Mami:技術、素材、耐久性、すべてです。巡業や遠征が続けば壊れてもすぐ直せないので、最初から壊れないように作る。スパンコールや柔らかいレースも使いますが、投げられても洗濯しても壊れず、試合中に脱げることも絶対に許されません。日本のコスチュームは丈夫で体に合い、かわいくてキラキラしている。それが海外でも評価されていると思います。

--マスクの本場・メキシコには長い歴史があります。どう違いを出していますか?

Mami:マスク専門の素晴らしいブランドをまねて競うのではなく、コスチューム全体で見せることを意識しています。トータルで、その選手にしかない世界観をつくるのが私の役割。

--独立したのは、どんな経緯だったのでしょう?

Mami:工房には7年勤めましたが、独立するつもりはありませんでした。別の衣装屋さんでのスキルアップも考えていたのですが、ずっと忙しかったので半年くらいはのんびり休んでもいいかなって思って(笑)。辞める時、自分へのご褒美に工業用ミシンを一台買ったところ、担当していたお客様から「直接頼めないか」と声をかけていただいて。プロレスの仕事は師匠たちの領域だと思っていたので、ボクシングやキックボクシングのジムへ挨拶に回り、口コミで仕事が広がりました。一時期、後楽園ホールに掲示されたチャンピオン写真に写っている半分以上がうちのお客様だったこともあります。今は、ほぼ紹介制です。

--デザインは、どのように考えるのでしょう?

Mami:始めて10年目くらいまでは、言われたものにプラスアルファを加えればいいと思っていました。でも、同じ選手から3回、4回と注文をいただくと信頼関係ができて変わります。タイトルマッチなのか、海外進出なのか、デビュー何周年なのか。性格や体形、着る場面まで含めて考えます。

--これまでの制作で、印象に残っているものはありますか?

Mami:イギリスの女子プロレス団体「EVE」の大会ですね。新日本プロレスでも活躍中のウィル・オスプレイ選手がプロデューサーをしていて、とても重要な大会があるから、「17人分をぜひマミさんに作ってほしい!」と依頼を受けたんです。日本なら本番の3週間前に試着・調整しますが、この時は前々日のフィッティングで細かな修正が出たんです。現地にミシンはない……。全部手縫いするしかないと絶望しました(笑)。

--本番は翌々日ですよね。そこからどうしたんですか?

Mami:現地に住む通訳の日本人女性が「ミシンを持っているし、24時間使えるスタジオもある!」と言ってくれたんです。しかも、日本で使っているものと同じ(※4)JUKIのミシンでした。「縫い物の神様が助けてくれた」と思いました(笑)。