オペレーションの効率化も進めており、2026年3月期の人件費率は24.7%で、前年から1.5ポイント下がっています。

集客状況も良好で、2026年3月期は客数・客単価ともに前年を上回りました。単価を上げてもお客さんがついてくる状態なのです。

大戸屋はもともと女性に強いブランドでしたが、男性向けメニューの拡充も図っています。最大の強みはバランス感覚だと言えるでしょう。価格や提供品質、ボリューム、メニューの数、ヘルシーさ。そのバランスがとれており、著しく欠けている要素が見当たりません。

◆すかいらーく参戦で勢力図が激変?

やよい軒は、大戸屋よりも50円~100円程度安く、価格競争力があります。また、ごはんのお代わりが無料であり、わかりやすい差別化ポイントを設けています。

運営会社であるプレナスは、弁当チェーン大手の「ほっともっと」を運営しています。そのため、自社工場にて精米や調味料、食品加工などを行ない、物流も集約。仕入れにおいても、スケールメリットを得ることができます。効率化と合理化を進めやすい環境が整備されているのです。

やよい軒は明確な差別化ポイントがあるため、大戸屋とは異なる需要を取り込むことができます。

2つのブランドは棲み分けができていたようにも見えましたが、そこに新たな刺客が現れました。「しんぱち食堂」です。

しんぱち食堂などを運営する「しんぱち」は2026年2月末時点で108店舗を展開する定食チェーンで、2026年にすかいらーくホールディングスが買収しました。

しんぱち食堂は「炭火焼干物食堂のファーストフード」というキャッチコピーを掲げており、コの字の客席の中心に炭火焼機を設置。通常の炭火焼よりも早い時間で、本格的な焼き魚を提供することができます。

焼き魚に尖りを持たせていますが、豚肉や牛肉、鶏肉の定食も提供しており、総合力の高いブランドです。

すかいらーくは主力業態の「ガスト」の一部を、買収した「資さんうどん」に転換するなど、ブランドポートフォリオの組み換えを進めています。しんぱち食堂は、都心や駅前、市街地への出店が中心。ロードサイドや郊外を得意としてきた、すかいらーくにはないエリア特性を持っています。

都市部を中心として、出店を強化する可能性は高いでしょう。定食チェーンの戦いが一層盛り上がりを見せそうです。

<TEXT/不破聡>

【不破聡】
フリーライター。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、経済や金融に関連する記事を執筆中。得意領域は外食、ホテル、映画・ゲームなどエンターテインメント業界