「3つしか乗れなかった」開業1年のジャングリア沖縄…待ち時間改善の裏で残る運休と地元との深い溝

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待ち時間問題改善の一方で、アトラクションに乗れない問題が!

一方、アトラクションの待ち時間の長さは大幅に改善されていた。かつては3~5時間待ちがザラだったが、今は最大でも1時間待ち、大半は30分以内で案内されているようだ。目玉アトラクションの一つで、オフロード車で恐竜の生息エリアを走る『ダイナソー サファリ』も20分ほどで体験できた。

しかし--喜んだのも束の間。記者は別の問題に直面した。目玉である気球に乗る人気アトラクション『ホライゾン バルーン』など4つが運休・準備中で乗れなかったのだ。ハーネスの着用が必要な体験型アトラクションのうち4つは動いていたが抽選で、巨大ジップラインの『スカイ フェニックス』には2回応募するも落選。全部で16ある体験型アトラクションのうち、半分は並ぶことすらできなかった。

有料パスを買えば抽選なしで乗れるのだが、渡航費に約7000円の乗り放題パス、その上で1アトラクションにつき2000円前後を払う余裕は新米記者にはない。

食費にも触れておこう。ランチタイム、熱中症寸前の体でたどり着いたのは、先述した園内唯一の室内レストラン『パノラマ ダイニング』。その場で予約をして、15分後に、ようやく冷房の効いた店内へ。奪われていた体力が回復していく。

着席するとウェイターに7000円と9000円のコースを勧められたが丁重にお断りして、パークのシンボルである気球を模したポットパイ「JUNGLIA バルーン」を注文した。直径15cmと小ぶりだがお値段は堂々の2800円。メニュー表を眺めると、2000円から3000円台の料理がずらりと並んでいた。

10分して、ポットパイが運ばれてきた。ふわふわのパイ生地の中には濃厚なビーフシチューが隠れている。量は20代の記者には物足りなかったが、おいしかった。

クソ暑い中歩きまわって、アトラクション抽選にも外れて、クサクサしていた記者を癒やしてくれたのはキャストの温かい接客だった。施設利用の待ち時間には客を飽きさせないようにクイズや一発ギャグを披露。そのホスピタリティに思わず顔がほころんだ。

ある男性従業員は、「現場キャストのモチベーションはかなり高いですよ」と胸を張った。背景にあるのが、開業の旗振り役を務めた『株式会社刀』の関わり方の変化だという。男性従業員が続ける。

「開業当初は『刀』が連れてきたUSJの運営経験者たちが指示を出していました。しかし、リーダーシップが強過ぎて現場の意見が無視されることも多く、不満を感じるスタッフが少なくなかった。

でも、開業から1年が経った頃からあまり現場に口を出さなくなった。『刀』のCEOを務める森岡さん(毅・53)も開業1周年イベントに出席しませんでした。アルバイトの社員への登用も進み、現場の意見を吸い上げてくれるようになった。皆生き生きと働いています」

複数の従業員に話を聞いたが、その多くが前向きで、厳しい現状を変えていこうという意志が感じられた。今年の猛暑を乗り越える秘策もあるという。

「『夏のびしょ濡れ大作戦!』です。水鉄砲を持ったウォーターレンジャーがゲストに涼を与え、水を浴びながら踊る『スコールダンス』で盛り上げます。どうせ汗をかくなら、びしょ濡れになって楽しんじゃえばいいんです!」(同前)

園内では1時間に1回、各地で巨大な水柱が立ち上がり、来場客と濡れながらのダンスショーが行われていた。記者も冒頭のように体験。正直、効果は微妙だったが、暑さを吹き飛ばそうという現場の熱気は本物だった。

その後も園内を歩き続け、アトラクションは合計3つ体験。閉園時間となった夕方5時に、ジャングリアを後にした。

深まる近隣住民との溝

もうひとつ、開業時から様々なメディアで取り沙汰されていたジャングリアの問題が地元との″摩擦″だ。名護市内のホテルスタッフや市役所の担当者など、様々な地元住民に声をかけたが、ほぼ全員が「まだ一度も行ったことがない」と冷ややかな反応が返ってきた。

名護市内の飲食店の店主は「店の客入りは正直、予想以下です。ジャングリアに行った人は疲れてしまい、市内までわざわざ呑みに出ないんだと思います」と落胆していた。期待された地域経済への恩恵は届いていないようだった。

それどころか、「ジャングリアの存在が住民の生活を脅かしている面もある」という近隣住民までいた。

「周辺の道路は時速40km制限ですが、60km以上出す来場者が少なくない。ジャングリア近くの交差点では追突事故が増えており、住民は怯えています。ジャングリアに対策を求めても、『それは役所の仕事だから』と一蹴されてしまって……」

ジャングリアに隣接する名護市中山区を歩いていると、地元老人会の会長だという70代男性に声を掛けられた。

「中山区にはゴーヤやコーヒー豆の農園がたくさんあって、区内を流れる西屋部川(にしやぶがわ)から水を引いているんですが、水量が半分以下になることがある。6月には60年近く利用してきた地域の湧水が止まってしまった。4月に地下水・湧水および自然水循環の変化に関する調査要望書を名護市に提出し、6月から市議会で議論が始まっています」

会長は大量の地下水を使う「びしょ濡れ大作戦」に厳しい視線を送っていたのだが--ジャングリアを運営するジャパンエンターテインメントはこう回答した。

「当社事業の揚水(ようすい)と西屋部川の水量減少に因果関係がないことは、地質・水理構造および各種調査データより明らかになっております。また、西屋部川の水量は降雨等により現在は既に以前と同程度まで回復している状況でございます。一方で、当社は地域の皆さまのご不安・誤解を払しょくし、丁寧にご説明していくことが極めて重要であると認識しています」

開業から1年、改善が見られた一方で、園内外に課題は残っていた。日本を代表するテーマパークとなるために、乗り越えるべきハードルは高く、まだまだ多い。

『FRIDAY』2026年9月4日号より