20歳超の愛猫トムくんが旅立ったあとに…(「琥珀」さん提供)

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大切な猫を見送ってから、わずか2日後。掃除のために開けていた玄関から、一匹の三毛猫がごく自然に入ってきました。

【動画】「NNNから来ました?」開け放った玄関に現れた三毛猫

「まさか、NNN(ねこねこネットワーク)から派遣されてきたネコチャンでしょうか」

そんな言葉とともにXへ投稿された写真には、玄関の中にちょこんと座り、家の様子をうかがう三毛猫の姿が写っています。

投稿には、「ごめんくださいませー!」「トムちゃんが『この家はいいおうちだよ。次よろしくね』って紹介してくれたのかもしれませんね」「ちゃんと次の子の派遣要請をしていた有能な猫ちゃんだったのですね」などの声が寄せられました。

投稿したのは、「琥珀」さん(@178yuzuriha)。三毛猫が現れる2日前に旅立ったのは、妹さん夫婦が6年間、大切に育ててきたハチワレ猫のトムくんでした。

おばあちゃんとの別れを経て、妹夫婦の家族

トムくんはもともと、一人暮らしのおばあちゃんに大切にかわいがられていた猫でした。しかし、おばあちゃんが亡くなった後は、動物病院で預かられていたといいます。

妹さん夫婦は以前、保護猫のトラ太郎くんと暮らしていました。トラ太郎くんを見送った後、再び保護団体から別の猫を迎えようとトライアルを始めましたが、その猫はとても臆病でした。環境の変化が負担になっているように感じ、「このままではかわいそう」と保護団体へ戻すことにしたそうです。

その帰り道、妹さん夫婦の頭に浮かんだのが、動物病院にいたハチワレ猫でした。気になって病院へ立ち寄り、スタッフから事情を聞いたうえでトライアルを開始。すると、夫婦と猫の相性はぴったりでした。

「うちの子にします!」

そう伝えると、病院のスタッフからも「お二人なら、この子のすべてをお願いできます」と託されたといいます。その猫こそ、トムくんでした。

トムくんには、猫エイズと巨大結腸症という持病がありました。それでも妹さん夫婦は、病気も含めて受け止め、家族に迎えることを決めました。

動物病院の見立てでは、迎えた当時のトムくんは推定14歳。そこから6年間をともに過ごしたため、亡くなったときは20歳を超えていたと考えられます。

初対面でもすり寄る、穏やかな猫だった

「トムは本当に穏やかな性格の猫ちゃんでした」

琥珀さんは、在りし日のトムくんをそう振り返ります。初対面の人にも自分からすり寄ってくる、おとなしく人懐っこい猫だったそうです。

妹さん夫婦とトムくんは、のんびりと日々を重ねていました。夫婦が旅行で家を空ける際には、琥珀さんが留守を預かり、トムくんのお世話をすることも。家族みんなに見守られながら、穏やかな時間を過ごしてきました。

そしてトムくんが旅立った2日後、思いがけない出来事が起こります。

開け放った玄関から「普通に入ってきた」

トムくんがいたころは、脱走を防ぐため、玄関は常に閉めていました。しかし、その日は掃除をするため、妹さんが玄関を開け放っていたそうです。

すると、以前から家の外で何度か見かけていた三毛猫が、開いた玄関から当たり前のように家の中へ入ってきました。

琥珀さんに、妹さんから「玄関を開けていたら、普通に入ってきた」と連絡が届きました。写真を見た琥珀さんも、こうした光景は初めてで驚いたといいます。妹さんは、まず三毛猫に水とごはんを用意しました。

猫好きの間では、猫を必要としている人のもとへ、どこからともなく猫がやって来る不思議な縁を「NNN(ねこねこネットワーク)」による“派遣”と表現することがあります。

「トムが亡くなったのは18日でした。あまりにも早い猫ちゃんの登場を見て、直感で『派遣された?』と思い、Xでつぶやきました」

琥珀さんはSNSを通じてNNNという言葉を知っていましたが、妹さんは知らなかったそう。それでも、トムくんとの別れからわずか2日後の訪問に、不思議なつながりを感じずにはいられませんでした。

投稿を見た人からは、「トムさんという方からの依頼なんですが……と言っているみたい」「ご主人が寂しがらないように、トムちゃんが呼んできてくれたのでは」と、トムくんが三毛猫を導いたのではないかと想像する声が相次ぎました。

三毛猫の気持ちを尊重し、焦らず見守る

三毛猫はその後も、朝になると妹さん夫婦の家へやって来ているそうです。姿を見せたときには、水とごはんを用意しています。

ただ、今のところ体に触れさせてはくれません。妹さん夫婦は、慣れていない段階で無理に保護し、家の中へ閉じ込めるのはかわいそうだと考え、猫のペースを尊重しながら見守っています。

今後、三毛猫の方からすり寄ってくるほど心を許してくれたら、家族として迎えることも考えているとのこと。偶然開いていた玄関から始まった縁は、今もゆっくりと続いています。

今も投稿を続ける、ウサギの琥珀ちゃんとの思い出

投稿者のアカウント名になっている「琥珀」は、琥珀さんが8年あまり一緒に暮らしたウサギの名前です。琥珀ちゃんは昨年9月10日、8歳6カ月で旅立ちました。マイペースでおっとりした性格だったといいます。

特に心に残っているのは、娘さんが飼っているミニチュアダックスフンドのこまちちゃんが、初めて家へ遊びに来た日のことです。

ウサギは、不満や警戒などの感情を後ろ足で床を踏み鳴らす「足ダン」で表すことがあります。しかし、琥珀ちゃんは普段、ほとんど足ダンをしない子でした。

ところが、柵越しにこまちちゃんへ近づいて匂いを嗅ぐと、足ダンを3回。すぐにケージの中へ走り去っていきました。家族みんなで笑った一方、琥珀さんは「初めて感情を爆発させたみたいで、なんだかうれしかった」と振り返ります。

琥珀ちゃんを通じてつながったウサギの飼い主たちは、旅立った後も愛兎の思い出を発信していました。琥珀さんの手元にも、かわいい写真や動画がまだたくさん残っています。楽しみにしてくれる人がいるため、以前より頻度は減ったものの、今も投稿を続けているそうです。

「いなくなってもうすぐ1年。泣いてばかりの時期から、『こんな私と8年も一緒に過ごしてくれてありがとう』という気持ちに、最近ようやくなってきたところです」

大切な動物と過ごした時間は、姿が見えなくなった後も消えることはありません。トムくんが残した温かな記憶と、玄関から訪れた三毛猫との新たな縁。家族は今、焦ることなく、その行方を見守っています。

(まいどなニュース特約・渡辺 晴子)