1万人の嚥下障害患者の診療を行う。主な著書に『肺炎がいやなら、のどを鍛えなさい』(飛鳥新社)『のどを鍛えて肺炎を防ぐ!』(大洋図書)『誤嚥性肺炎で死にたくなければのど筋トレしなさい』(幻冬舎新書)。
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熊井 良彦(くまい・よしひこ)
長崎大学大学院耳鼻咽喉科・頭頸部外科教授。主な専門分野は聴覚障害、嚥下障害、音声障害。1999年に熊本大学を卒業し、熊本大学での准教授を経て、現職。長崎大学病院嚥下障害治療センター長、長崎大学病院頭頸部腫瘍センター長を併任する。

