錦織圭 14年全米OP準Vの地で最後の4大大会に幕…後継者・坂本に敗れ「ろうそくの火 消してくれた」
◇テニス 全米オープン(2026年8月28日 ニューヨーク・ビリー・ジーン・キング・ナショナル・テニスセンター)
男子シングルス予選3回戦が行われ、元世界ランキング4位で今季限りで現役引退する錦織圭(36=ユニクロ)は、世界ランキング157位の坂本怜(20=IMG)に4―6、6―7で敗れて本戦出場を逃し、現役最後の4大大会を終えた。14年大会で準優勝を果たした思い出の地で日本男子エースのバトンを後輩に託し、木下グループ・ジャパン・オープン(9月30日開幕、東京・有明テニスの森公園)に臨む。
世界を向こうに回し、ファンを魅了してきた錦織の、グランドスラム(GS)への挑戦が終わった。初出場だった07年の全米から数えて50大会目。くしくもIMGアカデミーの後輩でもある坂本との対戦となり、最後はタイブレークの末に19本目のサービスエースを打ち込まれて敗れた。初の全米本戦進出をコートに倒れ込んで喜ぶ20歳を、顔に年齢相応のしわが刻み込まれた36歳は、悲喜こもごもの表情で見つめた。
「悔しいけど、ちょっともう無理だな。最後のろうそくの火を彼が全て消してくれたような、すがすがしい気持ち」
練習では何度も打ち合ってきた坂本との初対戦。第1セットは2ゲーム連取で上々の滑り出しを見せたが、以降は逆に4ゲームを連取されて流れを失った。最速220キロを超えるサーブに手を焼き、全盛期の生命線だったフットワークも鳴りを潜めた。それでも正確なウイナーや、ロブとドロップショットを織り交ぜた前後の揺さぶりで必死に勝機を探った。時折湧き起こる「ニーシーコーリー」のコールにも背中を押され、最後の一球まで勝負を諦めなかった。
上は肩から下は足首まで、20年近くも世界のトップと戦ってきた体は悲鳴を上げていた。そうした中で7月の復帰後は順調に試合をこなし、主催者推薦で5年ぶりに全米のコートに立った。試合後には14年の準優勝を称える写真パネルを贈呈される粋な計らいも。「ちょっと上のレベルになると、ついていけない感じ。体も反応してくれなかった」と限界を悟るとともに「ニューヨークは思い出の詰まった場所。試合ができたことに本当に感謝している」と頭を下げた。
12年前、届きそうで届かなかった全米の頂点。一球一球に込めた思いを後輩に託し、錦織は静かに大舞台を去った。

