相変わらず「袋をください」と言いながら、商品をスタッフには入れさせず、「ここ(レジカウンター)に袋を置いて」と指示し、自分で袋詰めをする。スタッフが勝手に商品を袋へ入れると怒り出すのだ。

 商品のバーコードも自分でこちらへ向けてくる。それでも愛想がよければいいのだが、ずっとむっとしている。スタッフをまるでばい菌扱いするような態度で、決して気分のいいものではない。

 この日も同じような行動を取っていた。筆者は慣れているので無難に対応したが、Aが帰ったあと、店長が口を開いた。

「この前、あの人にアイスを投げられたんですよ」
「何ですか、それ!」

 先日、店長がレジに立っていると、Aがアイスを一つ持ってきた。「袋をください」と言われたので、店長が当たり前のように袋へ入れようとすると、いきなりAが怒り出したという。

「触るんじゃない」

 そう言って、Aはアイスを店長に投げつけ、そのまま帰ってしまったそうだ。

 店長も失礼な態度に腹を立てたが、代金は支払われていたうえ、客にも何か事情があるのだろうと考え、注意もせずに見送ったという。

「それって暴力と同じじゃないですか。許せないですね。出入り禁止にするべきですよ」

 筆者がそう言ってみたが、店長は苦笑いするだけだった。もう、Aには二度と来ないでほしいと思っている。

◆またもやアイスを投げる客が……

 たまに派遣スタッフとしてシフトに入ってくれる、50代の新谷さん(仮名)という女性がいる。真面目でしっかり働いてくれているのだが、耳が遠いのか、こちらが何か伝えてもあまり返事がなく、反応がかみ合わないことがある。声もかなり小さい。

 筆者からは言いにくいうえ、人手不足を補ってくれてありがたい存在でもあるため、店長には特に報告していなかった。

 仕事のできる20代スタッフのBくんは、新谷さんと一緒にシフトへ入ったあと、筆者にこう話していた。

「正直、あの人と仕事をするのは嫌です。反応が薄いし、声も小さい。たぶん、いずれお客さんとトラブルを起こすと思いますよ」

 ある日、筆者は新谷さんと一緒にシフトへ入っていた。店内は混雑しており、筆者もレジ作業に追われていた。

 すると、新谷さんのレジから客の怒鳴り声が聞こえてきた。こちらも接客中で、対応する余裕はない。

 その男性客はアイスを何個か購入したようで、筆者のレジの前を通り過ぎた。見かけたことのない客だった。

 ところが、男性客は再び新谷さんのところへ戻ると、袋からアイスを一つ取り出し、彼女に向かって投げつけたのだ。