製作秘話&秘蔵データで面白さ倍増!「夏ドラマ」 1位は記録ずくめの″国民的イベントドラマ″

写真拡大 (全3枚)

一つの完成形

「日曜劇場『VIVANT』(TBS系)の圧勝ぶりがすごい。シーズン2の初回となる第11話の世帯視聴率は18.8%とダントツの1位。熱狂が生まれているのを示すのがTVerの再生回数です。8日間で887万回と新記録を更新。何度も見ないと気がつかない仕掛けや伏線を探すのも醍醐味なので、再生回数の記録はさらに更新され続けるでしょう」(ドラマウォッチャーの川田美尋氏)

TVerのお気に入り登録数も274万8000と2位に160万以上の差をつけて独走。Xでは2週連続で世界トレンド1位に輝き、コア視聴率(13~49歳男女の視聴率)も8.5%で1位と視聴率で2冠を達成。視聴率と配信を完全制覇した(お気に入り登録数は7月末時点。以下同)。

「テレビ界ではリアルタイム視聴率とデジタル配信実績--配信の再生数や再生時間がコンテンツの価値を測る明確な物差しとして定着しました。どちらが欠けてもダメで、そこを見ながら企業がどう広告費を出していくかを決めるようになっている。

『VIVANT』の初回の占拠率は49.7%と、テレビをつけている人の半数が視聴している計算で、全国視聴人数は2042万人に達しています」(キー局プロデューサー)

リアルタイム&配信の完全制覇の裏には局を挙げての″大攻勢″があった。

「本編終了後にTBSラジオで山本巧(迫田孝也・49)、ワニズ(河内大和・47)、ゴビ(馬場徹・38)というシーズン1で″退場″した3人による『VIVANT 悪役会議室』を生放送。YouTubeでも生配信され、好評です。その一方で堺雅人(52)、阿部寛(62)ら大物キャストを番宣に次々と投入。ネタバレを防ぎつつ、スケール感と期待感の醸成に繋げています」(川田氏)

シーズン2の放送直前にNetflixやU-NEXT、Amazon プライムビデオなどでシーズン1を一斉配信。新作放送前に「予習・復習」を促し、未視聴層を取り込むことに成功している。

「Netflixでは新着作品以外で異例の週間ランキングトップ10入りを果たしました。U-NEXTで配信されたサイドストーリー『ドラム-VIVANT THE ORIGIN STORY-』も配信直後から新規会員獲得数1位や視聴者数2位を記録しています。

湖池屋のコラボ・ポテチやサントリーのビール『PSB』のコラボ缶、日本橋三越でのポップアップストア開催などコラボも好調。生活の身近なところに″気になるもの″としてドラマを溶け込ませるプロジェクトが奏功しています。放送・配信・リアルを融合させたクロスメディアIP(知的財産)の一つの完成形として足跡を残したのではないか」(TBS社員)

もちろん、全てが順調だったわけではない。放送開始前に原作・演出・プロデュースを務める福澤克雄監督のスタッフに対するパワハラ問題が表沙汰になった。

「告発を受けて福澤監督はハラスメント研修を受けることになり、長期撮休に入りました。パワハラは決して許されることではありませんが、錚々(そうそう)たる演者たちを待たせてでも撮影を続けて放送にこぎつけようとする社としての熱量は、凄いものがありました」(同前)

『ふてほど』を抜き去った

「国民的イベントドラマ」と称される『VIVANT』に対し、ドラマ好きを惹きつけて大ヒットしているのが同じTBS系の『Tシャツが乾くまで』だ。

蒼井優(41)の顔だけで魅せる演技、震えませんか。私は震えました。ビビりました。あの演技を見るだけでもヒットは必然だった」とキー局プロデューサーが絶賛すれば、制作会社ディレクターも、「『silent』『いちばんすきな花』『海のはじまり』と立て続けに話題作を手掛けた生方美久氏を発掘したフジテレビから引っ張ってきて、『不適切にもほどがある!』(TBS系)で注目を集めた中島歩(あゆむ・37)を朝ドラや配信作品で知名度が高まったタイミングで主要キャストに起用。時代の流れも読めている」と同調。

ウォッチャーの賛辞も止まらない。

「生方作品といえば、日常の会話や沈黙、言葉にしきれない感情を丁寧にすくい上げていく世界観が特徴。中島歩のセリフ回しも何かを強く言い切るのではなく、少し間があって、ボソッとこぼす。その言葉の裏側を視聴者が想像する。行間を楽しめる」(放送作家の愛田プリン氏)

「不倫というオーソドックスな題材に考察要素をちりばめて視聴者を引っ張りつつ、夫婦の形や愛情といった繊細なテーマを描こうとしているところもいいです。大掛かりな宣伝を打たなくても、こうしたヒット作が作れることに希望を感じます」(ライターの大山くまお氏)

TVerでの第1話の再生回数が348万6000回、第2話が367万5000回と同じ枠で放送されていた『不適切にもほどがある!』を抜き去った。この大成功をアシストしたのが「つなぎ戦略」だ。

「オンエア後にTVerで『1.5話』や『3.5話』といったサイドストーリーを独占配信。本編の裏側を描く別エピソードで視聴者の熱量を保ちつつ、次週へつなぐというサイクルを作り出しています」(キー局プロデューサー)

『FRIDAY』2026年9月4日号より